巡礼9日目〈ナバレッテ~アソフラ、21.8km〉

(昨夜、夫は遅くまで同じ宿のドイツ人男性と話し込んでいた。なにやらわけありの人だったようで、夫は彼に50€を貸したというが、そのお金はぜったいに戻ってこないと私は確信している)

やってしまった。twitterに「まったく夫がひ弱で困る」なんて書いていたら、その仕返しみたいにまんまと風邪をうつされてしまった。体力勝負の旅の途中だというのに、情けない。

足の痛みはもうほとんどないけれど、加えて、今度はとにかく肩が痛くてたまらない。右肩、左肩、今度は腰にとバックパックの重心を変えてごまかすけれど、肩こりを100倍くらいつらくしたような痛みに文字通り閉口、無言で耐えて歩を進める。

その肩の痛みにかき消されて、風邪の気配には気が付かなかった。けれど、冷たい雨のなかをろくな休憩も取らずに歩き続けているうちに、ずいぶんと悪化してしまっていたらしい。

ようやくアソフラの街に着き、アルベルゲにチェックイン。小さいけれど2人だけの部屋に入ったとたんにどっときた。熱はそれほど高くないようだったが、シャワーも浴びずに寝袋にもぐりこみ、19時半までこんこんと眠った。

今は、夫が1人で外に食事に行っているので、部屋のベッドにうずくまってこの日記を書いている。

体に不調があると心にも余裕がなくなってしまって、夫が「荷物を持とうか?」と心配そうに言ってくれていても、不機嫌に断ってしまったりして、優しさに十分に応えられない。私は夫の具合が悪い時に、こんなに優しくしてあげられたかな……?(いや、さっそく風邪なんてひいて、と笑っていた!)と反省する。

そういえば今日は、夫がこの旅にでる前に買ってくれた小さな鏡をバルに置き忘れてきてしまった。これでこの道中になくしたものは、オリソンのアルベルゲに忘れたガイドブックとドイツ語の本、手ぬぐい1本(お気に入りだったはずなのに、どこでなくしたか、どんな柄だったのかも思い出せない)に続いて3つ目になる。

自分たちの愛情もなくしてしまった!なんてことにならないように、夫が帰ってきたら、目一杯その優しさに応えて、返してあげようと決める。

聞き覚えのある足音が外に響いたと思ったら、夫が部屋に駆け込んできて、「みてみて」とカメラを差し出した。そこにはレストランの前菜メニューの「Arroz a la cubana(キューバ風ライス)」という米料理が写っている(なんでキューバなんだろう?)。それがとても美味しかったからぜひ食べてみろというわけだ。食欲はあまりなかったけれど、決めたばかりの決意に従って出かけることにした。

徒歩2分ほど歩いたところにあるレストランで、その4.9€のライスを食べる。うん、たしかに食べやすい。絶品!というわけにはいかないけれど、久々に米にありつけて本当にうれしい(最後に食べたのは2週間くらい前、ミュンヘンの自宅で食べたチャーハンだ)。

しかし、優しくて細かくて世話焼きの夫は、まるで私の母親そっくりだ。

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※夫の手記はハフィントンポストで連載しています。→風邪も吹っ飛ぶ"キューバ風ライス"

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サンティアゴ巡礼記

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