見出し画像

【レポート】『私たちはこうやって起業した!~女性起業家編~』 -中編-

前編トークセッションをまずはご覧ください↓

それでは中編もお楽しみください!


会社員を辞めて独立するという決断をする際、旦那様は最初から応援姿勢だった?


髙田:
じゃあ次に行きます。
富士通を辞めて起業したときって既にご結婚をされていたかと思いますが、旦那様は最初から応援姿勢でしたか?

和田:
そうです。ここは結構分かれますよね。やっぱりなかなか応援してもらえない場合もあるし難しい時もあると思うんですけど、うちは応援してくれていました。結婚する時は二人ともサラリーマンだったわけですが、二人ともサラリーマンだったら何かもったいなくない?と夫から言ってきたことがあって。
私の夫は金融業界で働いているんですけど、金融商品のポートフォリオっていう概念(ハイリスクハイリターンのものとローリスクローリターンのものを組み合わせると価値が最大化するという概念)を家庭に持ち込んできたんです。お互いの収入で家計収入のポートフォリオを作りたい、と。
どちらかがハイリスクハイリターン、どちらかがローリスクローリターンで、ローリスクローリターンの方がハイリスクハイリターンの生活を支えながら一緒にハイリターンを狙っていこう、我が家の収入を最大化させよう、みたいなコンセプトを提案してきたんですよね。で、それを言われて私もいいね!ってなった。そんな感じでお互い会社員を続けていたんですけど、私がある時「そろそろハイリスクハイリターンを狙わせていただきたい」と言ったら、夫が「待ってました!」みたいな感じで。

髙田:
うんうん。

和田:
だけど、そうは言うものの、いきなりダブルインカムだったのがシングルインカムになってしまうので、夫はかなりストレスがあったみたいで。夜眠れないようなことも言ってましたし、なんだかんだ言ってストレスを与えてしまっている事実はあると思ったので、合意形成はちゃんとしなきゃいけないよねということで、事業計画書を事前に共有しました。
「こんな感じの事業計画にするつもりです。何年間かは収入が0になる見込みです。その間の家賃や食費や子供の養育費などは、私はほとんど負担できなくなると思うので、数年間はあなた一人での負担になると思います。よろしくお願いします」と。
さらに、「収入が得られるようになったとしても、会社員時代ほどの収入に戻るまでには時間がかかると思うので、その間も家計にはそんなにコミットできないかもしれません。当面10年くらいのスパンは、今までの収入のようにはいかないかもしれないので、覚悟してほしいです。だけど、私がいつかハイリターンで何か成果を持って帰ることができたら、その時はあなたと共有します」という感じです。

髙田:
うんうん。

和田:
あとは、家事の役割分担かな。収入面でしばらく私はゼロになると思うけれど、家事育児の分担はこれまで通り半々でお願いします、と言いました。

髙田:
それ本当に大事ですよね。私は間違ったから。

和田:
どんな風に間違ったんですか?

髙田:
たまたま最後ラッキーもあって、2~3年は自分がお給料を受け取らなくても生活を続けることができるってくらいまとまった資金ができて、まあそれが最後の起業の後押しになったんですけど。会社の運転資金は別で調達した上で、自分の家計を守る為のお金を横によけておいたんですけど、結果的に2年じゃ足りなかった。

和田:
会社員時代と同じだけの家計費を、起業してからも負担してたってこと?

髙田:
そうそう。当時の私は和田さんと真逆のことをしてしまって。

和田:
それ、めちゃくちゃ負担大きいですよね。

髙田:
そうそうそう。子育てのこととかこれまでは半々とか7:3で私がやっていたけど、5以上向こうにやってもらう代わりに私は仕事に専念する、みたいな。仕事で土日もほぼ家にいないっていうような生活をしていたんですけど、2年じゃ足りなかったていうところからどんどんギスギスし始めて最終的にはパートナーシップとしてはうまくいかなくなって私は離婚しているんですけれども。
で、離婚後に自分の生活を組み立て直さなきゃいけないってときに自分の母親に、「もうあなたのことを守ってくれる夫もいないし、会社はあなたが守らなきゃいけない。コメディアンと一緒でとにかく健康だけには留意しなさい。」って言われたことがあって。贅沢はできないけど何とか生活が出来てるっていう時期がありましたね。

和田:
でも、素晴らしいです。そこまで自力でやっていって素晴らしいなと思います。

髙田:
いや、本当に何だろうね。もっとこう、甘えることが上手であればとか、そういう甘えるスキルっていうのを身につけていればなって後ですごい思いました。

和田:
わかる、できませんよね。私も感覚的には夫に甘えたというより、「一緒にハイリスクを取りませんか」という感覚だった。私に投資してくださいという感じ。投資だからリターンが得られるかは分からないけれど、得られるように私は頑張りますという感じだったので、相手に何かしてもらったという感覚よりも、夫が自分に投資してくれているという感じに私の中では整理して、なんとか公平性を保っていた感じかな。

髙田:
資金調達の考え方も近いかもしれないですね。私は借り入れで起業したけど、和田さんはベンチャーキャピタルからの出資を受けて起業していて、そういうところも今のお話と凄い通じますよね。

和田:
バランスだとは思いますけど、リスクが高い事業で当面収入がないのであれば、投資っていう概念を家庭に持ち込んで説明することでスムーズになることもあるかもしれないですね。

髙田:
かもしれないですね。

和田:
あとやっぱりリスクの洗い出しですかね。どのくらいの期間、収入がゼロになってしまうのかや、どんな状態になったら借金を背負うことになってしまうのかなど、そういうことも事前に共有しておく方がより良い気がします。私は、2年くらいやってみて全然うまくいかなかったら起業は諦める、と約束をして立ち上げたので、夫からしても、とりあえず2年だけ頑張ったら楽になれるというモチベーションでいられたかなと。

髙田:
引き際設定は大事ですよね。まあ実際走り出したら引けないんですけどね(苦笑)

和田:
そうなの、そうなの。やってみたら引けない。でも、一応最初に考えておくって大事。
あとは、そんなに借り入れをしなければ大きな借金を背負ってしまうこともないので、借り入れをしない、もしくは少なく済むようなやり方は何だろうと考えたり。また、もしかしたら夫にもリスク的なものを一緒に背負ってもらわなくてはならない時が来るかもしれないので、事業計画書の段階からきちんと話しておくと、追々、協力を得られやすくなるんじゃないかなと思います。

仕事と家庭と子育ての両立、およびバランスを保つ秘訣

髙田:
次ですけども、今現在も仕事と家庭と子育ての全てを両立されていますが、バランスを保つ秘訣を教えてください。

和田:
両立できているかどうかって、自分では分からないんですけれど、でも私なりに満足のいく最低ラインの見極めはあります。最低でもここぐらいまではやりたいな、プラスで余裕があったらここまでかな…、という感じで。

髙田:
うんうん。

和田:
バランスは、いつも調整しながらやっているかも。例えば、子供の性格によって、子育てに使わなくてはならない時間ってすごく変わってくるじゃないですか。ずっと一緒にいてほしい子もいれば、そんなに一緒にいなくても大丈夫な子もいるし、成長フェーズによっても変わってくるし。でもバランスを決める優先順位的には、一番が子ども、次に家庭、最後に仕事って感じかな。

髙田:
そっか。あと、タスカジをうまく活用することだよね。

和田:
そうそう、いいこと言ってくれました!笑
そうなんですよ。このバランスを保つために私はタスカジを立ち上げたので、家事の観点で言うと、ほぼ100%に近いぐらい手を離すことができています。あと、年齢を重ねていくと、仕事に対して長時間労働で解決するということがだんだんできなくなるし、実際私もできなくなってきたなという実感があるので、子育てを最優先にして残った時間でうまく仕事が回せるような仕組みを作ることが大切かなって。たとえば、チームで仕事をして、自分一人で仕事を背負いすぎないようにするとか。もうそれは子育てとのバランスというよりは、自分の中でのバランスに近いかもしれないです。幸せに感じられるかどうか、などのように。

髙田:
もし子育てを最優先せずに仕事を最優先にしていたらもしかしたら私達もっと早くに浮上してたかもしれない。でも幸せ感はわからない。幸福度が下がると長く続けられないからこの順番(子育てを優先、次に仕事)で良かったんだって思う。

和田:
でも、自分としては子育てを最優先にしてきたつもりだけど、他の人から見たら、全然最優先にできてないよね、なんだかんだ結構仕事しているよね、って思われるかもしれない(笑)
けれど、最優先というのは、時間の使い方を最優先するというよりは、気持ちの使い方なんじゃないかなと思っています。子供がどれくらいの時間を求めているかというのを考えて、子どもの時間枠を先に確保する感覚の方が強い。子どもといる時間を物理的に長く取るという意味の最優先ではなくて、そのタイミングごとに子どもが求めている時間を最低限確保するという感覚に近いです。残った時間は、ほとんど仕事をしているような…。
でも私、寝るのも結構好きです。

髙田:
大事ですね。

和田:
はい。寝たりテレビ見たりという時間も、結構たくさん取っています。
麻衣子さんは、平日だけ仕事するとかじゃなくて、結構土日に仕事したりとか、柔軟ですよね。

髙田:
平日はいわゆる子供のことをやっていることもあるし、でもその代わり週末はマフィスに来て仕事してバランスを取る、みたいな。週末に自分の中の課題を整理しておくと平日はアサイン出すだけで良くなったり、この日は会議だけ回す日って決められたりもするから良いなって。あと週の初めをいつと認識しているかも人それぞれ意見あるじゃないですか。週の初めを土曜日に設定している人もいれば、日曜日とか月曜日に設定している人もいる。

和田:
うんうん。

髙田:
私は週の初めは日曜日だと思っていて、日曜日に自分の仕事を片付けることによって月曜日は一日中会議だけしてその週の課題をみんなに割り振れば、その後は結構柔軟に動けるようになる。たとえば今日も突然エミフィス練馬の受付スタッフに欠員がでて急遽入ることになったんですけど、でも自分が柔軟に動ける状態になっていればこうやって現場のみんなをフォローすることもできたり、逆にプライベートの予定を組み込んだりができる。

和田:
やっぱり柔軟タイプですね。私の場合は、平日は仕事をする日、土日は一切仕事をしないで家族のために時間を使う日って決めています。でも、子どもも中3になったので、僕のために時間を使ってよと求められることが、ほぼなくなりました。それでも、私にとってのいいバランスは、平日と週末を使い分けることなので、人それぞれに心地よいバランスを見つけるのがいいかも。

髙田:
家族との関係性とかね。

和田:
そうそう、全然違うはずだから。自分が幸せを感じられるバランスはどこなのかを早いタイミングで見つけて意識しておいて、そこに向けて仕組みづくりをしていく方がうまくいくかなって。

髙田:
そうですね。でも子育ては肝ですよね。子育てをこじらせると全てに悪影響が出てくるので、やっぱり子ども達さえ健やかに育ってくれていれば、いつかは親の仕事を応援してくれる姿勢になったりするので、そこはすごく小さい時からね、大事にしなきゃいけないことですよね。

和田:
そうですよね。

共働きのお財布事情について

髙田:
共働き夫婦の中には普段からお金周りの話をお互いなんとなく避けている方も少なくないと思いますが、家計やお財布事情についてどうされていますか?

和田:
私のイチ意見としては、お金周りの話は、むしろ積極的にした方がいいかなと思います。実際私たち夫婦は、たくさんしています。自分の収入も伝えているし、夫の収入も教えてもらっています。あと、お互いにどれぐらいの貯金をしているかや、家計にどれぐらいお金があるか、そのお金を使って将来どういうライフスタイルを描いていきたいと思っているか、とか。
はっきり将来を決めなくても、どんな選択肢があるかというような話も二人でしたり。やっぱりお金の話をしないと将来の話ができなかったり、家事や育児の役割分担などの話もしづらいかなって。うちの場合の話ですが。

髙田:
いや、正しいと思います。私はほら、失敗したからさ。うちはどうだったかっていうと、家計の為の共通財布というか共通口座をつくってお互いに握り合った金額を毎月入れていたんですよ。

和田:
でも先進的ですよね。

髙田:
そう。で、その中で全部やりくりしてた。貯金も、家のローンの返済も、子どもたちの教育費用も、家族の食費とか家族でのレジャー費とか、そういうのを全部賄う専用の口座があって。で、それ以外のお金はお互い関与しません、自由に使っていいですよって。なのでお小遣い制じゃなかったんです。けど結果どうなったかっていうと、やっぱり良い時も悪い時もある中でその悪い時であっても家計に入れるお金は義務です、って感じで最終的には別にそれが決定打になったわけではないけども、やっぱりこう信頼関係をだんだん揺るがす一つの大きな原因にはなったなっていう。

和田:
率直に話せない理由とか、そういう空気感があった感じですか?

髙田:
空気感がそうだった。

和田:
もしセミナーにご参加くださっている方の中で、なんとなくお金の話を避けている方がいるなら、これを機にではないですが、積極的に話し始めてもいいんじゃないかなと思います。もし絶対に言えない理由があるのであれば、それは別ですが。

髙田:
うん、大切。

和田:
私が起業するときは、私の収入がゼロになるとやっぱり厳しくなるし、当時住んでいた賃貸からもう少し家賃を下げた家に引っ越すかというような話もして、実際に引っ越し先を探したこともあったんですよ。でも今住んでいるところからかなり場所を移動しないと、思ったよりは安くならないと分かり、結果的には引っ越すのをやめ、続けられる限りは当時住んでいた家で過ごしてみようという判断をしました。でも、そのようなこれまで暮らしていた生活の水準?QOL?のような価値観的なものを変えることに対して、家族みんながそれをアドベンチャー感覚で楽しむというような、それくらいのノリがあってもいいのかなとも思います。

髙田:
私はタワマンを降りました。サラリーマンの時はタワマン暮らしをしていたけど、今は麓にいます。それぞれ楽しいなって思うし、そういう生活スタイルが変わっても楽しいと思えるような起業をするといいんじゃないかなって。

後編へ続く・・・
次回はセミナーに参加いただいた方からの質問に答えます!

【1/12(金)更新!】



ママと家族のための保育付きシェアオフィス『マフィス』


この記事が参加している募集

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?