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【わたしはロランス】生涯忘れられなそうな恋愛と一緒の感覚。

今回書くのは、グザヴィエドラン監督の「わたしはロランス」

今現在、自分の中でいちばん好きな映画です。

うまれてはじめて映画のポスターを部屋に貼りました。
この映画を観終え、渋谷のアップリンクから出て、ドンキホーテの明るさを遠くに感じた時
喉の奥が熱く少し詰まるような感覚が消えなくて、ポロポロ泣きながら歩いたことを今でも覚えています。

この映画がいちばんじゃなくなる日が来るのかなと思うと、なんだかさみしい気持ちになります。
いまのわたしは、恋に近い気持ちでこの映画が好きだからかもしれません。
この映画の言っていることや、色合いや、目に映る一瞬一瞬のカットを、ああ、好きだなぁと思ってしまいます。
そして、それぞれの気持ちに、叫びに触れるたび
自分の心が身体の奥の方でずっと震えているからです。

「愛がすべてを変えてくれたらいいのに」
このキャッチコピーと、
「LAURENCE ANYWAYS」
というタイトルにすべてが詰まっています。

カテゴライズされた誰かではなく、「わたし」は何を思い、何に焦がれ、何を求め選択し、生きるのか。
何が美しくて、何が自分で、どうしたいのか。

ラストのカットを観るために、この表情にもう一度会うために、何度も最初から観てしまう。
最後だけ観るんじゃ駄目なんです。
最初から観て、最後にあの表情に会いたいんです。
その瞬間、すべての感情を吹き飛ばして、確かにそこに愛があったことを感じずにはいられなくなるからです。

なんだかわたしは、それだけで救われる気持ちになるんです。
何かを否定しなくていいような、自分で自分にこれでいいんだと言えるような、
心が風を受けるような、
作中にもある水をいっぱい浴びるという表現のような、
そんな気持ちになるんです。

もしこの映画がいちばんでなくなる日が来たらさみしいのだけれど
その日が来たら、わたしにとってそれはいいことなのかもしれないとも思います。
今現在自分を大きく占めている、ずっと抱えている気持ちや記憶と
少しずつ別の関わり方をし始めたということかもしれないから。

それでもきっと観るたび、思い出すたび
ああ、大好きだなぁと思って涙が出るんだと思います。
わたしは生涯、この映画に出逢って恋していたことを忘れられないんだと思います。

それくらい、自分にとってスペシャルな物語です。

2012年カンヌ国際映画祭
ある視点部門正式出品 主演女優賞・クィアパルム賞受賞

監督:グザヴィエ・ドラン
出演:メルヴィル・プポー( フランソワ・オゾン『ぼくを葬る』)、スザンヌ・クレマン、ナタリー・バイ( フランソワ・トリュフォー『アメリカの夜』)
(2012年/168分/カナダ=フランス/1.33:1/カラー/原題:LaurenceAnyways)


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