病院にかかる難しさ

2019年1月29日(火)

流行りにのったミーハーと言われて結構。インフルエンザA型に罹った。どうせ外出もできないし、何か生産性の伴う作業をするには体調が優れないので、安心して愚痴を言う。愚痴を言うのにふさわしいコンディションである。

日曜の時点で必要以上に寒いなあと思っていたし、頭がぼんやりとして、これは体調が悪いような気がする、とも感じていた。普通の人はここで外出などの用事は取り止めるんだろうけど、わたしの場合睡眠が不得手な性質もあり、「寝不足かもしれないし気のせいだろう、ここは外出してしまった方が元気になるパターンだ」と賭けに出てしまった。

友人たちと会っているときはアドレナリン的なものが出ていたせいか、あまり辛くはなかった。しかし、帰宅するとなんだか喉がイガイガするし、やらねばならないことの準備もいまいち集中できないくらいには冴えていなかった。

言い訳をさせてもらうと、わたしは小学校2年生からスギ花粉症を患うプロのスギ花粉症患者なので、「もしかするとこれはスギ花粉が飛び始めた故の不調か?」と思ってしまった。調べると土日からスギ花粉の飛来は観測されているともあったので、このセンは濃厚だと思ってアレグラ的な花粉症の薬まで飲んだ。

さらに言い訳をすると、プロのスギ花粉症患者なのに毎年自分がどんな症状で苦しんでいたのかを、花粉のオフシーズンになった途端に完璧に忘れてしまうので、「花粉の飛び始めってこんなんだったかもね」と勘違いした側面もある。たしかに花粉でも喉がイガイガするし、やたら喉が渇いたりもするし、集中力はガタ落ちする。あまりに辛くて半泣きで己の免疫系を罵ったことは数度では済まない。

今回の症状もそのケースに似ていたのだ。やらなきゃいけないことが目の前にあるのに、どうにも集中できないほどには整っていない状態である。そういうわけで花粉症の薬を飲み、「効いてくるまで少し寝るか…」と思ったのが日曜の夜である。数時間後起きたら、熱が、ありました。38.6℃。あとめちゃくちゃ寒い。

健康だったら月曜の朝までに準備しておくべきものがあったので、一応健康な体(てい)でPCに向かったのだが、体を縦にしておくことがもはやつらい。ちまちまと進めるが、なんでこんなにしんどいのにやらねばならないのかと泣きたくなった。幸い実家に居たので、母に「寝てろ」と言ってもらえてベッドに戻ることができた。

もう一度寝たら、だいたい月曜の朝の時間だったが、悪寒と頭痛が尋常ではなく「学校にとりあえず行ってから、病院に行って検査してもらうか〜」と呑気に考えていたのが消し飛ぶくらいに不調だった。熱を測ったら38.8℃だった。

これはインフルであるのはほぼ確実なので、薬を処方してもらいに行かねばならないが、一人で行けるかも危うい。自力でタクシーを呼んで病院に行くつもりだったが、母が心配し仕事を休んで送ってくれることになった。頭が痛すぎて唸っていたのが、演出として効果的だったのかもしれない。一人でタクシーに乗って病院に行けたとしても、財布やら保険証やらを忘れずに遂行できた自信が無い。健康な時でも失敗しかねないのに。

病院に着くと、案の定、長めの綿棒を鼻の奥に突っ込まれるインフルエンザの検査を施された。成人してもう長いのに、弱っていて痛くて軽く泣いた。そもそも成人してもう長いのに、病院に付き添いないと来れないとは思わなかった。医師に「お仕事されてるんですか?」と聞かれた。多分年齢を見て言ったんだと思うけど。「学生です…」と答えながら、そういや一般的には社会人の世代なのに『大人スキル』が低すぎるなあ、と思った。

「どんな症状出てますか?」と聞かれたのに、喋る気力が無さすぎてほとんど母に答えさせてしまった。インフル陽性の結果が出たらもう、発熱、悪寒、鼻水、咳、痰、関節痛、あたりは説明せずとも、もう察してくれ、わたしはインフルエンザど定番の患者ですよー!という気持ちだったのだが、このへんをどうやら間違えていたらしい。

インフルエンザウイルスの対抗薬(タミフル、リレンザ、イナビル、最近出たゾフルーザとかのこと)さえ処方してくれればいいと思っていたのだが、その問診を受けて鼻水の症状緩和の薬と解熱剤も処方してくれたのだ。問診は根本治療ではなく、対処療法的な薬を処方するために必要な手順(?)だったらしい。

わたしはこの問診がまじで苦手だ。だったら「薬で症状改善することも可能ですが、今一番辛い症状なんですか?」と聞いてくれればいいのに、と思う。そうすれば必要な情報を提示できるのに。医師って仕事はまじで難しいだろうな、こういう面倒な人間も相手にしなきゃいけないわけだし。

こないだ歯医者に行った時も「痛みがあったら教えてください」の意味がわからなくて困った。痛みとは?どこからが痛みなのか?耐え難いレベル?耐え難いレベルってどんなん?と考えていたら、普通に痛すぎて「えっ」と軽く声に出た。それを歯医者の人が拾ってくれて、「痛かったですか?」と治療を中断してくれた。どういう風に痛かったのかを聞かれて「ちょっとズキッとした感じですかね…」と答えた。「そういう表現はいいですね。学会でも痛みの表現は取り上げられることがあります。今回の場合ズキズキだと困りますが、ズキッという一時的なものなら大丈夫です。治療を続けます」と言われた。

だったら最初からそう言ってくれればいいのにー!そしたら痛みかどうかはともかく、違和感が一瞬なのかしばらく続くのかに集中してればいいってことでしょ?そもそも痛みとかいう患者の主観的なもので、虫歯の治療の進行を判断しているなんて怪しいと思ってたんだよなー!と感じた次第である。

世の中のやり方、医者のかかり方をはじめとして明文化されてないことが多すぎて、わたしみたいな人間はかなりやりにくいんじゃないかと思う。医師の側の視点に立つと、いちいち全部説明するのだるいし、世間の多数派に合わせたマニュアルをこなす形でやっていきたいという人もいるんだろうな。

またまた言い訳をさせてもらうと、元気な時ならがんばって意図を読んで適切な回答をしようと思えるんですよ。ただ病院に行くのってもう何かしら異常をかかえた場合であって、身体は不調でも正常な判断が下せるなら問題ないんですけど、現実はそうじゃないので。なんですかね。「ひとつひとつの問診の意図を説明してくれないと、適当な回答は望めない患者です」と書いたボードでも持っていくしかないんでしょうかね。なんだその厄介。

ほんとに病院にかかるのってむずいよね。少し前の話に戻って、わたしはプロスギ花粉症患者で、「さすがにかわいそう」「こんなにひどい症状の人は見たことない」と健常者に心配されるレベルなのですが、もう16年は花粉症やってるんだから、いい加減うまく乗り切る術を会得していていいはずである。最近はスギ花粉を経口摂取することで症状緩和する治療法があるとかも小耳に挟んでますし、そういうリスキーな方法でなくても自分の身体にあった花粉症の薬はどれなのかということを検証するくらいやっていてもいいはず。

やっていない理由は、オフシーズンになるとその苦痛を忘れるし、オンシーズンは苦痛により思考が支離滅裂すぎでそういう建設的なことが考えられないから、ということになる。今年はインフルのおかげでオンシーズン前にそれを思い出せたので、市販薬でも色々試してみようかね。

みなさんも「あれ、不調かな?」と思ったら早めに病院に行ってね。悪くなればなるほど正常な思考から遠ざかることがあるので。おわり。

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