始まりの旅
16歳の夏。私は初めて手にしたパスポートを持って、ひとりカナダへと飛び立った。
憧れていたのは海の綺麗な南の島だったのに、行く先はカナダ!
出発の数ヶ月前に、ビザ取得の為の面接にカナダ大使館へ出向いた時の事。大使館の方が「滞在を延長する場合は、現地でビザの手続きをしてね」と私に告げた。
「いやいや、留学期間は1年だからその必要はないよ」と内心思いつつ、帰宅後面接の報告がてら母に話した。
勘の良い母は、1年では帰ってこないかもしれないと直感したそうだ。
1年後、母の勘は的中。私は留学期間の延長を両親に懇願した。
「嫁に出したつもりで」と了承してくれ、在籍していた日本の高校を中退した。
実際に嫁に行ったのはそれから〇〇年経ってからだが、あの大使館職員の一言が無かったら予定通り帰国していたかもしれない。
気づけば人生の半分以上をカナダで過ごしており、16歳の夏の途立ちから、旅は今もまだ続いている。
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