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マイキーの【映画館が世界で一番安全な場所だと知って】

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即興パフォーマンス集団:D( https://colond.org/ )で即興のパフォーマンスを月1でしています。 台本のお芝居に定期的に出演しています。 映画館の中は暗く、静… もっと読む
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記事一覧

わたしにとっての「イルオノワール」

「わたしはロランス」の中で、「イルオノワール」という地名が出てくる。 「ふたりで行ったことがあるの?」という問いに 「よく話にはあがるけど行ったことはないんだ」と、ロランスが答える。 ロランスとフレッドは、ある日イルオノワールを訪れる。 イルオノワールとはなんだろう。 話にはあがるけど行ったことのない場所。 わたしにとってのイルオノワールとはなんだろう。 行ってみたいと願いながら、行ったことがない場所。 きっとみんな持っている自分の「イルオノワール」 ロランスとフレ

【シング・ストリート】本当は行きたいところへどこでも行けるけど、まだ行けない人のことも愛してくれる映画

映画を観ると、人生は選択の連続だということを思い出す。 シング・ストリートは、選択出来る人が選択するまでの葛藤と素晴らしさだけでなく その選択がなかなか出来ずもがいている人の可能性も、応援して愛してくれる映画だと思う。 そして「自分」というのは、間違いなく人や物事に出逢った影響で出来上がった何かだということを改めて感じる。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 私は長女です。弟がいます。 そして、自他共に認めるブラコンです。まさにブラザーコンプレックス。 弟は勉強

【スリービルボード】世界は球体だから、良い・悪いで片付けられないことがある

東京コメディストア:Dメンバー、依田ちゃん絶賛の映画を観てきました。 「スリービルボード」 最近、「良い」「悪い」を頭で考えるより、自分の目の前にあることをやった方がいいなと思っています。 時間って有限だなと、つくづく感じているので。 そして、世界は・物事は球体だと思っているので、なんだって角度次第。 わたしにとっての正義はあなたにとっての悪。 あなたの好きなものはわたしの嫌いなもの。 それってもうどうしようもないから。 批判したり反発するよりも、その角度からみると世界

【映画館】他の誰でもなく、自分が自分を許せる場所

【ゴッホ 最期の手紙】あなたが素晴らしいことを、あなたにいちばん知って欲しかった。

確かにゴッホは売れたからゴッホになったんだと思うけど 見知らぬ子供にまで蔑まれ、世間から認められなくても、弟の愛に支えられ絵を描くことを止めなかったから、世がゴッホを知れた。 なぜ絵を描き続けたのか。 その欲望は原始的な気がする。 止められなったんだろう。 そこに愛も狂気も混在する。 けれど、あなたの絵がこんなに世間の人の心を掴んで2018年の今も離さないことを ゴッホ自身にいちばん知って欲しかったなと思わずにはいられない。 ‪私と友人が観終えた後に話したのは‬ ‪「

【獣道】本当のものがそこにあったから、嫉妬に縁震えて泣いた作品。

知人のおすすめで観に行きましたが ビジュアルのイメージからは遠く離れた感情を抱きました。 そして、何故この映画がこんなに評判なのか理解しました。 わたし、世の中でいちばん恐ろしいのは 「悪であることを世の中から認められている悪」 だと思っているんですけど そう思っていたからこそ、大切なことに気づいたというか。 人間て、そんな表面だけのことじゃないよな。と。 人に見えている部分が、 出している部分が全てだったら、 どんなにラクだろうと。 そんなことを思いました。

【其ノ灯、暮ラシ】涙が出るほど、最高にみっともないラブレター

最終日に滑り込んで映画を観て来ました。 ポレポレ東中野。 バンドを追いかけたドキュメンタリーという言葉からは連想出来ない作品でした。 正式にはセルフドキュメンタリーか。 どう表現すればいいんだろう。 オススメしたい人になんて伝えればいいんだろう。 そう思えるような、「その人」が詰まった作品です。 わたしは「その人」を感じる作品がとても好きです。 ------- 監督であるエリザベス宮地さんの、最高にみっともないラブレターだな。 途中、そんな言葉が頭に浮かびました。

【あゝ、荒野】即興で書かれたその瞬間の真実の跡が、そこに確かにあった。

観終わってすぐ、原作を買いに行った。 寺山修司の言葉でこの作品を感じてみたいと思った。 理解できなかった部分が、それこそ殴られるように流れ込んできた。 雨がザーザー降るような、たくさんのパンチを浴びせられるような、そんな気持ちになった。 開いて数ページで、目の奥が震えた。 叫びのようだった。 映画の中では、菅田将暉さんがよく叫んでいる。 その叫びはどこに向かっているのか不安定にみえる。広範囲に、力任せにみえる。 思えば自分にもそんな時期があった。 何に怒って

【オデッセイ】恋い焦がれるというのは、きっとこういうことだ。

始まりで、とんでもない問題が起こる。 まずはそこに驚いた。 だいたいの物語は、導入部分で何も起こさない。 紹介だったり、その後に起る何かの助走部分になる。 この映画では、その後のためにまず大きな問題が起こる。 そこからすいすいと問題が解決する様が心地よく ひとつの場所での作業時間も、興味深く飽きなかった。 それ故、いつ問題が起こるのだろうとハラハラしていた。 ラスト近くは、ずっと涙が出ていた。 どうかうまくいってくれと願い、緊張と動悸で口元を押さえながら観ていた。

【この世界の片隅に】観たのは2016年だけど書き残しておかなければならない作品(今更感は無視)

ゆるりとした幸せから、当たり前の日常から、 どんどん離れていく。 狂っていく。狂っている。 狂っているのに、それが日常になってしまう。 こうやって世界はどんどん歪んでいったんだと理解できる。 こんなことが起きたら、取り返せない気持ち、想い、人が多すぎて どんどん歪むに決まってる。 歪まないと生きていけない。 色がなくなっていく。 人間には忘れるという機能が付いていて、それがないと生きていけないんだと思っていた。 歪むというのも、全く同じことだ。 わたしは怖い

【ダンケルク】少年の瞳が綺麗すぎることにこんなに泣きたくなるなんて

東京コメディストア:D 日替わり企画 【火曜日】マイキーの上映中おすすめ映画 「ダンケルク」クリストファー・ノーラン監督作品 作中、戦闘機をみた少年が 「スピットファイアだ!」 と、目を輝かせて叫びます。 自国の誇る戦闘機が来たと、憧れや、尊敬を持って。 彼の純粋な誇らしさと目の輝きが綺麗すぎて、 わたしはとても悲しくなりました。 心が動揺しました。 魚雷が命中し、転覆する船から逃げる人々。 反対に、別の船から逃げて来て、その転覆する船に必死に乗り込も

ラジオ「とりとめナイト」で、「わたしはロランス」についての電話出演終了しました。

ご視聴いただいたみなさま、ありがとうございました!! 少しの時間でしたが、我妻の感想伝わったでしょうか。 今回、「わたしはロランス」の好きな部分をお話ししました。 ・一生忘れないという瞬間がいくつもある映画だった。瞬間、瞬間が作品だった。 ・最後の主人公の表情をもう一度観るために、何度も観たいと思える映画。最後のシーンがあるから、そこまでのシーンが本物なんだと感じる。 このふたつ以外に言い忘れてしまったことがありまして わたしは、「好きなことを好きと言

【わたしはロランス】生涯忘れられなそうな恋愛と一緒の感覚。

今回書くのは、グザヴィエドラン監督の「わたしはロランス」 今現在、自分の中でいちばん好きな映画です。 うまれてはじめて映画のポスターを部屋に貼りました。 この映画を観終え、渋谷のアップリンクから出て、ドンキホーテの明るさを遠くに感じた時 喉の奥が熱く少し詰まるような感覚が消えなくて、ポロポロ泣きながら歩いたことを今でも覚えています。 この映画がいちばんじゃなくなる日が来るのかなと思うと、なんだかさみしい気持ちになります。 いまのわたしは、恋に近い気持ちでこの

【LA LA LAND】雰囲気がドストライクの人に出逢ったらもう細かいこととか気にならない超好き!っていう時の気持ち。

観終わった後、あんなに興奮したのはひさしぶり。 そしてこんなにハッピーエンドを願ったのは珍しい。 観終えた後の興奮は何ぶりかというと、「セッション」ぶり。 つまり、ダミアン(デミアン?)チャゼル監督作品を観て、どちらも絶叫するような気持ちになった。 この作品の中には、私の好きなものが詰まりすぎている。 まず。最初から最後まで、好きな色しか出てこない。 全ての色合いから質感から、画面に映るものすべてが好きだと思った。 もう、それだけでOPから涙&笑顔が全開。