見出し画像

神さまのジュエリー

畳の上で耳たぶに貼るシールを触っていた。青色で透明で、キラキラは入っていなかった。それが本当にふとはずみで、耳の穴に落っことしてしまった。寝転んでいたから、吸い込まれていった。神さまにお願いして誰にも言わずに、耳に虫が入って懐中電灯を当てるような懇願した思いで、祈っていたけど、結局出てはこなかった。もしかしたら、一年生ほどの子どもは見落としているかもしれないし、服にくっついていたかもしれないと、今は思うけど、でも病院にいかず、大人に言わず。あの三日月の形をしてプクッとした硬さはどこに行ってしまったんだろう。あれから何度も思い返す。

もう一個身体のどこに、行っちゃったんだろうというのがあって、保育園の庭にあった緑の硬い小さなトマトみたいなオレンジになる実を、緑のまま摘んで、鼻に入れてしまった。あれも、どこに行ったんだろう。車の後ろで、きっと騒いだだろうけど、出てきたところを覚えていないし、出てこなかった結末しか思い出せない。

あのころは神さまの子どもだと信じていたから(宗教は知らないまま)その願いでブラックホールのような異空間と身体が繋がって、宇宙へ放り出してくれたと想像しては、慰めていた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?