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二度目の文フリ

 7月に札幌で初めて文フリに出店して「創作本というのはなかなか手にとって貰えないものだな」と実感。じゃあ東京ならどうだろう?という軽いノリで11月開催の文フリ東京にエントリー。札幌はサークルでの出店だったけど、今回はたった一人で遠征することにした。

 こないだの売れ残りが結構あるから売るものには不自由しないんだけど、やっぱり新刊が出したくて、文フリ札幌が終わってからぽつぽつと書いてはいた。しかも「間に合わなかったから出さんくていいか~」という逃げ道を塞ぐため、今回は表紙のイラストを描いてもらった。これで「出さない」ことは許されない。

 ところが、いざ表紙が出来上がって、文フリ間近になった時点で、まだ中身は書き上がってなかったんである。想定では7章80ページ前後のものをちゃんと無線綴じ製本にして、帯もつけてブースに並べるはずが、完成してるの2章しかないよ!製本も間に合わなかった!さあどうする?

本番前日の夜、ホテルで寂しく中綴じ作業。

 札幌でプリントのみ済ませて運んできた紙の束をひたすら折って~重ねて~ホチ留めして~の繰り返しを30回ほど。せっかく東京に来てるのに、行ったの銀座のユザワヤだけ(ブースの長机に敷く布を買いに行った)。なにしろわたし、東京入りしたのは文フリ前日の夕方頃で、当日もイベント終了後すぐに札幌に帰るようなタイムスケジュール。遊ぶヒマなんてない。

 夜遅くに手製本終了。化粧断ちができないことで表紙から本文用紙がはみ出る美しくないつくり。イラスト描いてくれた絵師さんにどうお詫びしていいものか・・・。

そして当日。

 新刊30冊、既刊短編40冊程、既刊エッセイ30冊程を引っ提げて会場へ。ホント重い。これを売り切って身軽になって札幌へ帰りたい。

 東京の文フリは出店者が札幌と比べ物にならんくらい多い(札幌100ブース、東京800ブース)ので、会場となった流通センターの1・2階を使って大々的に行われる。わたしは開場1時間前、1階に与えられたブースに到着して設営を始めたんだけど、まず会場の広さに驚いた。

 札幌では、出店者のスペースも、来場者が行き来する通路もわりあい狭かったんだけど、東京はブースの幅こそ違いはないものの、出店者の後ろのスペースはゆったりしてて、来場者の通路も広い。

 開場直前、運営スタッフさんから諸注意あり。「お客さんに対して大声で呼び込みをする人がいますが、まわりの迷惑になりますので控えてください。と言うか、過剰な呼び込みをすると逆に売れません!」と仰ってた。そうなんか、札幌では頑張って呼び込みしてたけど、ここではやらなくていいのか、と少し安心する。正直あんまり好きじゃないんだよね。

11時、開場。

 既刊の短編集とエッセイ、しおり、新刊(夜なべして作ったヤツ)を並べて誰かが手に取ってくれるのを「待った」。いやだってそうするしかないっしょ?呼び込みするなってんだもの。周りも静かよ。とりあえずは「わたしは怪しいもんではありません」オーラを出して、お客さんが近くに来たときに「立ち読みだけでもどうぞ」と案内することにした。

1時間経過。

 何があったんだよ(笑) これ思ってるのわたしだけかもしれないんだけど、会場が広くて、出店者や来場者が動き回るのに充分なスペースがあるのはありがたいことなんだけど、何と言うか、お客さんとの距離を感じる・・・。本を手にとって貰えないのは、自分に力がないせいなのか、通路が広すぎて物理的に距離が遠すぎるからなのか。

 昼をまわってしばらく経ったので、思い切って休憩をとって会場内(1階だけ)をぐるっと見て回ることにした。はじっこのほうにインドカレー屋さんが出店してて、すごくおいしそうな匂いがしてたんだけど、行列が長くて断念。本を見ることに集中。同時にいろんな方のブースのレイアウトを見て勉強した。

 本の紹介に動画を使っていたり、本を平置きではなく、背が見えるように立ててディスプレイしていたり、試し読みの本をページを開いた状態で飾っていたりするのはいいなと思った。財布の紐はゆるみっぱなし。

 こんだけ買ったもの。表紙がお洒落だったりインパクトあるものだったりすると手が伸びちゃう。当然自身の売り上げ分を考えると大赤字よ。ホント売れなかった。

 力がないことは素直に認めるわ。わたしSNSでたいしてオモシロイ事言ってないから知名度ないし。周りを見るとSNSで見て来たというお客さんに差し入れもらってた出店者さん結構いたし。うらやましい( ゚Д゚)SNSの力は絶大と思って慌ててTwitterで宣伝し出す。

 ひどいなコリャ。

 在庫全部売り切って身軽になって帰るんじゃー!と思っていたのに、結局売れたのは新刊5冊、既刊1冊、しおり1セット。帰りの荷物が重すぎるのでクロネコに頼んで自宅に送ってもらうことに。

 初めての文フリ東京は惨敗。でもイベントの規模はわかったし、札幌でやったときよりも反省しなくてはいけない部分がハッキリ見えた。これを次に繋げたいと思う。運営スタッフの皆さん、出店者の皆さん、本当にお疲れ様でした。来場者の皆さん、本を手に取って下さった方、ありがとうございました。

【追記】
 札幌に戻ったあと、文フリで買った本を少しずつ読んでるんだけど、どれも面白い。今回出した新作は完成度が本当に低くて恥ずかしい。次に向けてだらだら長くもなく、説明くさくもなく、魅力的な完全版として書き直したい。

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