1 【経営】自分の仕事は自分事?

弊社は,実働部隊と事務職の2つの役職がある。
私は実働部隊であり,会社の経営者だ。
仕事上は,いわゆる上司と部下のような感じで実働部隊と事務職とが関わっている。実働部隊が1人につき120件前後の案件を,事務職は1人につき100件弱の案件を抱える状態で,1案件につき実働部隊1名と事務職1名とが担当になって,クライアントにとあるサービスを提供している。

この「実働部隊:事務職」の人数比率に関しては,当初,実働部隊1人に対し,事務職が3人くらいつくイメージで案件を回していけば,実働部隊1人がもつ案件数が増え,売上も増加すると考え,その方法で仕事をしていた。
結果として,実働部隊は1人につき200件から300件くらいの案件を持ち,事務職1人が100件くらいの案件を持っている感じだった。

経営的な側面でいえば,実働部隊の方が圧倒的に給与が高い。私に限って言えば,一番低い事務職の子の給与の4倍はもらっている。したがって,比較的給与が安い事務職を多く雇って,彼らに仕事の大半を行ってもらい,実働部隊は,いわゆる決裁官のようなイメージで仕事をした方が,売上にしめる人件費率も削減できる。

当然だが,人の労働能力は有限なので,1:3の構成をとれば,実働部隊が1つの案件に対する手数は減る。つまり事務職の手数が増えるのだ。

ただ,この方法をとるためには,ある程度行う案件を固定化していく必要がある。事務職は,実働部隊に比べて,圧倒的に知識が劣るからだ。知識がない事務職が行うことができるのは,言葉を選ばずに言えば,ルーティンワークであり,思考を働かせることの少ない事務作業や,クライアントからの電話対応等であり,思考を働かせていく仕事は実働部隊の仕事なのだ。

つまり1:3構成を行うためには,圧倒的に事務作業が多い案件を中心に取り扱っていく必要があったし,そうしてきた。

しかし,前職を退職して,独立して以降,少々シフトチェンジをして,思考を働かせる仕事が増えてきた。その結果として,1:3だった構成が徐々に1:2へと変更され,今後は1:1を目指すようにと考え始めていた。

そんな中

仕事の「手数を減らそう」という議論が議題にあがった。

弊社は,仕事上は上司と部下のような関係であっても経営に関しては,全員がフラットに議論をする仕組みをとっている。
したがって,会議の場では,誰が何をいっても自由だ


「手数を減らそう」が議題にあがること自体はいいんだけども…
その目的が不明なまま,手持ちの案件数を減らそうという流れになり,公告で案件を獲得している弊社では,広告費を抑えよう,なんならストップさせようというところまで話が進んだ。

しばらくは議論を静観していたものの…
手持ちの件数を減らせば回転率が早くなるから,適正な案件数まで減少させよう。その方が売上もあがるはずだ。
早く帰れる方がいい
ストレスがある
等,人によって議論の目的が様々で,このままでかみ合うはずがない

目的がないまま,手段の話をしているのだ。

売上の伸び率がイマイチだねっていうところから始まって,原因が手持ちの案件が多いからだという結論になったならば,改善策として減少させればいいとなるのは理解できる。
残業が多いねというところから始まって,原因が手持ちの案件が多いからだという結論になったのなら…
ストレスやばいねというところから始まって,原因が手持ちの案件が多いからだという結論になったのなら…

そうではなく,いきなり,手持ちの案件数を減らそうと。

なぜなのか。

満を持して「手数を減らそう」の理由を尋ねたが,やはり人によってまちまちだった

公告を止めることは,将来の売上に影響がでる。
弊社の業務の仕組み上,案件を受けてから,キャッシュ化するまでに半年から1年くらいのタイムラグがある。
いま公告を止めて,新規を受けなくなって,それが楽になっても,今度は半年後にキャッシュが足りないという最悪の事態がやってくることは目に見えている。
この点についても,
なんか理由は忘れたけど,試算したら大丈夫だった
という漠然とした回答でクリアしようとしてきた。
大丈夫なわけがない,と頭ごなしに否定するつもりはないが,本人が「理由は忘れた」と言っている以上,大丈夫という確信などもてるはずがなく,確信がもてない以上,ゴーを出すべきではない。というか出せない。

なぜ手数を減らさなければならないのかが明確ではないのに,この議論に何の意味があるのかわからない。

ただ,一つ言えることは,皆何かしらに不満を持った状態で働いているということ。

手数を減らしたいのではなく,働きたくない,楽したいと言っているように感じられた。

思うように案件を終了までもっていく時間的ゆとりがない者,新しい分野への参入に対し知識不足からくる不安をもつ者,ストレスが溜まっている者(そもそもストレスの原因を考えろ,という突っ込みは呑み込んだ)…

遊びは楽しい,弊社社員は遊びに行くとみな全力で遊んでいる
朝まで飲んで騒いで…
何なら企画からかなり綿密だ
残業して,飲み会を開いて旅行の計画まで立てている

しかし仕事はそうではない
この違いはなんなのか

なぜ仕事は楽しくないんだろう。

楽しくない原因はなにか。
何か問題が起こったとき,システムエラーとヒューマンエラーがある…とキングコング西野さんがおっしゃっていた(西野さん大好きです)。

ヒューマンエラーを責めることは簡単だけど,ヒューマンエラーを責めても解決はしないし,前に進まない。何よりも,目的はエラーを責めることじゃなくて,エラーを繰り返さないことにあるのだから,エラーはチャンスと捉えて,エラーが起きたときには,なぜエラーが起こったのか,ヒューマンエラーに直接的な原因があったとしても,そのヒューマンエラーを生み出した,システムエラーは何なのか,という点に目を向けることが必要だ。

西野さんのお話を私なりに理解したのが上記だ。
感銘を受けたから早速実践

ということで,考えた。

みんな楽しめていないのはなぜか。
仕事だから?
つまらない仕事なら辞めちまえという持論。とっとと楽しいことやった方がいいよ。人生一度きりなのだから。
しかし,少なくとも弊社社員は立ち上げ当初から携わっている者が大半で今回の楽しめない問題も,その立ち上げ当初から携わっている者から出てきている。

つまり!!もともと楽しいと思って始めた彼らが楽しめていないのだ。

これは社員それぞれだから,決め打ちはできないけれども,新しい分野ばかりでわからないことが多いという意見は気になった。

わからないなら,勉強しなさいよという思いをぐっとこらえて…

確かに,わからないことは不安だ,と理解することからスタートする。

わからないことは不安だ。
かくいう私も分からない分野になると急に仕事のスピードは落ちる
どの文献に当たればいいのか,というところからスタートして,あらゆる書籍に当たりながら,進んでいく。
まさにジャングル探検状態だ。

それでも進んでいくのはなぜか。
仕事が「自分事」だからだ。
私がやらなければならない,私が引き受けた仕事だからだ。
私を頼って,私に任せてくれたクライアント一人一人を思えば,進むという選択肢しかそこにはないし,進むからには,ただ前進するだけではなく,しっかりと道を作って進んでいきたいという私の信念があるからだ。次,また同じようなクライアントに出会ったときに,「こんな道がありますよ」と示したい,示せる自分でありたいから,道を作りながら進んでいく・・

しかし,彼らはそうではない。
あくまでも我々の仕事をサポートするのが彼らの仕事で,我々のように自分の名前で仕事をするわけでもなく,我々のように自分に任されたんだという自覚も持てない。

そんな彼らが楽しいと思うためには…

我々が彼らに「自分事」としての仕事を与えてあげなければならない。

単純な事務作業以上のことをやりたいのに,わからないからできない。
自分事ではないから,道を作っていくだけの動機付けもない。

そんなことに気がついた。

だから,これから考えたい。

彼らが自分事として仕事を進めていく方法を考え
楽しいと思える仕事を提供したい。

独立開業してから,1年以上たって,前職から持ってきた仕事も徐々に落ち着き,弊社オリジナルの仕事が大半を占めるようになってきた今だからこそ直面したこの問題を,未熟ながら1経営者として検討をしていこう,そして,その記録を残していこうと思う。





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