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和空間建築③土地について

決まった土地は、古家つきの土地でした。

見学の際に足を運んだとき、その家の売主さんがいらして、80代のおじいさんでした。

とても80代には見えず、足腰もしっかりしていて若々しい方でした。

色々と話しをして下さいました。

20年前に奥様を亡くし、
子供もいないために、お一人で過ごされていたようです。

年齢が年齢なので、広い傾斜地の雑草処理や、炊事が面倒で施設に移ることにしたそうです。

まず、一番初めに話してくれたことは、

「冬はね、(指を差し)ちょうどあそこから太陽がのぼって、南をこういう風に通り、
西のあの辺に沈んでいくんだよ」

と教えてくれました。

とても嬉しかったです。

聞いてないのに、自ら話すというのは、おじいさんも太陽の恩恵を感じながら、太陽と共に暮らしてきたんだなぁと感じたから…。

お庭には、色々な花や樹木が沢山植えられていて、大切にされてきたのが伝わってきました。

ミカンの木、柚子の木、梅の木、杏子の木…
石楠花、牡丹…

ミカンをその場で採ってくださり、頂いたらとても甘くて美味しくて感動しました。

太陽が満遍なく当たるように枝の剪定をしたり、肥料あげたりと愛情込めて育てているのがとても伝わってきました。

そして、除草剤などは使わないとのことでした。

なぜなら、春には蕗のとうが芽だし、
ミョウガなども採れ、食材になるからということでした。

本当に大地からの恩恵を有り難く受け取っていて、素敵だなぁと感動しました。

奥様を亡くしてからも、きっとこのお庭の草花や樹木たちがおじいさんを支えてきたんだな…と何だかとても心が打たれ、温かい気持ちになりました。

こんなに大切にしてきた土地を譲って頂けるのならば、本当に有り難く、ずっと大切に守っていこうと決意しました。

この土地をとても気に入り、手放せなかった理由でもあります。



でも…

この土地に決まってから知ることになったのは、

解体工事にあたり、花や樹木もすべて伐採しなければいけないということでした。

一つだけでも残しておきたかったのですが、
重機が入るので難しいと言われ…

すごく申し訳ない気持ちでした…。

伐採の前に、現地に赴き、木に伐採することのお許しを得るためにお祈りを致しました。

現地に足を運ぶたびに感じていましたが、

本当に優しい大地なんです。

この時も大地の優しさを感じていました。
お許し下さっていると感じていました。

おじいさんを今まで守ってくれたお家にも感謝をし、お祈りしました。


おじいさん、これからも元気でずっと幸せでいてください…

この土地を大切に守っていきます。


次回に続きます…



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