日記:20231117〜Finger Runs VS 二丁目の魁カミングアウト〜

 下北沢フラワーズロフトでFiger Runs二丁目の魁カミングアウトのツーマンを見る。
 ステージが低くて奥行きがない会場なので、そんなに整理番号良くなかったけど、なるべく良く見えるポジションを確保しなければ、と早足で下北沢に向かう。平日18時半開場はなかなかしんどい。

 先行はFinger Runs。
 Butterflyで元気よくスタートし、なんか聴いたことのあるサビが印象的なNight Thinker、定番曲Escape!!と楽しい曲中心に攻めていく。

 ここからワンマンで披露された新しい曲が続くのだけど、どれも代官山UNITで見た時より練り上げ鍛えられていた印象。この日のフィンズ、全体的に「仕上がって」いた。

 ASSOのイントロでは、小笠原唯ちゃんから「ミキティーさんは電車に乗らないそうです」と伝聞の豆知識が披露された。あっそう。これ毎回お決まりなのかな。

 前半はテンション高く明るめの曲が目立っていたけど、FIYでガラッと大人っぽい雰囲気に変わった。そして、その流れのままユレルミライ!この曲ほんと好き。45分の持ち時間の中で、楽しさ激しさだけでない、Finger Runsの多彩な魅力をしっかり見せつけてくれていた。

 ここからAgitator、絶頂Venus、Storm Riderとフィンズの真骨頂な湧き曲を畳み掛け、Storm Riderではそれまで比較的おとなしく我慢していたサムズたちが羽目を外して大盛り上がり。客席が波打っていた。

 最後はBlue light Knightでクールに締めくくり。何かの曲でたしか朝倉みずほちゃんが「11月17日は記念日にしよう」みたいなことを言ってた。賛成。
 鹿目あきさんがいつになく楽しそうな笑顔が多めだったのも良かった。


 アイドルのライブではバンドと違って転換がほとんどないのだけど、この日はなぜか10分間の転換が設けられていた。結果的に両グループとも45分間MC休憩なしのノンストップライブだったので、観客の体力を考えたら良い配慮だった。


 いつものようにぴんぽんぱんぽーんの影ナレ。「Finger Runsとのトゥーマンライブ」とやけにネイティヴな発音をしていたけど、あれは滑舌の甘さが出ただけなんだろうな。

 1曲目は耳すま!いきなりフロアの熱量が高い。明らかにFinger Runsの盛り上がりにつられて、または、対抗するようにおなカマがボルテージを上げてきている。
 二丁魁の4人も何度もマイクを客席に向けたりしていたけど、煽るというより、いっしょにフロアの反応を楽しんでいるような印象だった。

 リバでも熱気は上がり続け、落ちサビでフォロワーさんがリフトで上がっていた。二丁魁でリフト久しぶりに見たな。
 テンション上がりすぎちゃう感じはステージも同じだったのか、落ちサビの終わりで、ぺいちゃんが舞台の前っつらに出過ぎていたみたいで、栄心くんが前に回り込むスペースがなくて、無理やり前に割って入って殴り飛ばしていた。ぺいちゃん、あの後ちょっと笑ってたよね。

 良いか悪いかは置いといて、この日だからこそ起きた瞬間を見られるのは嬉しかったし、楽しかった。良いライブだからこそ、その日しか起こらないことが起きる。
 ライブを見る前はフラワーズロフトでこの2組じゃ狭すぎるだろ、と思っていたのだけど、結果的にステージと客席の物理的な近さもあって、イベントの盛り上がりが生まれていたのかもしれない。
 混み具合も程々でライブを見る分にはちょうど良かったのだけど、この最高のツーマンはもっとたくさんの人が見に来なきゃ嘘だろという思いもあり、なかなか難しい。
 とりあえず、新宿LOFTでもう一度ツーマンやろう。唯ちゃんは恵比寿リキッドルームでもやりたいと言っていた。いいねえ。


 続いてマイサイ。このまま限界突破するのではと思うくらい熱い曲が続き、急転直下でロボット。曲間なしの繋ぎがめちゃくちゃ良かった。
 というか、ここまでの3曲を続けた直後に、ロボットの静かな歌い出しをソロで歌い切れるミキティー凄すぎる。
 ロボットは二丁魁の中でも特に見るたびに表現が変わる曲だけど、この日のロボットは今まで全く見たことのないロボットだった。ミキティーと3人が斜めの一直線に向かい合う「幸せなんて」の場面で、紅さんの慟哭がいつにも増して激しく真に迫っていた。
 「鏡に映る自分よ」のぺいちゃんパートも、「いちばんあなたを傷つけているのは私だ」では嘆きや哀しみといった感情が表現されていたけど、この日ははっきりと怒り、または、憎しみのこもった荒々しい表情を浮かべていた。あんなの初めて見た。


 ロボットで一変した雰囲気のままホモサピ。これ何回も言うけど、対バンでやるホモサピ大好き。というか、ホモサピをやる対バンが好き。対バン相手とそのファンへの信頼があってこその選曲だと思っているので。

 二丁魁の曲には直接的におなカマへ向けたメッセージが込められているものが多いけど、ホモサピはおなカマだけでなく、より広い範囲の人たちに向けられた歌詞だと思う。
 ラストの「誰かを好きになって 愛されたいと願うから 僕たちは」を聴くたびに、この願いが聴く人みんなの持つ普遍的なものであることに気づいてほしい、と願わずにいられない。

 ホモサピを歌い終えた後、ミキティーがとても晴れやかな笑顔だったのが忘れられない。自分からはフロアの表情はわからないけど、たぶんミキティーから見える客席は、「伝わった」と実感できる表情をしていたんだろう。
 
 続くBAKAAHOの1Aで、ぺいちゃんがちょっと感極まっていたように見えた。同じライブ、同じ曲でもミキぺいで感情の発露が真逆になったりするの、面白いし愛おしいな。
 曲の雰囲気が変わる時の繋ぎになりがちなBAKAAHOが、今回も良い仕事をしていた。ここからGAY STAR、まるもうけ、と再び明るく軽快な空気に変わる。
 隣にいた男がライブ中にスマホをいじっていてぶち殺そうかと思っていたのだけど、まるもうけで振りコピし始めたので殺さなくてよかった。

 ちょっと意外にも感じたパラレルヤで序盤の激しさを取り戻してから、最後は青春。今日は青春で終わるはずと思っていたのでとても納得だったけど、終演後にお友達と話していたら、三原色が来るかもと思っていたと言われて、たしかに〜となった。
 10曲45分ながら、あの曲もこの曲もやってなくて、やっぱり二丁魁は良い曲が多すぎるな。


 終演後の特典会で、ぺいちゃんが「小笠原唯に恥じないライブをしなきゃ、って」と話してくれた。
 これは以前、ぺいちゃんがツイキャスで話していた、小笠原唯ちゃんから「二丁魁さんからいつもパワーをもらっているけど、自分も二丁魁さんにパワーを与えられる存在になりたい」と言われたことを踏まえているんだろう。(↓リンクの10分30秒過ぎくらいから)

 ぺいちゃんが具体的なアイドルの名前を出してエピソードを語ることってあまりないので(具体名を出せないような話ならたまにするけど)、よっぽど唯ちゃんの言葉が嬉しかったのだろうな。ゲイアイドルという特殊性だけでなく、芸歴10年越えの大先輩に対等の関係で向き合おうとするアイドルはなかなかいないだろうし。

 唯ちゃんは最近のブログでも、その時と変わらない気持ちを綴っていた。もちろんこの日のライブも、強い気持ちで臨んでいたのだろう。お互いが相手の気持ちに応え合うライブが良いものにならないわけがなかった。
 小笠原さんのブログ、とても良いのでみんな必ず読むように。

 今日の二丁魁のパフォーマンスは、相手がFinger Runsだったからこそのものだったし、フィンズのパフォーマンスが二丁魁を触発し駆り立てたからこそ、最高のライブが実現したのだと思う。
 力になっていたよ、唯ちゃん。


 そういえばこの日は会社の懇親会があって、人の金で焼肉が食べられるチャンスだったのだけど、迷わずツーマンを見に行くことを選んだ。自分の選択に間違いはなかった。誇らしい気持ちでいっぱいだ。
 帰りに「しずる」で自分の金で豚しゃぶを食べた。美味しかった。



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