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Vega

Memento seriesの8番目からは
夏の大三角をテーマに3作品連続でお披露目します☆

まずはこと座のベガから。
Memento series8となる作品ですね。


夏の大三角をテーマにギリシャ神話を題材にはしましたが
そこに私の考えや経験や感じたことをもとに作品を製作しました。
お読みいただけますと幸いです。

ベガはこと座のα星で色は青白い色をしており、
竪琴の名手として有名なオルフェウスの琴が星座になったものです。

どうして琴が星座になったのかをご存じない方もおられると思うので
簡単に説明させていただきます。

こと座のお話は、竪琴の名手オルフェウスとその美しい妻エウリュディケの二人の悲しい物語です。

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ーオルフェウスとエウリュディケー


オルフェウスとエウリュディケは
二人は大変仲睦まじく幸せに暮らしていました。

ですが不慮の事故でエウリュディケは毒蛇にかまれ死んでしまいます。
これを知ったオルフェウスは嘆き悲しみ、
愛する妻を取り戻すために冥界に下ります。

冥界の王ハデスに妻を帰して欲しいと懇願するオルフェウス。
ハデスも最初はかたくなにエウリュディケを地上に戻すことを拒否していました。
ですがオルフェウスの奏でる美しい竪琴の音にハデスの妻ペルセポネが心を打たれ、 ペルセポネのお願いを聞く形でハデスはオルフェウスの願いを聞き入れエウリュディケを地上に戻すことを許します。


ただし条件がありました

それは

「冥土から地上に上がるまでは決して振り返ってはならない」


ハデスの許しにオルフェウスはとても喜びました。
エウリュディケの手をひき地上に続く道を歩き続けます。

ですがここでオルフェウスの人間としての弱さが出てしまいました。

途中で妻が本当についてきているかどうか不安になり、
もう少しで地上というところで後ろを振り返ってしまったのです。

「さようなら、これが最後のお別れです」

の言葉と共にエウリュディケは叫びながら
再び冥界に連れ戻されてしまいました。

オルフェウスは自分の犯したことを後悔し、
彷徨い、気が狂って川に身投げしたとも、
また酒に酔ったニンフたちに八つ裂きにされたとも言われています。

その後オルフェウスの音楽の才能を惜しんだ大神ゼウスが
オルフェウスの竪琴を天に上げて、こと座としました。

(その後二人については三番目のデネブでお話しします)

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オルフェウスのこの悲劇はさまざまな作品のテーマに使われるほど人々の心に訴えかけるお話しです。

オルフェウスは自分をとても後悔して責めたと思います。

エウリュディケの最後の顔はきっと忘れることのできない悲痛なものだったでしょう。
ましてや自分の失敗で妻を再び冥界に戻してしまったのです。




大切な人や存在がいなくなったとき
自分を責めたり後悔したことはありませんか?


こうすればよかった

なぜああしたのだろう

もっとこうしてあげればよかった


私は愛鳥や愛犬が亡くなるときの、
また祖母の最期の顔は忘れることはできません。

その表情が思い出されてしまうことが度々ありました。
今でもあります。

また穏やかな表情であったとしても
もうその温かさは自分の手に戻ることはなく
動く表情はもう自分に向けられることがないのだと思うと
とても切なくなりました。

そして先ほどの考えになります。


なぜ、もっと、あの時



ですがある時気が付いたのは、

もし自分が逆の立場だったら

自分を責めないでほしい、
ともに過ごした日を忘れないでほしいということでした。

また最後の辛い姿で記憶するのではなく
元気だった姿で思い出してほしいということでした。


笑い、遊び、励ましてくれた
共に過ごした日々での彼らはとてもはつらつとしていた。

家でおかえりと迎えてくれ、温かさで包み込んでくれた。

元気に走り回り、飛びまわり
その命は確かに輝いて燃えていた。


きっとエウリュディケも、
引き戻される時は悲しみの表情だったと思います。

「さようなら、これが最後のおわかれです」

この言葉を伝えることがどれだけ辛い心境だったかは想像できません。


でもオルフェウスがずっとその表情のまま自分を記憶し、
悲しみや後悔に飲み込まれ命を落とすことは願っていなかったと思います。

今回私はベガを
竪琴の主のオルフェウスを主役にするのではなく、

天に上げられた竪琴を持ち、在りし日の姿でほほ笑む
エウリュディケの姿として描きました。

空に昇った命の炎

地上で消えた炎はのちに
天で燃える命の光

思い出して
忘れないで

共に燃やした
光の記憶

『思い出してほしい。

    確かに存在した笑顔の私。』


いずれどのような形でも命を持ったたものには【最期】は必ず訪れます。


『失った時』を後悔するのではなく。
『戻らない時』に感謝すること。


とても難しいことです。

難しいことなのですが

自分が逆の立場ならば私は大切な人にはそう思ってほしい。



これは私のMemento『忘れたくない』でもありますが


これはいなくなってしまった者たちから、

生きている私達への

忘れないでの【Memento】なメッセージ。


Maho

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