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「東京最低最悪最高!」が面白くない

ネット上で賛否が分かれているこの作品。正直読んだ感想をはっきり言わせていただくと「全然面白くない」でした。何でそう思ったのかをXのツリー投稿の奴を直しつつ、まず冒頭にこれだけは言わせてほしい。

別に自分が東京都民だからというのが理由ではないということを。


素直な感想は「で?」

まず全体的な物語のあらすじを考えよう。

「彼氏と結婚することになったけどそれは正直地元に帰りたくないから。ただ彼氏と結婚することになったという挨拶をするために故郷に一度帰り、家庭でのつらさとかそういうのもフラッシュバック。地元での窮屈さを思い出しながらも東京から帰りたくないしこれをずーっと我慢しつつ生きていくんだ。東京は自分がのびのびとできる場所だから。最低で最悪な場所だけどね」

という内容。※漏れがあったら言ってね。

正直読み終わった感想は「で?」だった。なぜか。

①主人公の家庭の問題では?

地方の家族というのは都内に住んでいる人たちとは違う倫理観と風習とかがあり、それは規律以上の縛りがある。それはわかる。主人公の家庭もまた、そういった倫理観や風習に家庭内での問題などが積み重なって主人公にとっては窮屈な家になっている。

そういう描写がしっかりとされていて「ああ主人公もそういう窮屈な場所で育ってきたんだろう、それから逃れるために東京へ来たのだな」というのははっきりとわかる。

ただ、それが東京である必要性が正直ないと思った。ぶっちゃけ大阪だっていいだろうし、故郷の舞台的に福岡だからそれは難しいとしても名古屋や京都、仙台に札幌だっていい。多分主人公の中でも「のびのびと生きれる場所=東京」というのがあったのかもしれないが正直そういった描写はなかったので、必要性がない。

端的に言えば「主人公の家庭の問題じゃね、これ」となってしまう。それを東京に住んでいる私と地方のナニカに縛られ続ける家族(特に家族は憎々しく描かれているが)という対比になっているのだが、一人暮らしと実家暮らしの違いじゃね?としか思わなかった。

②主人公に共感ができない

必要以上にネガティブにならないように……という風な描写とうらっかわでは……という描写が無いわけではないが、正直言って主人公に一つも共感できるポイントがなかった。読み切りだから描写しきれない点はあったんだろう。

地方とかが「そういうものだ」というある程度こちらが了解をしたうえで読まなければならない。

「どうしても好きになりたかったけどなれなかった」という描写があるにはあっても結局家族のせい?のようにしているだけ。ぶっちゃけ共感しづらい。

あと、打算で結婚するのは結構だが最後の彼氏?も「打算っぽいなぁ」ってなんだか思った。捨てられないと良いねって。

なんとなく離婚しそうな気がするなぁって思ったし、きっと本人は「都合よく東京で生きていくためのツール」としてしか彼氏のことも見ていないんだろう。

③どこかで読んだことある感

これはもはや身も蓋もないんだけど、一人暮らししている私と毒親の実家……という話に置き換えてみれば「ああどこかで読んだことあるな」という作品でしかない。

作品として目新しさは正直ないなと。

というかそういうのはXの投稿の中でもわんさかある。今更そういうのを読まされても正直毒親ネタは読んでて不愉快なので自分を最低だと思うなら東京の陰に隠れてこそこそ過ごしていればよろしいかと思います。

主人公に言いたい。「それってあなたの感想ですよね?」

何もひろゆきみたいに言いたいわけではなく、純粋にそう思うのだ。

例えば「いつかティファニーで朝食を」ではキャラクターの一人が東京での仕事を辞めて実家に帰って実家の仕事を手伝うエピソードがあるんだけど、やっぱり最初は大変ってところから入る。

でもそこにはそれぞれちゃんと「物語」があってそこにそのお話の主人公もちゃんとストンと落ちる形で収まっている。 でもこの漫画は「自分語り」で終わっていて、「面白い漫画」には昇華しきれていない。

「自分だけの視点」で「感想」であったとしても、そこの物語の中にきちんとストンと納まるような形があり、東京とは違った大変さもあるけど……という内容にきちんとなっているのはそういうことなんだろうと思う。

その登場人物の家は決して毒親ではないけどね。ただ、都合のいいところだけ解釈して都合よく生きている日記みたいな漫画を見せられても「知らねーよバーカ」としか思わない。

作者の鳥トマトさんは「東京愛」を持っていて「地方ヘイト」を持っているのかもしれない。でも、無理やりな東京アゲで地方サゲされても乱暴すぎる。

こんな感じで「東京愛」を唱えられても一切共感できない。普通に不愉快。東京はそんな「最低な人間」のためだけの場所違いまっせ。

不愉快さを計算した?

ただ、これらの作品が東京に住んでいる人の「不愉快さ」を計算し、地方に住んでいる人たちへの共感を求めて最初から作ったんだとしたらまあまあ計算高いなと思う。

実際にここまで炎上しているのはある意味で作戦勝ちとは言えるしね。地方出身の方で「刺さる」人には刺さるのでしょう。

さっき言った主人公の実家のことと地方のこと……その対比と主人公の認知のゆがみを狙った作品だったとしたら作者はすごいと思う。ただ鳥トマトさんに正直そこまでのテクニックがあるかどうかはわからないけど。

ただまあ狙っていた層に響いて、こちらは反発を食らった。そういう点では作戦成功という漫画だったのでしょう。

ただ一つ言わせてもらうと「この作品は面白くない」です本当に。それってあなたの感想ですよね?その通りだと思います。

それでは。

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