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観ている人と私の間にダンスが生まれる 田中泯 映画 「名付けようのない踊り」 at clubhouse 20220222

※このnoteは2022年2月22日(火)21:10からのclubhouseでの発表用メモに加筆修正したものです。clubehouseリンクも貼っておきますので、ご興味を持たれましたらご参加頂ければ嬉しいです。

【公開】2022年1月公開
【脚本・監督】犬童一心
【エグゼクティブプロデューサー】犬童一心 和田佳恵 山本正典 久保田修 西川新 吉岡俊昭
【プロデューサー】江川智 犬童みのり
【アニメーション】山村浩二
【音楽】上野耕路
【音響監督】ZAKYUMIKO
【撮影】清久素延 池内義浩 池田直矢
【編集】山田佑介
【助成】文化庁文化芸術振興費補助金
【協賛】東京造形大学 アクティオ
【配給・宣伝】ハピネットファントム・スタジオ 
【制作プロダクション】スカイドラム
【制作】「名付けようのない踊り」制作委員会(スカイドラムテレビ東京グランマーブルC&Iエンタテインメント山梨日日新聞社 山梨放送)
【出演】田中泯
石原淋/中村達也 大友良英 ライコー・フェリックス/松岡正剛

https://happinet-phantom.com/unnameable-dance/

今回は、今年公開されました映画「名づけようのない踊り」を題材にお話したいと思います。ダンサー田中泯さんを映した映画で現在も公開中ですの、機会があれば是非御覧頂けたらと思います。

■映画トレイラー

■映画紹介

この映画は、田中泯の様々な場所での「場踊り」、過去の公演映像、「たそがれ清兵衛」の映像といった踊りのシーンと、山梨での農作業をしながらの日常生活の様子、子供時代の田中泯である「私のこども」を描いたアニメーションで構成され、田中泯自身がナレーションをしています。

映画の紹介文を引用します。

「1966年からソロダンス活動を開始し、1978年にパリ秋芸術祭で海外デビューを果たしたのをきっかけに、世界中のアーティストと数々のコラボレーションを実現してきた田中泯。そのダンスの公演歴は、現在までに3000回を超える。映画『たそがれ清兵衛』(02)から始まった映像作品への出演も積み重なり、これまでのフィルモグラフィーには、ハリウッドからアジアまで多彩な作品が並ぶ。
そんな独自の存在であり続ける田中泯のダンスを、『メゾン・ド・ヒミコ』(05)への出演オファーをきっかけに親交を重ねてきた犬童一心監督が、2017年8月から2019年11月まで、ポルトガル、パリ、東京、福島、広島、愛媛などを巡りながら撮影。この間に田中泯は72歳から74歳になり、3か国、33か所で踊りを披露した。その道中を共にするのは、ドラマーの中村達也、音楽家の大友良英、編集工学者の松岡正剛、ハンガリー人ヴァイオリニストのライコー・フェリックスなど豪華な顔ぶれだ。
同じ踊りはなく、どのジャンルにも属さない田中泯の〈場踊り〉を、息がかかるほど間近に感じながら、次第に多幸感に包まれる―― そんな一本の稀有な映画を、ぜひスクリーンで体験して欲しい。」

https://happinet-phantom.com/unnameable-dance/

「オドリは個人に所属できません。私は名付けようもないダンスそのものでありたいのです。」と自身のことを仰る田中泯さんを俯瞰するような贅沢な映画でした。

■観ている人と私の間にダンスが生まれる

とても心に残った美しいシーンがありました。

フランスの教会で泯さんが踊り、その後観客からの質問に応えるシーンです。踊りを観ている観客が引き込まれていっているのがわかりました。また、対話のシーンでは泯さんと観客は共に教会の石の床に座って向き合っていて、あぁ、今この人たちはひとつの踊りの中にいるな、と思わされる印象深いシーンでした。そうしたら、質疑応答がまさにそのものでした。

観客は多くの観客が内面的に踊っているのではと言い、泯さんはそれこそがダンスだ、観ている人と私との間にダンスが生まれるのが理想、ダンスは言葉のない時代、コミュニケーションの大事な要素の一つで専門家はほとんどいなかった、と言って皆で笑います。
このシーンはまさにそれを体現していました。

泯さんは作品を作る、というのではなく全て即興の「場踊り」だと言います。その場と泯さんが出会って生まれるのが踊りなんですね。泯さんはオドリは個人に所属できません、と仰いますが、自己表現などではなく、出会って間に生まれるのが踊りという事ではないかと思います。我が現れるのではない、透明で開かれたコミュニケーションですね。そして、映画に映されるために踊った映像はありません。全て「場踊り」を監督が映像に残したものです。

おそらく、この映画を観ている時、私はフィルムを通して泯さんと場踊りの中にいたと思いますし、多くの観客がそうであったのではないかな、と思います。泯さん、犬童監督と言葉ではなく開かれたコミュニケーションの中にいました。

作品として舞台にのせるものだけが踊りではなく、誰でもが出会いの中でふとつむいでいる、大事なコミュニケーションだと思うのです。

■発表後記

clubhouseの本編発表後のコメントタイムで出た話題など、トピックスになるものがあれば、後程追記いたします。

■clubhouse情報

2022年2月22日(火)21:10~21:45(予定)
前説5分+本編(このnote部分)5分+フリートーク30分

この社会の中で、人がどうやってつながっていけるのか、その可能性を身体、風土、歴史、文化から探っています。無意識の内に人の中に沁み込んでいる世界の見方に出会い、同じく無意識ににじみ出ている何かで人とつながることを体験していきたい。
そういうミュニケーションがこれからはより一層大事と思っています。それは社会のセーフティーネットであり未来を作ります。人間を強く元気にします。
clubhouseでは、ダンス作品や映画などのレビューを通して、それに取り組んでいます。

■関連情報リンク

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