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パリを心から愛する人たちの共通点

長いパリ生活の中で出会ってきた人たち(知り合いでも、道で10分話しただけの人でも)と世間話をしていると、話の節々で見えたりする、その人のパリへの想い。

例えば、パリが嫌いだと口では文句を言いながら、でも他の街では生きられないパリジャンとか。 
モンマルトルで生まれ育ち、今もモンマルトルから出ることがほとんど無い高齢のマダムとか。

色々な人がいるけど、会話をしている中で、パリに対する気持ちに他の人とは違う、特別な厚みのある人、芯のある深い愛情が滲み出ている人に時々出会うことがある。
明らかに他の人たちとは違った温度でパリを語る人々。
それはフランス人であっても、外国人であっても。
そして私は数年前、この特筆すべきパリへの愛情を持った人たちには、共通点があることに気付いてしまった、と思う。

それは道の名前を記憶していること。
パリではどんな小さな道にも名前が付いているのだけど、それをとても大切そうに発音し、会話に混ぜてくる。それもごく自然に。
例えばある場所について話す時、
「Rue BonaparteとRue du Fourの交差点のところにあるチーズ屋さん」みたいに。

この、道の名前を記憶しているタイプの人たちはたいてい街の歴史にも詳しく、私の知らない過去のパリについて教えてくれたりして興味深い。

私が、自分の撮った写真のタイトルに、その道の名前を付けることが多い理由は、ごく稀に出会うことのできるこのタイプの人たちに感じる強い憧れと尊敬の想いからきています。


ちなみに、約5000あるパリの通りの中で、男性の著名人の名前が付いているものが約3800。
そしてなんと女性の名前が付いているのは、たったの250ほど。
パリ市はここ数年、女性の名前の付いた道を増やすプロジェクトを遂行中で、少しずつ増えているようだけど、いつかもっともっと増えるといいなと思います。

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