見出し画像

【日本のロックを熱く語る】THE YELLOW MONKEY

ついに、イエモンの登場である。長くなりそう。
このバンドもかなりクセが強いロックバンドだ。

彼らのことは、学生時代からギタリストの彼のおススメで知っていた。
しかし、例えば誰かに紹介するようなとき「イエローモンキーってバンドでね…」とか言うのはかなり躊躇われた。
まだメジャーになる前にしてこのバンド名は、正直に言ってなんだかダサい感じがしてしまって恥ずかしかったのだ。吉井さん、本当にごめんなさい。

しかし、イエモンは着実に知名度と実力をあげ続け、やがてメジャーな存在となり、その頃には自分も「イエローモンキーは割と初期から聴いてたかな」とか、厚かましくも宣っていた記憶がある。
ただの調子のいいロックバカだった。反省しよう。

イエモンのディスコグラフィーについてはあまり詳しくないのだが、わたしが最初にお、コレは!と思ったのは、悲しきASIAN BOYという曲だったと思う。
たしか、化粧品のCMソングとして使われた曲で、アップテンポで分かりやすい歌詞がいいなと思った。
他にもいろいろ隠れた名曲があったのだが、ひとまずここは、一気にすっ飛ばしてしまうことにする。

わたしがこのバンドは本当に素晴らしいと思ったのは、FOUR SEASONSというアルバムを聴いたときだった。中には、太陽が燃えているという、かなり有名な曲も収録されており、わたしもまたこの太陽が燃えているという楽曲をとても気に入っていた。


桜舞い散る春も 向日葵耐える夏も
秋桜が恋する秋も フリージアが眠る冬も


こんな四季感のある歌詞を書くミュージシャンは他に知らなかったから新鮮だったし、今でもこのフレーズは、わたしのお気に入りのフレーズの一つだ。

ヴォーカルの吉井和哉さんは、そういうどこか日本人的なセンスを持ち合わせている人だと思う。

以降、順不同でご容赦を!

楽園。わたしがメンソールのタバコを吸っていたこともあり、出だしからピン!と来るものがあった。
この曲はサビがとてもドラマチックだと思う。何か、果てしなくスケールの大きさを感じるし、歌詞ではその光景が浮かんでくるような感覚を覚える。

JAM。これは飛行機事故の下りがかなり有名になった曲だ。歌詞全体が非常にストレートだと思う。
ジャムとは血のことだろうか?
PVでは、吉井さんが暗闇でテレビの画面を観ながら、途中から真っ赤な血の様な涙を流している。


この世界に真っ赤なジャムを塗って
食べようとするヤツがいても


この歌詞からわたしは戦争や殺戮をイメージする。
そして、やはり以下の下りは外せないところだ。


外国で飛行機が落ちました。
ニュースキャスターは嬉しそうに、
「乗客に日本人はいませんでした」
「いませんでした」
「いませんでした」
「いませんでした」


吉井さんが、こんな報道にどれほどの違和感や疑念を抱いてきたのかがよく分かる。
実際にわたしも似たような疑問を感じてきたのだ。

このニュースキャスターはどこか安心している。日本人以外に乗客がいたことには無関心なのだろうか?

この曲が有名になって以降、わたしは現実社会でのニュースキャスターが、この手のニュースを、緊張感を装いながら報道するようになったように見えた。
JAMは、そのくらいに痛烈な社会風刺をテーマにした曲だったのだ。偉大なロックバンドだと思った。

イエモンの名曲はまだまだたくさんあるが、あと一曲ならばやはり自分が大好きな曲を選ぼうと思う。

バラ色の日々。
この曲は、絶妙なバランスの明暗を楽曲と歌詞で表現している。まさに、人生、山あり谷ありなのだ。

わたしはこのメロディや歌詞が大好きだし、心情も痛いほど良く分かる。だから励まされるのだろう。


追いかけても追いかけても 逃げてゆく月のように
指と指の間をすり抜ける バラ色の日々よ


という歌詞で始まるこの曲はこう締めくくられる。


砂漠の荒野に倒れても 長い鎖に繋がれても
明日は明日の風の中を飛ぼうと決めた

バラ色の日々よ バラ色の日々よ


歌詞全体を通して見ないと分からないとは思うけれど、この曲は弱さと強さを併せ持つ、わたしたち人間の人生を描いた作品なのだと思っている。

そこに、失っても失ってもバラ色の日々を探し続ける人々への力強いメッセージが込められている。

わたしはこの作品に込められた生きることの過酷さや、バラ色の日々よ、と最初から最後まで呼び続ける切実さが好きだ。人生はそうあるべきだと思う。

THE YELLOW MONKEYはこのように、独創性の高い、最高に個性的な日本のロックバンドだ。
たまにはlove love showみたいな愉快な曲もあったりして、彼らの豊かな人間性にロック愛を感じる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?