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ほめ下げる

意味:
行為としては褒めているのだけど、結果として対象物の価値を貶めるような発言のこと。

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脂ののったとてもおいしい刺身や鮨を食べたときに「まるでお肉みたいにおいしいですね!」とほめる人は少なくないのだけど、そのたびに、じゃあ肉を最初から食べればいいのにと思う。暗にその人の頭の中に「肉>魚」の序列があることが、バレてしまうような発言で、なんだか魚が気の毒になるわけです。「お肉みたいにジューシーですね」ならまだ、事実を述べているだけだからまだしも、お肉みたいにおいしい、というと、やっぱりダメなんじゃないかと、肉派の自分としては思う。こういうことを言ってしまうことって、ほかのジャンルでも日々多発しているんだろうなと。

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面食いで美人とばかり付き合ってきた男性が、ようやく一人の女性に落ち着いて幸せそうにしている。今の人を称して、「やっと、女性は顔じゃないなあって気づいたんだよね」と、穏やかな表情で言っているらしいが、これも、ほめ下げているのだけど、本人は本当に大切な本質に気づいたんだ的な満足で満ち足りた顔で言っているのでもはや何も言えない。

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ほかの物事を下げ、対象物との段差を使ってほめるということを人間、とかくやりがちで、それの間違った応用編みたいなことなのかもしれない。段差を使いたいなら、ほかの物事を一回あげて、それから比べてもさらに上である、という言い方をしないといけないと思う。

お肉のようにジューシーな上に、お魚のコクがある
顔も好きだけど、なにより居心地の良さが好きなんだよね

こういうことなのだけど、いま書いてみて、ほめ下げてしまいがちな人は、正直な人なんだろうなと、書いてみた言葉の嘘くささに思う。正直であることがチャーミングになる人になるのが、一番生きやすいのかもしれない。

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