『THE TEAM 5つの法則』/麻野耕司

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最近読んだ本の中でもピカイチに良かった。悩みに直結したからかもしれない。

チームというのは非常に難しいもので、良い感じに協力体制が構築され良い感じにサイクルが回り絶大な結果を生むこともある。

個人的な経験としては、なかなか「劇的な成果を上げたチーム」を経験したことはなく、いつも何処かギスギスしていたり、居心地が悪いチームが多かった気がする。それゆえにチームとしてまとまっていて強いチームにひどく憧れているのだ。

<チーム5つの法則>

チームには次の5つの法則がある。
(1)Aim(目標設定)の法則
(2)Boarding(人員設定)の法則
(3)Communication(意思疎通)の法則
(4)Decision(意思決定)の法則
(5)Engagement(共感想像)の法則

(1)Aim(目標設定)の法則
意義目標(OKR;Objective and Key Result, ex. 日本全体のチーム力を高める)、成果目標(MBO; ex. Management By Objectives10万部売る)、行動目標(振り返り評価, ex. 「チームの法則」を、事例を交えて分かりやすく伝える本をつくる)の3つがある。チームの状態(メンバーの能力、思考力や行動力)を見極めて設定するのがよいとのこと。
新幹線の清掃チーム、「7-Minute」の事例はわかりやすい。価値の高い意義目標、それに応じた成果目標、行動目標を置くことによって非常にモチベーションが高まる。反社会的な産業でもない限り、どんな仕事にも大きな意義があると思っている。


(2)Boarding(人員設定)の法則
「最初に人を選び、そのあとに目標を選ぶ」by 『ビジョナリーカンパニー2』
「誰をバスに乗せ、どのように降ろすのか」
これは非常に大事なことである。私自身もバスを降ろされたこともあるし、リーダの時は下ろしたいと思ったこともある。
チームには次の4つのタイプが存在する。
・サッカー型(環境の変化度合い:大、人材連携度合い:大)
⇨スマートフォンアプリの開発チーム
・野球型(環境の変化度合い:小、人材連携度合い:大)
⇨飲食業の店舗スタッフチーム
・柔道団体戦型(環境の変化度合い:大、人材連携度合い:小)
⇨生命保険の営業チーム
・駅伝型(環境の変化度合い:小、人材連携度合い:小)
⇨メーカーの工場の生産チーム


この示唆は面白い。
例えばチームの流動性と固定性を考えた時、サッカーチームは相手によってメンバーを入れ替える流動性のあるものになり、野球チームはプレーは相手などによってあまり変わらないのでメンバーは固定的になりやすい。
同様にチームの均質性と多様性も同様に考えることができ、野球のように異なるタイプ(送る、打つ、走る)に強みを持つメンバーがいた方がいい場合もあれば、駅伝のようにやることは同じなので似たタイプを揃える「均質性」の高いチームが望ましい場合もある。これは業界によっても違うが、上司(リーダー)がどのような思考を持つかによっても大分変わりそうなところである。
ただ現在は環境変化の多い時代なので、駅伝タイプよりもサッカー型が増えているとのこと。ゴッドファーザーよりもオーシャンズ11である。この流動性の高い時代をどうやってサーフするかを真剣に考えていきたい。


(3)Communication(意思疎通)の法則
「チームにはコミュニケーションが多ければ多い方が良い」
⇨「チームのコミュニケーションは少ない方が良い」
これは強く実感する。実際にコミュニケーションの少ない職場の方が雰囲気が良いのだ。「Confirmが飛び交う現場、議論ばかり繰り返すチーム」はむしろうまく行ってないことの方が多かった。では、具体的にどうすればいいのか?
チームのルール設定にはポイントがある。
・What:設定粒度(ルールは多いか、少ないか)
・Who:権限規定(ルールを誰が決めるか、メンバーかリーダーか)
・Where:責任範囲(個人成果orチーム成果に責任を負うか)
・How:評価対象(プロセスor成果を評価するか)
・When:確認頻度(確認が多いか、少ないか)
そしてやはりチームの活動を阻むのはそれぞれメンバーの感情である。これはどの職場でもそうである。できるだけ相手の特徴(志向・能力)を知り、円滑にすることは大事である。
また「心理的安全」を作り出す4つのポイントは非常に大事である。
・率直質問(聞いても良いんだ)
・失敗共有(間違っても良いんだ)
・発言促進(言ってもいいんだ)
・反対意見(人と違っていいんだ)
ダメなチームはこれができてないことが多く、上記の4つができない環境を作り出している。また多様なメンバーと一緒に働く時代だからこそ、「あうん」の呼吸が通じないこともあり、業務管理中心(「何を」)のコミュニケーションから1on1といった相互理解、心理的安全中心(「誰が」「どんな場で」のコミュニケーション)の重要性が増してくる。


(4)Decision(意思決定)の法則
意思決定は独裁、多数決、合議に3分類され、それぞれメリットデメリットが存在する。スピードと納得感がトレードオフの関係にあるのが特徴。意思決定で大事なのは「優先順位」。今日のあなたが今の状態になるのは「度重なる選択を繰り返してきた結果」である。


(5)Engagement(共感想像)の法則
マーケティングで顧客の自社に対する購買意欲を高めるための4Pという考え方がある。Product(製品), Price(価格), Place(流通), Promotion(広告宣伝)
エンゲージメントにも4つのPがある。
Philosophy(理念・方針)、Profession(活動・成長)、People(人材、風土)、Privilege(待遇・特権)
企業によってもこの4Pのどれを打ち出しているかは異なる。
ディズニーはPhilosophy、マッキンゼーはProfession、リクルートはPeopleなどの具合に。そしてエンゲージメントの公式を各チームに当てはめることが重要である。具体的にはゴールやプロセス、ぺナルティの適用する必要がある。
公式:報酬・目標の魅力(WILL)×達成可能性(CAN)×危機感(MUST)
・企業は存続のためには、商品市場(顧客)、資本市場(投資)、労働市場(人材)の3つ市場から選ばれている必要があり、中でも労働市場の重要性が高まっており、感情報酬を求める人材が増えている。


<チームが崩壊する落とし穴>
(1)社会的手抜き(当事者意識の低さ)
⇨少人数制、責任の所在の明確化、チームの参画感を設定
(2)社会的権威(あの人が言っているから・・・)
⇨肩書きにハマらない議論を展開する
(3)同調バイアス(みんながやっているから)
⇨雰囲気マネジメントを実施
(4)参照点バイアス(あの人よりやっているから)
⇨基準の明確化。リーダーが手本を示す。
元阪神タイガースの金本選手がチームを活気づけた話は参考になる。


<気になったtheory>
<集団凝集性> レオン・フェスティンガー

集団凝集性とは「メンバーを集団内に留めようとする力の総体」のこと。
(1)メンバーが相互に魅力を感じるようになる
(2)集団内の規範に従うようになる
(3)集団内の役割分担がスムーズに実現する
「集団凝集性」を高めるためには
(1)集団の目標が魅力的であること
(2)集団の目標が自分の目標として受容されていること
(3)メンバーの対人関係が良いこと
(4)集団が外部から高い評価を受けているとメンバーが認識していること
が必要である。


<影響力の武器>ロバート・B・チャルディーニ
人はどのように説得され、なぜ望まれた行動を取ってしまうかについて心理学的側面から分析した書籍。
(1)返報性
⇨相手に何かをしてもらった場合に無意識に相手にお返しをしてしまう
(2)コミットメントと)一貫性
⇨人間は一貫性がある人だと見られたいと思っている
(3)社会的証明
⇨人間は社会で多くの人たちが取っている言動や行動を正しいと考えてしまう
(4)権威
⇨権威にひれふす
(5)好意
⇨好意を持っている人間のことは信じやすい
(6)希少性
人間は数が少ないものが良いと思っている。

チーム形成に悩んでいる方は読んでみるといいかもしれません。
オススメの書です。


『THE TEAM 5つの法則』/麻野耕司


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