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第二十七回文学フリマ東京

 1年が本当に早い。こないだ文フリ札幌やったばかりなのに、もう東京へ行くのか。

 昨年の冬、まったく本が売れなかった苦い思い出が残ってしまった文フリ東京。凝りもせずにまた申し込んでしまった。

 今回は、前回中途半端な形で出してしまったSFをきちんと完結させて出すつもりだった。なのにそれも間に合わず、結局文学コンクールで落選したものに手を加えてなんとか新刊を1タイトル出すことに。

「バーバー八番地」、今回の新刊これだけ。札幌の自宅で印刷してきた表紙と本文を、宿泊しているホテルの部屋でひたすらガチャンコガチャンコとホチキス留め。去年の東京からかなりの冊数をガチャンコしてきたんだけど、なかなか上手くならないな。きれいに真ん中を綴じることができなくて何回かやり直し。

 それでも、過去三回の文フリを乗り越えてきただけあって、他の準備は首尾良く進んでいた。

 共有スペースに置く見本誌やチラシはちゃんと札幌で「あとは置くだけでオッケー」の状態まで準備して、荷物の一番取り出しやすいところに入れた。ほか、ディスプレイ用品はあちこちにバラバラにせず、これもきちんとまとめてすぐ出せるようにした(前回はとにかくむりやりキャリーに突っ込んだので仕分けバラバラだった)。

 見本誌は1サークル3冊までしか置けないので、一番買ってほしい「したっけ」と「今日も生きてる」、それから新刊の「バーバー八番地」を置くことにした。チラシは中吊り広告っぽく作った。

 中吊りっていったら赤!青!黒!ゴシック!みたいな感じなんだけど、ややおとなしめに。30枚ほど印刷して持っていった。見本誌もチラシもどのくらいの効果があるかはわからない。でもやれることは全部やらないと。前回よりも多くの人に手にとってもらわないと悔しいし。

 そして11月25日の文フリ当日。開場1時間前に会場入りしてまず自分のブースを探した。机に貼ってあるブース番号は小さいので見つけるのは難儀だった。ようやっと見つけて荷物をおろし、さっさと見本誌とチラシを2階の共用スペースに置きに行って設営に戻る。

 出来上がりはこんな感じ。昨年ユザワヤで買った布にステンシルでサークル名(サークルって言ったって今んとこひとりだけど)を入れたものを机にかけて足元を隠す作戦。

 ディスプレイ用の棚は今回しまや出版さんの「ダンダン段ボール」のミニを使用。組み立てやすいし、たためばキャリーに入るし、軽いし言うことなし! これに100円で出す5タイトルの見本をディスプレイして、反対側には「したっけ」「今日も生きてる」といったちょっとお高めのタイトルの試し読みを置き、その上にチラシを吊って目立たせた。チラシハンガーは前日にかっぱ橋道具街で安く手に入れた。

 本の在庫は机上に置くのをやめて、足元の段ボールにまとめた。前回よりずっとスッキリ手際よく設営できた。進歩。

 今回の文フリ東京はブース数が1000を超えたため、通路やスペースが狭くなるよって通知が予め来てたんだけど、いざ会場に入ってみるとそう気にするほどでもなく、むしろちょうどいいくらいだった。お客さんの通る通路はこれまでが広すぎて距離を感じたもの。売り子の背中側のスペースもそれほど狭いとは感じなかった。

 11時、周りのブースの方々と挨拶を交わしいよいよ文フリ東京スタート。前回は休憩中の札を用意して堂々と他のブースを見に行ったりもしてたんだけど、今回は休憩を設けずにほぼびっちりブースにいようと決めた。できる限りお客さんとコミュニケーションをとりたい。

 積極的な呼び込みはしない。ときたま「こんにちは」とだけ。挨拶は正義。ありがたいことにかなり早い段階からぽつぽつ本が売れた。売れたらメモに記録をつける。何が売れたか、買ってくれた人はどんな人だったか(ヤダ気持ち悪い…)。

 イベント中ってテンパっちゃって興味を持って本を手にとってくれた方々のことを記憶に留めておけないのだ。それはなんか悲しい。だから忘れないうちにメモに書きつける。

 それによれば、本を買ってくれた方の年齢層は10代後半から60代くらいまで。最初のお客さんはメモを片手に来てくれたので、あらかじめカタログか見本誌を見て「ここ行こう」って思って来てくれたのかも。そうなら嬉しい。年配のご夫婦が自由律俳句の参考にと「ひとくち自由律」を買ってくれたのも嬉しかった。

 エッセイ「今日も生きてる」が面白かったと言ってくれた方がいた。わたしのラインナップにはほかにエッセイがないので、ネタが集まれば続編を出したい気持ちが高まった。昨年出したSFの続編はないかと問い合わせてくれた方、本当に申し訳ない。出したかったけど叶いませんでした。

 17時のお開きギリギリまで、片付けをしつつも販売は続けた。ギリギリでも買ってくれた方が2人。本当にありがたい。そして、トイレ休憩すら取ることもなくイベントは終了。見本誌のうち既刊を回収。チラシは全然減ってなかった。会場の片付けをして流通センターをあとにした。

 この日は3連休の最終日。翌日から仕事なのですぐに札幌へ戻らなくてはならない。羽田に向かう前駅トイレで用を足すと「膀胱イテッ」てなった。「もうすぐ膀胱炎」の状態。さすがにトイレ休憩なしはマズかったわ(良い子も悪い子も真似はしないほうがいいぞ)。

 帰りの飛行機は遅れ、自宅に戻ったのは22時近く。疲れたけど、終わってみればいい思い出だ。特に今回は、お客さんにほめてもらえたことが嬉しかった。売上も、散々だった昨年よりはずっと良かった。

 次回は来年初夏の文フリ岩手。大好きなじゃじゃ麺を食べに行く!

 ちなみに、来年から文フリ東京は流通センターの第二展示場ではなく、第一展示場で「ばばーん」とやるのだと聞いた。わたしは来年は出店を考えてはいないのだけど、第一展示場でやるようになったらぜひ1回は出店してみたい。

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