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「運が悪かった」といえる実力

長寿シリーズものの映画は、何を見ようか迷ったときに、悩まずに選びやすいから助かる。特段思い入れがあるわけじゃないけど、あると気持ちが豊かになる、柿ピーみたいな存在。自分にとっての柿ピー映画は「007」なわけです。すいませんファンの皆さん、これはほめてるつもりなんですが笑、ただ、時にはちゃんと目的意識をもって手にとる高級な地域限定柿ピーみたいな作品もあって、やっぱりクレイグ007、その中でもサム・メンデス監督の直近2作品「スカイフォール」「スペクター」は薄暗くて、悲哀があって、ヴィランも変態っぽくて、なんだか惹きつけられて劇場まで見に行った柿ピーです。年末に久々にスペクターを二度目の視聴をしたんだけど、やっぱりいい佇まいの映画だなと思いながら、結局このジェームズ・ボンドという男は何がすごいんだろうかってふと考えていたわけです。

多分これは、そんな野暮なこというなっていう石が飛んでくるに違いないんですけど、僕の結論は要するに、運がクソいいんだなこの男って思ったわけです。爆破されようが撃墜されようが大男にチョークスリーパーされようが空から飛行機が降ってこようが、死なない。一番「死因」になりそう銃弾も全部よける。冷静に見ちゃうと「うそでしょ!?」の連続で、007の本質は「めっちゃ運がいいやつ」だなと元も子もないことを考えながらみていた。あ、運がいいっていうよりは、「引く運がいつも、低確率なほうに行く」って感じかもですね、悪運も半端ないから。まあおいといて、でもさ、ほんとにただ運がいい男の物語ってだけなら、ラッキーマン(ネタが古い)でもいいわけで、あんなに女にもてまくらないわけで。

ふと、運がいいかどうかが物事を結果を左右するのって、そうとう実力で追い詰められたあとなんだと考えた。半端ない身体能力とコネクションと交渉術とテクノロジー導入と洞察力。それでもうまくいくかどうかわからない。向こう岸まであと30%のところまでは実力で橋を架けられたとして、のこりの30%が、運なんじゃないかなと。言い換えると、「あとは運がいいかどうかでしかない」と言える域まで、実力で追い詰め切れる人ってそんなにいない。世の中でつぶやかれる大抵の「運が悪かった」は、運で勝負が決まる域まで行ってないってことなのかもしれない。プロって、「あとは運だな」と達観できるまでやれることやった人なのかもしれないなあと、また死にかけながらも死なないダニエル・クレイグを見ながら考える変な映画鑑賞。最近はそんなことばっかり考えながら見ているので、純粋に楽しめてない気もするしこれが楽しみ方な気もする、きもいね自分。

追記:
そういえば昔こんな記事も書いていた。運と実力、どっちが重要?とか、そういうことじゃなく、関係性をとらえて日々頑張ると、心穏やかにじりじりと前進できる気がします。


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