2011年の原稿が出てきた。

メールを掘っていたら、古い原稿が出てきた。これ、東京新聞に連載してやつだ。文字数オーバーなのだけど、「面白いので切らずに載せます」という担当者さんからのメッセージ。懐かしかったので、以下再掲。

韓国の時代劇ブーム

韓国は相変わらずの時代劇ブーム。現在は「広開土王」「武士ペク・トンス」「階伯」「姫の男」の四本が放送中。韓国の連続ドラマは週二回だから週に八枠にもなる。

「日本では水戸黄門も終わるのにどうして?」と、日本人によく聞かれるが、不思議なのは、その日本でも韓国時代劇が好評だということ。つまり、韓国の時代劇には日本とは違う何かがあるのかもしれない。

韓国の人気時代劇は、若い女性から年配の男性まで視聴者層が幅広い。そこに登場するのは、「オスカルとアンドレ」(身分違いの愛)に、「意地悪なマリーアントワネット」、さらに「貧しくても健気なロザリー」と、まさに「ベルばら構造」。加えて、男性が好きな「義理と人情」「父親の敵」「立身出世」「アクション」「若干の史実」などが盛り込まれる。

この「史実」を取り巻く環境が日韓は大きく異なる。司馬遼太郎に代表される歴史小説が発達し、多くの国民が歴史物語を共有する日本では、新たなヒーローや人間関係を創りだすのは難しい。でも、韓国は先入観がないから自由。今人気のドラマだって、史実に基づいた話はほとんどない。

「最近のドラマはでたらめだ」と言う大御所演出家や、「子供たちが、あれを韓国の歴史だと思ったら…」と心配する親もいないわけではないが、大きな抵抗勢力とはなりえていないようだ。(韓国在住フリージャーナリスト、舞かなこ)

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