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そうだ、クロアチア

隣席の同僚が「今回(ワールドカップの優勝推しは)どこっすか」と聞いてきた。

そう言えば、最も好きなスポーツの世界大会数日前というのに、高揚感がまったくない。大団円を迎える仕事があり、それどころではないくらい精神を捧げているというのはサラリーマン稼業的に大きな要因だが、このチームを観たいというふわふわした気持ちが出てこない。

でも、聞かれた瞬間、「そうだ、クロアチア」という気持ちがまたわいてきた。
少し前に、Instagramでクロアチア代表がロシアに向けて出発する写真を観た。ルカ(・モドリッチ)もマンジュキッチもラキティッチも元気そうで、今回のクロアチアってそう言えばこれまでで最も選手が揃っている、と久々にどきどきしたのだ。
そしてあの日をまた思い出した。
生まれて初めてワールドカップを会場で観ることのできた2002年大会、私は最初にクロアチアvsイタリアを観た。父と2人で、見渡してもクロアチア人しかいない所に座り(私は当時好きだったインザーギのTシャツを学生の当時一人で暮らしていたつくばの家からカシマスタジアムまで着てきたのだが、ゲートを入った瞬間の赤白模様に気づいた父から即脱げと言われまずはタンクトップで席についた)、よくわからない言語の人々ととりあえずビールを飲み、高揚した気分で試合までの3時間余りを過ごした。
もはや試合の内容はおぼろげで、とりあえずヴィエリに決められているのにこんなん余裕やでみたいなことを言っているクロアチア人たちが、ラパイッチのゴールが決まって勝ち越した時にもう私たちにビールとか飲み物をどんどんかけてきて、これ以上ないくらいに楽しかったし大笑いした。(同点ゴールのオリッチのシーンは、いくら動画を観ても思い出せず、それは父も同じらしい。)
そんな一瞬の楽しさのために私は就職をやめ大学院に進学したし、それを許容してくれた両親には本当に感謝している。チケットは2枚しか手に入らず、そこで両親だけを行かせるという優しい心は発動できなかったけれど。

そうだ、クロアチア。
ハンガリーから夜行列車で行こうとしたけれど、二等は危ないからと言われ一等の料金を調べて貧乏学生は辛いなと思い、結局行けないままのクロアチア。
わたしの「ワールドカップを会場で観る」の夢を何百倍にも楽しいものにして実現してくれたクロアチア。
好きだ。

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