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三東瑠璃「Matou」


2019年2月に三鷹でMeMeを観た。私の中で2019年の白眉の公演の一つだった。当時の記事はこちら。

三東さんの作品を次に観られたのは、2020年神楽坂セッションハウス企画のオンラインライブ配信のMatou。カメラが寄っていることや、まだ慣れないコロナ禍の状況、途中YouTube AIが配信を遮断するといったアクシデントもあって、感覚を研ぎ澄ましていくような作品という印象が強かった。じりじりと形を変えていく身体は、鰓だったり、伸ばした貝の目のようで、人間の身体に見えなかった。

今回始めて三東さんの生の身体に面して観たMatouは、配信時の印象とは随分ちがった。緊張感の高い作品ではあるのだけれど、何というか、以前よりも、身体の中がまろやかで、前回よりも人間の身体に見えた。ほんの少しだけれどユーモアも感じた。
身体から生まれる踊りとは認識していたけれど、音楽より先に動きを作ってあとから音を合わせる。音が無くても毎回大体同じ時間で終わるという話は特に興味深かった。

どこまでもどこまでも身体を掘り下げていく作品。身体の中で漆黒の宇宙に出会うような作品でした。


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