絵師の立場から言いたい「AI賛成派」と「反反AI」の人達へのメッセージ

こんにちは、前回『絵師の立場から言いたい「反AI」の人の態度について』という記事を書いた者です。

前回は「どうしても一言いいたい」と、そのためだけにアカウントを作ったので、もうこのアカウントでは記事を書く予定はなかったのですが、
また「どうしても一言言いたい」と思い、筆を取らせていただきました。


誰に向けた記事か?

前回の記事では、生成AIに関して賛成の方でも反対の方でも色んな方に見ていただき、その上で一部の過激な反AI派の人達に「いいかげんにせいよ」と釘を刺すのが目的でしたが
今回の記事ではあくまで「生成AIに賛成」「反AIの活動に反対する、反反AI」の立ち位置にいる人達に向けた記事です。
生成AIに反対してる方には面白くない表現も含まれますので、それでも構わないという方のみ読んでください。

筆者はどんな人間か?

前回の記事でも自己紹介しましたが、お絵かきを嗜んでおり、別ジャンルの創作もしており、お絵かき、別ジャンル両方で金銭の絡む仕事をしたことがあり、企業案件も経験済み。
しかし専業クリエイターとしては食べていけるほどの実力はないので、創作業とはまったく関係ない仕事をしている。
創作は趣味と実益をかねた副業。

筆者のスタンスは?

現状の生成AIの論争を一歩離れた状態で眺めながら、なるべく中立的な立場でありたいと思っている。
思ってはいた…。


※この記事では

AI過激派:AIを使い他人を攻撃したり、現行法で明確に違法な行為をする一部の人達。
AI賛成派:生成AI技術に肯定的な人達。
反反AI:AI賛成派、もしくはAIに賛成ではなくても、反AIの行動に反対する人達。
AI規制派:生成AI技術に否定的な人達。
反AI:AI規制派の中でも特に攻撃性が高く、筋の通らないことを言う一部の人達。

この様な意味合いで言葉を使います。前回の記事で「反AI」という言葉が
AIに反対する人全体を刺していると勘違いする人もいたので…。

私の考えていること、生成AIに関するスタンス等は前回の記事を見てもらったほうがいいと思います。
今回の記事は前回の記事を見なくても大丈夫ですが、見てもらえると色々と助かります。


今のお気持ち

前回の記事ではなるべく中立的に、汚い言葉も使わずに理知的に文章を書こうと心がけていました。
しかし今回、およそ理知的とは言えないお気持ち表明から言わせてください…。
「やっぱり絵師はお気持ちばっかり言ってる」と思われてしまうかもしれませんが、どうしてもお気持ちを表明したくなったので、駄文を綴らせていただきます。
今回は前回の文章に比べたら読む価値はとても低いと思います…。

まずもって、絵師と言う立場からまず一言言いたいのは


「反AIのバカが多方面に迷惑かけてすいませんでした…!」


絵師全員が反AIではないですし、反AIが全員絵師なわけでもありません。
しかしイラスト生成AIという話題では、絵師が反AIのメインストリームであることは疑いようがありません。

私自身は反AI活動はしていませんし、反AIを支持するようなことはしていません。
しかし同じ「絵師」というカテゴリーで活動する以上、
「絵師どもは何やってんだよ」「絵師ってこんなのばっかか」と言われて、もう申し訳ないやら情けないやら…。。

この記事を発見して読んでいるぐらいAI問題に興味がある人は
「声優イベント中止」「プリキュア」「ゴールデンボンバー」の問題は知っていると思います。
そこに極めつけの「パブコメ内容公開」です。

声優イベントを脅迫し、中止に追い込むのを見て「誰のための反AIだよ?」と思いました。
AIが普及すれば仕事がなくなるクリエイターもいると思います。
しかし逆にAIがあることで生まれる仕事だってあると思います。
それがまさに声優イベントだったんではないでしょうか?

プリキュアやゴールデンボンバーが、AI生成イラストっぽいイラストを使いました。
しかし公式からは一切「AIです」というアナウンスはありません。
反AIは「AIっぽい」という疑惑のみで燃やしました。
完全なる魔女裁判です。
反AIの人がAIを叩くのは(理屈や法律には沿っていませんが)「AIに反対する」という理念としてはまだわかります。
「AIかどうか定かではない物を、疑惑のみで叩く」という行為はその最後の理念すら否定しています。
彼らはAIだから叩いていたのではない。誰かを叩きたい。キャンセルカルチャーをしたい。
そのために都合よく「クリエイターの権利」や「著作権」を引っ張り出してきていて、ぶっちゃけ「クリエイターの権利」も「著作権」もどうでもいいんだな。と思えてしまいました。
そしてその指摘をされても「AIだから叩いてたんじゃない。下手だから叩いてたんだ」とゴールポストを動かす始末。

私はこの時点で反AIの人達に何も期待しなくなりました。

そして極めつけがパブコメの内容公開です。

私は正直愕然としました。
言葉を選ばずに言わせてもらうと


バカなの!?!?お前らバカだな!!!


なんで指定の書き方しないの?
文化破壊庁とか言って意見を聞いてもらえると思ってるの?
この意見が全世界に公開されて、色んな人に見られるとわかってて書いたの?
応募の意見募集要領に「内容は公表する可能性があるよ」って書いてあったの見た?
見てないんだろうなぁ。

もちろんまともな意見もありましたが、それこそXで言ってる人がいましたが「四葉のクローバーを見つけたような気分」でした。(つまりまともな意見が少ない)
反AIは、それのメインストリームの絵師は、
・役所に提出する書類の形式すら守らず
・まともなビジネス文章すら書けず
・敬語も使えず
・公式書類に罵詈雑言を練りこんで
それで文化庁が動くと、自分達の声が聞き入れてもらえると、法律が改正されると、そう思ってたのか…。

産まれて初めて
「同じ絵師であることが恥ずかしい」と思いました。

汚い言葉でお気持ちを振りまいてすいません。

ここまでが「今の私の気持ち」で、ここからがこの記事で言いたいこと。です。


「AI賛成派」と「反反AI」の人達へ言いたいこと

Xのポストでこういった内容の物を複数見かけました。

「反AIの旗色が悪くなってきたから「私達はAIに反対していなかった」「悪いのは暴走した一部だけ」とか、トカゲのしっぽ切りみたいなことを言いだす絵師が出てきそうだな」

はい、この記事とかまさしくそれに見えると思います。
(一応私は3/1の時点で反AIに苦言を呈していたとは言え、そう見えることは自覚しています。)

しかしですよ…。
話も理屈も通じないバーサーカーにまともな説得が通じると思いますか?
もし表のアカウントで反AIに対して物申してたら、あっという間に炎上させられるでしょう。
例え話ですが、住んでる山が火事になったら、バケツの水で消そうなんて思わずに山から避難するのが普通です。
最近では反AIがAI使用者に誹謗中傷をした件での裁判もありましたし、リスク管理が出来る絵師なら
AIの問題には触れないでおく。というのがベターな選択だったと思います。

なので今後「今までAIに関しては静観してたけど、反AIはダメだ」的な人が出てきてもなるべく静観してあげて欲しいです。
中には「本当は反AIだったけど、形勢が悪くなったから勝ち馬に乗ろう」という人もいるかもしれません。
「おれは しょうきに もどった」と言ってる人がいたとしても暖かく見守ってあげて欲しいです。
(もちろん過去にAI賛成派に暴言等を吐いてたら、その責任を問うのは当然だと思いますが)
今後ネットでみんなが仲良く、(表向きだけでも)平和に活動できるように協力してほしいです。
絵師がみんながみんな、バカなわけではないので…。

ちなみに私の狭い範囲での観測ですが、絵師仲間を見ていると6割ぐらいはまともでした。
反AI的な思想を持っているのは3割ぐらいと言ったところでしょうか。
(残り1割は、AIを嫌ってはいたけど「適法なのでどうしようもない。」と、自分が見ない。という選択を貫く人達でした。)


二次創作に関して

ネットで反反AIと反AIの論争でたびたび話題にあがる二次創作ですが、
「二次創作=悪」と言わんばかりの言い方をする人を最近見かけます。

もちろん権利的に黒よりのグレーである二次創作をしてる人が、権利的に白である生成AIを批判するのはダブスタだと思います。
そういう反AIの人に「じゃあお前のやってる二次創作はどうなんだよ!」と言うのはもっともです。
しかしその理論の延長として「だから二次創作をやってるヤツは全員悪人なんだよ」と言わんばかりの論調はちょっと勘弁してほしいです。
著作権は親告罪ですし、権利者に怒られるまでは「黒」ではなく「黒である可能性が高い」という状態です。
権利者に怒られたり、ガイドラインに従わない人は黒ですが、二次創作してる人全員が=黒ではないはずです。
それを否定しはじめたら、プリキュアやゴールデンボンバーを叩いてた反AIと同じになってしまいます。
あと明確に二次創作が許可されてる作品もありますしね。

確かに正直流行りの作品で金稼ぎを目的にエロを描いてる人とかは、私も嫌いです。
しかし本来二次創作は、その作品が好きな人がファン活動として愛を表現するものであって、それを歓迎する著作者も沢山いると思います。
また、厳格に判断すればNGだけど、みんなが面白がってるから見逃されている著作物も沢山あります。
猫ミーム、MAD動画、漫画のコマでのリプライ、漫画のコラ、スクショ…。
みんなが作品を共有して楽しむ。という文化はとても楽しく、著作者も目をつぶってくれることが多いです。
私も自分のオリジナル作品が、ちょっと目を背けるようなひどい二次創作で使われてます。
でも悪意は感じなく、みんなが楽しんでいるので、見て見ぬフリをしています。

みんなで著作物を共有して楽しんで、でも度が過ぎた物は著作者が怒って、
そうやって日本の文化は発展してきたと思っています。
なので私は生成AIを、法律や理屈だけじゃなく気持ちの部分でも否定出来ないです。
(もちろんAIを悪用して私に明確な害を与える人がいたら、著作権やそれ以外の現行法でぶん殴りますがw)

だから反AIのことは嫌いになっても二次創作のことは嫌いにならないでください。


いないかと思いますが、反AIでここまで読んだ人がいたら
「なんだコイツ!絵師名乗ってるけど結局ただのAI賛成派の太鼓持ちで、反反AIじゃないか!こんなの絵師じゃない!」と思うでしょう。

はい、もう私は「絵師」じゃなくていいです。

前回の記事で書きましたが、私は「お前は下手だから絵師と認めない」「兼業クリエイターとか、絵師一本で食えないから逃げたんだろ」と
専業絵師の人に言われました。
実は言われたのは10年以上前ですが、未だに心の奥でチクチクと私を苦しめます。

この記事と前回の記事では便宜上「絵師」を名乗りましたが、この10年、メイン垢で「絵師」を名乗ったことは一度もないです。
そして今後も名乗ることはないでしょう。
私は「絵師」ではなく、「イラストレーター」として、一人のクリエイターとして、別ジャンルの創作もイラストと上手く絡めて、AIに負けることなく、そしてAIを上手く活用していきたいと思います。


最後に

今回の記事は本当にお気持ちだらけになってしまいました。
前回は頑張って理性的に書いた(つもり)なので、今回の記事は期待外れだったかもしれません。
なのでこの文章を読んでくれた人には、今後は創作で何かを届けられたらいいな。と思います。
それは手書きかもしれないし、AIを取り入れてるかもしれないし、どんな形かわかりませんが…。

あと記事の一部分だけを悪意を持って切り抜いて拡散するのは止めてくださいね!
前回の「絵師の特権」は悪意の切り抜きによって、不必要に拡散されたところがあるので。
この文章の著作者として、明確に切り抜き&転載を禁止しておきます!

…とは言っても、著作権法の引用の条件を満たせば、私が嫌がっても合法的に引用は出来ます。
法律ってそういうものなのだよなぁ。

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