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あきらめの向こう側

最近時の人となったお笑い芸人・山里亮太さんの著書「天才はあきらめた」を市立図書館で見つけ、借りてみた。移民の国カナダだけあって、バンクーバーの図書館には、英仏以外の言語の本も置いてあるのだ。

日本のテレビ番組には疎い私でも、山里さんの聡明さや紡ぎ出す言葉の秀逸さには気づいていたが、この本を読んで改めて彼の抜きん出た表現力と、彼の素直さ、ポジティブさに一気に惹き込まれてしまった。

同時に、私が一番苦手とする「努力」と「工夫」の積み重ねあっての山里さんであることに衝撃を受け、心がざわついた。痛くもあった。なぜなら、彼の「あきらめ」と私の「あきらめ」には大きな違いがあったからだ。

山里さんは、努力と工夫の達人だ。芸人になると言う明確な目標がある中、自分は普通の人だと「天才」をあきらめるが、芸人になる気持ちは揺るがない。劣等感からくる醜い感情も、不安や焦り、痛みをも燃料に変換して、逃げずサボらず努力を続ける為の工夫と、ネガティブ感情をポジティブに転換する能力が凄まじい。

全ては「お笑いのために」と「逃げないための言い訳」を作り、「逃げると言う選択肢なんて思いつかないくらいの努力をしようと思った」と言う。

え?!ちょっと待って。逃げるための言い訳ではなくて?!
目から鱗が落ちた。

凡人にとって自分の失敗や他人の成功、焦燥感や劣等感は、努力を避け目標そのものをあきらめる格好の理由以外の何者でもない。

…[本物の天才]以外の人はこの世界に向いていないという答えを出すと、その瞬間にそれは「サボる理由」に変化してしまう。だから必死でその答えを無視するために、逃げるという選択肢なんて思いつかないくらいの努力をしようと思った。必死に努力することで自分を天才だと思い込ませた。そしてもっと頑張っていくと「自分ってこのことしかできない不器用な男だわぁ」という一見自分を蔑んでいるかのようだが、「そんな自分ってほかの普通の人と違う」という妙な自己肯定感が出てくる。そういう「偽りの天才」を作り込んでいた。

すごい。すごすぎる。

山里さんと私の歴然たる違いは、確固たる目標の有無だ。山里さんは、何者かになりたい、お笑い芸人になりたいと目指すものが明確だった。それ故、自分が天才では無いと思いつつもお笑いの世界に「向いていない」と言い訳しなかったのだ。

一方、恥ずかしながら私は、これまで逃げる道ばかりを選んで生きてきた。大学での専攻は楽そうな方、就職先は食いっぱぐれが無さそうな方という具合に…

私は幼い頃から「大きくなったら何になる?」と言う質問に答えられた事がない。世間が認める「できる人たち」に囲まれて育ち、彼らと自分を比較しては「私には何の才能も無いから無理」「向いていない」と夢を見る事さえ禁じてきたのかもしれない。無能な自分を感じる痛みや苦しみから逃れ、それ以上傷つかないように。

飽きっぽい性格も、その真相は保身の為のあきらめなのだと今更ながら認識させられた。

今ならわかる。こうやって自分ができないところを見つけては自分を責めるということが、無意識に逃げる理由ができて居心地がよかったということを。

これだ。
なりたい自分が見出せず、動かない私の言い訳…


自分は何者かになる。そんな、ぼんやりだけど甘い夢のような特別な何かを容易に見つけられて、何者かにたどり着くため必要な労力を呼吸するようにできる人、それが天才なんだと思う。

彼の定義する「天才」はあきらめても、何者かになる事をあきらめなかった山里さん。全ての行動を芸人と言う目標に結び付け、些細な事でも素直に自分を褒めて小さな自信をかき集め、いつしか本物の自信に変えた。

読んで字のごとく、彼は自分を信じ抜いたのだ。

人は失敗するとやはりマイナスのほうに目が行きがちになってしまう。そんな力でも何かプラスを見いだすことは、思った以上の効果を生むということを覚えた。でもやっぱり僕は天才にはなれない。でも、この事実をあきらめる材料にするのではなく、目的のために受け入れ、他人の思いを感じて正しい努力ができたとき、憧れの天才になれるチャンスがもらえる。

山里さんの生き様や考え方を知ることは、激しい痛みを伴い泣きそうな気持ちになった。それは、彼の真逆に在る私自身のありさまを浮き彫りにすることだったから。


この本の解説にある若林正恭さんの言葉通り、山里さんは天才だ。

天才とは、尽きない劣等感と尽きない愛のことなのだから。そして、得てして天才は自分が天才だと気づかない。

きっと誰もが襲われる自己否定や劣等感の波を、自分を突き動かすエネルギーに変える天才だし、努力の天才。自分を信じる天才でもある。

肚の奥にじわじわ響く痛みを感じながらこの本を閉じた今、山里さんの努力の仕方や考え方の工夫をそっくりそのままお借りすれば、こんな私でも何かに向かって進んで行けるかも?と言う気になった。力になった。

あとは何に向かうかが問題だ〜!😭

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まほ

元ビジネス・アナリスト兼UI/UXデザイナー。日本生まれ&育ち、カナダ在住。留学生でスタートし移民に。人生の半分以上はカナダで、英語も日本語もバラバラに…😅本を読んだり、インプットばかりの日々だったせいか、夢でアウトプットを促されたのでとりあえずやってみます!

読書メモ

コメント2件

まほさん、こんにちは(^^♪
山里さん、私も好きです。
世に出てくる人というのは、スポーツにしても、お笑い、芸能界…
それぞれに努力や他の人と違う何かがあるのでしょうね。
それがないと気がつくと消えてしまう。

私もこれからどこに向かうかが…問題だ~(^_-)
ちぃ坊さん、こんにちは!
こちらは涼しいですよ〜🎐

正しくそうですよね。世に出る方たちには、何かがありますよね〜。それを知るのが楽しいので、アスリートや著名人のインタビュー記事などは興味深く読んでしまいます。

おっと、ちぃ坊さんも?!
もう充分大きいのに、まだ「大きくなったら何になりたいか」がわからないのです〜😂😅 これ以上大きくなったら困る〜😱🤣
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