悲しいだけじゃなくて、恐かった。

お芝居のエクササイズで、身体的なアプローチから感情を引き出す。
というものをやった時。
「恐怖」という感情を扱った時。

わたしは愛犬が亡くなった時、恐かったのだと知った。
悲しい、寂しいだけじゃなく、恐かった。
その時感じた「恐怖」の感覚は、うちのこがママの腕の中で息をしなくなったあの瞬間のものと酷く似ていたから。

ちいさくて可愛い白いあのこのからだが動かなくなるのが、たまらなく恐かった。
その事実が恐かった。

悲しくて、寂しくて、それだけだと思ってた。
けど、恐かったんだと知った。

寂しい、悲しい、恐い、苦しい、嬉しい、面白い、大好き。
今日も全部混じってわたしの中にあった。 

こうしてたまに思い出しては泣いてしまう。
晩年、よく夜中にベッドから起きて吐いていたあのこを思い出して息がしづらくなる。

苦しかったかな。
あんなにちいさいからだで。
ちゃんと愛せていたかな。
もっとできることはなかったかな。

わたしはたくさんもらいすぎて、何度ありがとうを言っても足りないくらいだけど。

たまにだからいいよねって、自分で自分を落ち着かせる。
たまには思い出したって泣いたって構わない。

明日はわたしがパンを焼いて、あのこのお皿に置いてあげよう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?