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さよなら、バーチャル

皆様おはようございます。
櫻井眞尋と申します。

この度、2019年5月9日にバーチャル存在として生を受けた
『櫻井眞尋(さくらい・まひろ)』
という存在を、終了させることにいたしました。

今後はペンネーム『櫻ヰ眞尋(さくらゐ・まひろ)』という名のリアル人類として存在していこうと思います。

今回、櫻井眞尋という存在をやめるにあたり、改めて私の目から見た「櫻井眞尋とはなんだったのか」「バーチャルをやってみて、どうだったのか」といった、感想文的なものを書いてみようと思います。

なぜ、バーチャル存在になったのか

私がバーチャル存在になったのは2019年5月。
当時はAdelheid/Leonardoが存命で、何事もなくごくごく普通の結婚生活を送っていました…と言いたいところなのですが、率直に言って二人(+α)の関係は全然うまく行っていませんでした。
Adelheidと結婚をしたのは2007年のことでしたが、彼女の人格のこと、病気のこと、私の性格や配慮の足りなさ、余裕の無さ、その他諸々から来る関係の不和により干支を一周する頃にはほぼ家庭内別居状態に陥っていました。

Adelheid/Leonardo二人のことをご存知ない方に解説すると
Adelheid:法定配偶者
Leonardo:Adelheidの第二人格(説明するとクソ長くなるので割愛しますが、解離性障害により生じた多重人格です。Leonardoの他にも複数人格は存在していましたが、紆余曲折あり当時表に出ていたのはAdelheidの他にはLeonardoのみでした)
という関係です。色々と突っ込みどころはあるかもしれませんが、私は配偶者として彼女の主張を信じそれを尊重することで関係性を保ってきました。

当時は離婚をすることも視野に入れた形で将来のことも検討してはいましたが、Adelheidが実家を頼ることが出来ず、学歴職歴もないため仕事も難しく。また当時すでに車椅子生活を送っていたことなどから単身生活も難しい状態にあり、Adelheidの生命維持のため(今だから話せますが、Leonardoから脅迫されることもありつつ)二人の生活を継続せざるを得ない、という状況でした。

私自身の立場としては半ば自分の人生に対しての諦めもありつつ、どうせ関係を続けていくのであれば良好な状態に戻したい、と思いアプローチを行ったりもしていましたが、どうもうまく行かず。
そんな中で目をつけたのが、LeonardoがVTuberとして活動していたバーチャルの世界でした。

当時は生活も苦しく、副業としてブログやアフィリエイトを含めたネット活動をしようと考えていた頃ではあったのですが、何かしらコンテンツを作るなどの活動するにあたってキャラクター性を持たせたほうが取っ掛かりが作りやすいと思い、VTuberという存在を始めることにしました。

バーチャルとしての活動

デビュー後、私は私で、LeonardoはLeonardoで活動を始めます。
ただ、当初目論んでいたバーチャルを架け橋にしたお互いの関係の修復は全く進まず、気づけばお互い別の界隈で過ごすようになっていました。

しかしながらリアルで友人の多くない私にとって、バーチャル界隈での活動は自分の心の平穏を保つことにだいぶ貢献していたと思います。

ただ、当初の目的を忘れていたわけではありません。
関係修復のため、お互いの活動を軌道に乗せるため、そもそも対話の時間を作るため…色々と理由はありますが、ラジオを始めることにしました。

ただこれも、結局のところ結婚生活同様お互いの関係性の不和により終了させることにしました。向こうとしては続けることはやぶさかではない、という感じだったかもしれませんが、私が続けたくないという意思を通しました。
もしかすると生前Leonardoとよく話されていた方はご存知かもしれませんが、私のやることがLeonardoにとって考えが足りなかったり、私が彼の方向性とは違う方を向いていたり、それで色々と詰められたりしたことが続いたので、私が降りた形です。

このラジオと同時期に、ある方との出会いを迎えます。

思惟かねさんとは、この対談きっかけで仲良くさせていただき、バーチャルを超えた友人みたいな関係性を持たせていただいています。まあ、バーチャルを超えたと言いつつリアルでは会ったこともないんですけどね。
この当時お互いほぼ動画や配信での活動歴はなかったのですが、かねさんは活動の代名詞にもなるオモイカネ杯を始めたり、バーチャルポートレートの同人誌制作を始めるなど、活動の幅を広げています。

反面私は活動の幅を広げることはなかったのですが、リアルの生活環境を変えたり(2回ぐらい転職していたりするので)しながら、うまい具合にお互い刺激を与えあえているのかな…なんてことを思っていたりします。

そういえばこの記事でもずいぶんと言及いただきました。
オモイカネ杯は先日第6回大会を終え、初めての大会から2年半ほど経過。その間濃密な時間を過ごした感があります。
この出会いは私のバーチャル人生を構成したターニングポイントと言っても過言ではないでしょう。

バーチャルをやめるきっかけ

そんな中、バーチャルをやめるきっかけが訪れます。
私がバーチャルを始める切っ掛けがLeonardoであるなら、やめるきっかけもまたLeonardoということになります。

Adelheid・Leonardoの死

2021年5月20日。Adelheid/Leonardoが急死します。
当日は私の自室でリモートワークの業務を開始した直後で、ふとAdelheidの様子を見に彼女の部屋へ様子を見に行った時点で、すでに意識不明の状態となっていました。

Leonardoには生前から病気のことで「自分はいつ死んでもおかしくない状態だから、それを肝に銘じておけ」ということを何度も言われていました。

彼の言ったことが大げさだった、と言うつもりはありませんし、亡くなることに対して相応の覚悟は出来ていたつもりではありました。それでも、あまりにも突然過ぎました。
人間が亡くなるときはこうもあっけなく終わるのだなと。

思えば、人生の半分近くはAdelheidと過ごしていました。結婚生活こそ14年ほどでしたが、交際していた時期を含めると18年ほどになります。

亡くなる2週間ほど前、ちょうどゴールデンウィーク期間中に、色々と落ち着いて話をする機会があり、Adelheid/Leonardoを含めた形で和解をし、また改めてゼロから家庭生活を始めていくという結論を出したところでした。

互いの認識を一区切りつけた直後ということもあり、不思議と悲しさはありませんでしたが、それでも今まで当然のようにあったものが無くなっているため、喪失感は大きいものでした。(これは今でもあります)

彼らが亡くなったことはいろいろと落ち着いてから行おうと決め、まずは互いの親族への連絡、私の職場への連絡、葬儀や火葬の手配、警察との対応を一通り行いました。
また当時は思惟かねさんとオモイカネ杯の準備を行っており、大会3日前というタイミングでもありました。ここも大っぴらにするわけにいかずかねさんにのみ事情を話し、いったん自分の活動はシャットアウト。

Adelheidの両親は突然の訃報に感情的になっていました。反面、私は不思議と冷静だった気がします。まあ、こういうときも感情的にならないことを生前のLeonardoに散々言われていたのですが。

そしてAdelheidが亡くなって5日後、火葬まで終わったタイミングでTwitterにて訃報を出しました。

バーチャルで活動していたLeonardo、表に出ないながらも交友関係を持っていたAdelheid、それから私に対しても色々と、数多くの言葉をかけていただきました。
改めて人の繋がりをありがたいと感じました。

グリーフワーク的にLeonardoの事も話しましたが、ここでも生前仲良くしていただいた方とお話することが出来ました。

そして、Leonardoの死と同時に、私がバーチャルを始めたきっかけが無くなりました。
二人とも関係の修復をする必要はもう無くなりましたし、私一人だけだと生活にも余裕が出るので、ネットでの活動をする必要は無くなりました。

その時はVTuberとしても普通に活動していたということもあり、すぐにバーチャルをやめるということは考えてはいませんでした。
ただ、自分の人生や存在、生きる意義など、漠然とした自問自答が増える中で、「なぜ自分はバーチャル存在を続けているのだろう」と思うことも増えました。

Vカツサービス終了

そんなことを思う中、バーチャル活動をやめる引き金となったもう一つの理由がやってきます。
2022年1月13日、Vカツのサービス終了が発表されました。

もともと櫻井眞尋はVカツで作成されたモデルを使用していましたが、このモデルはLeonardoが作成したものです。
(厳密には規約違反だと思いますが、意図的に見出し画像に使用させていただきました)

Leonardo作・櫻井眞尋キャラデザインラフ
櫻井眞尋仮Ver・触角が置けないので仮にキノコを置いた
櫻井眞尋暫定版・この後微調整を経て完成

バーチャル地球外生命体・櫻井眞尋のキャラクターデザイン、VカツでのキャラメイクをLeonardoが担当しています。
バーチャル界隈で言うところのマパ上様(この言葉使うと誰のファンか一発でバレるな)にあたる存在になります。

Vカツのサービス終了により、このモデルが使用できなくなります。
新たに別なかたちでモデルを作るにしても、モデル製作者はすでにこの世に存在しません。

実は偶然にも、この発表の直前のタイミングで、思惟かねさんのご厚意でVRoid制作のモデルをご提供いただいておりました。

モデルのクオリティは高く、ツールが変わったことでVカツでは出来なかったような活動が色々と出来るようになりました。
ただ、提供いただいた思惟かねさんには非常に申し訳ないのですが、私の心情的な問題で、このモデルで活動を続けていくことはあまり考えられませんでした。
活動をするという意味ではいいことづくめではあるのですが、櫻井眞尋という存在、アイデンティティ的なところで「自分以外の存在である」という意識がありました。

私にとってバーチャル存在というものは、リアルから地続きになっているものだったのですが、これから先に作成されるモデルは、リアルとは切り離された存在に思えてしまうのです。

そういうこともあり、Vカツ終了のアナウンスと同時に私は「バーチャルをどのように終わらせるか」という『終活』をスタートさせました。

Vカツ終了後の葛藤

Vカツ終了で考えていた選択肢は次の3つ。
・提供いただいたVRoid版で活動を続ける
・別の方にモデリングを依頼する(転生含めた検討)
・VTuberを終わらせる

かねさんほか周囲の方からのご厚意があったこともそうですが、そもそも活動に対するモチベーションが究極的に低く「辞めるモチベ」自体が出なかったということもあり、消去法的にしばらくVRoidでの活動を続けることにしました。

ただし、活動のモチベーションはすでにありませんので、ほぼ惰性で動きながらという感じでした。ゲーム配信とか雑談企画とかをやってみましたが、自分のありたい姿からは離れているという認識が大きくなりました。

やめることを決めたとき

バーチャル存在をやめると決断したのは10月です。
あまり人がいないDiscordサーバー内で、雑談程度にひっそりと自分の意思を書き込みました。

やめると決めた当初は、活動を一切合切やめてしまおうと思ったのですが、やめ方を色々と検討する中で、バーチャルの存在だけ終わらせてリアル存在の活動に移行するという今の結論に至りました。

もともと櫻井眞尋自身があまりリアルから乖離していない存在だったこともあり、何かやりたいときにはやる、というルートを残しておくことで、今後の自分にとっても良いと判断したためです。

『櫻ヰ眞尋』という存在

リアル存在の『櫻ヰ眞尋』という存在についても触れていきます。
彼はもともと、Adelheidが書いていた私小説のキャラクターです。彼女の人生をなぞり執筆していた私小説ということもあり、当然私も出てくるのですが、私がその私小説に登場するときのキャラクターが『櫻ヰ眞尋』でした。
(プロフィールも現実の私とほぼ同じものになっています)

櫻ヰ眞尋(さくらゐ・まひろ)

ちなみにこのキャラクターをバーチャル化して活動していくというプランも検討はしたんですが、私がやりたいこととはズレていたので、その案は却下することになりました。

これからのこと

改めて。
今後はバーチャル人格という概念を脱いで、ペンネーム『櫻ヰ眞尋』という名のリアル人類として活動します。

VTuberとしては卒業でも引退でもなく、転生に近いようなそうでもないような…新たなスタートという感じです。

バーチャルの自分こそ過去に置いてはおきますが、決して後ろ向きではなく前向きな意識で向かうものです。

今までありがとう、櫻井眞尋。
みなさん、これから櫻ヰ眞尋をよろしくね。

櫻ヰ眞尋(さくらゐ・まひろ)
Twitter:https://twitter.com/mahiro3901
Web:https://mahiro.fujitubo.net/
※WebとかYouTubeとかはそのうち置き換え予定。

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