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リアルに「ロスト・イン・トランスレーション」

今朝ネットニュースのヘッドラインを見ていて、ある一行が目に入った。

sexy発言 米政界では時々使用

小泉進次郎環境大臣の、国連本部での気候変動問題に関する発言の記事だ。

一部メディアやコメンテーターと呼ばれる人々が、広い意味を持つ英語の「sexy」の意味を日本で知られたひとつの意味に当てはめ、また発言の一部を切り取って批判を浴びせている様子は、まさに「ロスト・イン・トランスレーション」。

「翻訳(と報道)の過程で真意が失われた状態」に見える。

(ちなみに、私は小泉大臣のファンでも何でも無い。念の為😅)

今話題の小泉大臣の発言は大体こんな感じ。

On tackling this issue, everything's got to be fun. And she added "also sexy". I totally agree with that.
In politics, there are so many issues, sometimes boring.
On tackling such a big-scale issue like climate change, it's got to be fun, it's got to be cool, and it's got to be sexy, too. 

隣に居たクリスティアナ・フィゲレス(Christinana Figueres)氏の「Let's make green sexy(環境への取り組みを魅力的なものにしましょう)」発言を踏まえ、小泉大臣が「sexy」を引用したようだ。

「気候変動の問題には楽しく取り組まないと。そして、彼女が『魅力的であるべき』と言うのに、私も賛成です。
政治で扱う問題はたくさんあり、時に退屈です。
気候変動のような大きな問題は、楽しく、カッコ良く、興味を惹くようなやり方で取り組んでいかないと」と言う意味だ。

人々がワクワクするような形で取り組まないと、と言う感じ。

この時の「sexy」の使い方に関しては、少なくとも北米英語を使って暮らしている私は違和感を感じなかった。なぜなら、企業の会議中でも割と普通に耳にする言葉だから。(イギリス英語においてどうかは不明。)

例えば、私が居た医療系ソフトウェアを作る企業においてや顧客との会議の場でも、英語ネイティブの元上司は「この案はsexyだけれど、現時点での採用は難しいですね」と言う具合に「sexy」を使っていた。

これには補足説明の必要性も誤解の余地も無く、「カッコ良い」とか「ワクワクするような魅力のある」と言う意味だ。

公式な場で使う単語では無いと断言する日本人コメンテーターもいるが、米政界に限らず色々な場面で使われてもおかしくないと私は思う。

とある日本人の英語のエキスパートの方が「海外メディアにも誤解を招いている」「フォーマルな場では口語過ぎる英語は避けるべき」と発言されているのも目にしたが、個人的には同意できない。

英語ネイティブではないメディアはわからないが、少なくとも英語メディアの方々は今回の「sexy」を「性的な魅力のある」と勘違いするとは思えない。

海外メディアが注目するのは会見で「sexy」や「fun」いうキャッチーな言葉を選んだこの若き大臣が、多くの二酸化炭素を排出している日本をどうリードしていくかなのでは?と個人的には思った。環境大臣就任直後とは言え、キャッチーな発言の割に具体策が無いと言う点が問題なのだ。

また、議会などのフォーマルな場において、英語ネイティブのアメリカ大統領や議員も口語的表現は普通に使うものなので、彼の口語的な表現がそこまで問題?とも思った。なにせ、喋っているので口語的になるのは自然なことかと…😅

英語のエキスパートの方は「it's gonna be」とか「it's gotta be」と言う崩した喋り方も批判されていたが、北米ではあらゆる場面で普通に耳にする言い方だ。
(それよりも、このエキスパートの方が小泉大臣の英語を聞き取れておらず、間違ったご指摘をされている事の方が気になった😆)

それに今回の小泉大臣の発言は、ネクタイすらしていない場でのもの。そう考えると、本当にフォーマルな場だったのだろうか?と言う疑問が湧く。

今回の報道は、「sexy」という英語の意味を正しく理解・翻訳せず、またクリスティアナ・フィゲレス氏の発言を参照している事実を省くと言う「ロスト・イン・トランスレーション」のダブルパンチ👊👊

石炭火力発電に関しての質問に対し具体案を提示できなかったことが問題なのに、それが隠れてしまった今回の報道。

情報に対するアンテナの張り方や、受け取った情報をどう解釈するのかなど、気をつけないと本質を見失ってしまう。

これはニュースに限らず、身近に起きることに関しても同じだろう。

解釈の仕方が人それぞれである以上、同じ言語で話していても「ロスト・イン・トランスレーション(翻訳時に真意が失われること)」は起こりうる。

そんなことを考えさせられた今回の報道が全く「sexy」ではなかったのは、言うまでもあるまい…😅

aloha & mahalo!

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