嫌いじゃないよ青春【映画感想】「シュアリー・サムデイ」(2010)

●もう一度観たい度 ★★★★☆
●度肝抜かれ度 ★☆☆☆☆
●かじりつき度 ★★★☆☆
●どんな人に勧めたいか 映画が好きだった人

【あらすじ】

幼馴染の5人は高校時代、学園祭の中止により組んでいたバンドの演奏ができなくなるのに反発して、学校を脅すだけのつもりが爆発事件を起こしてしまう。そのせいで高校は中退し、夢もなくなりどうしようもない生活をそれぞれが送っていた。

事件から3年後仲間の一人が、所属するヤクザから逃げ回っている中、5人は再開し失ったものを取り戻そうと動き出す。


【感想】

監督が小栗旬、しかも30歳ぐらいのときに。見たくなったいちばんの理由はそれ。あとはキャストが豪華でそれだけでも楽しそう。

主演は小出恵介。最近良くない報道が出た。過去出演作がお蔵入りなんてことにならないとも限らないので慌てて観た。

ネットの評判を散見すると、どちらかというと酷評が多いみたい。盛り込みすぎだとか。

だけど自分も大学時代映画制作とかみんなでやってた私には、小栗旬の「大好きな映画を大好きな仲間と作って楽しいよ」が伝わってくる感じは好き。

確かに盛り込むだけ盛り込んでいたかも。始まる前に松竹のロゴが出たところで「よっ!松竹」と声が入るとか。喧嘩・バンド・友情・シモネタなんてオトコノコが好きなものをふんだんに入れるとか。豪華なカメオ出演もあったし。エンディングが3段階になってて、いったん終わったかと思えば、軽い伏線回収のシーンがエンドロール中とエンドロール後に出てくるとかね。良いよね良いよね、それやりたいもん私も作るとしたら。

たしかに、映画同好会の大学生が好きな演出をいっぱいいっぱーいリストアップして、片っ端から実現してった感じだぞ。だけど映画同好会では最初に思い描いていたようにはなかなか作れないもの。小栗旬はいいなあ。お金いっぱい使って機材や技術駆使して、友達いっぱい使って、楽しそう。映画同好会の楽しい感じと、一流の技術を組み合わせたら最強じゃないか。

実際は思い描いていたより大変で、しんどかったと思うけど、それも含めて作ってる人たちの熱を感じながら観るのが私は、映画にしても芝居にしても好き。

出演が、小出恵介、勝地涼、鈴木亮平、ムロツヨシ、綾野剛の他、小西真奈美とか竹中直人とか岡村隆史とかとにかくすごい豪華。ストーリーはややリアリティに欠ける部分があって、個人的には誰か死んだりはしてほしくないノリの作品だったけど、急に死んじゃうからそこは少しびっくりした。

話の本筋とは関係のない伏線がいくつかあって(性転換装置や5秒で女を落とす設定など)コメディ要素になっていてきちんと回収もされていた。一見不要に思えたそれが実は本筋に絡んでくるので、単純なミスリードの形を取り込んでると思う。(私が馬鹿だからミスリードに感じた可能性はある)

小西真奈美はいったい何歳の設定なんだろう?とずーっと気にしながら観てしまった。悪い癖が出た。年齢とか金額とかが絡んでくるとずっと計算しながら観てしまうので集中できない。勝地涼とムロツヨシは10歳ぐらい違うし、共に20歳そこそこの役をやっている時点でファンタジーなんだからいちいち計算すること無いのに。結局わからなかったけど小西真奈美は天使だった。

劇中にはいろいろな音楽が使われていたけれど、5人が組んだバンドが路上で演奏する「シュアリー・サムデイ」。彼らはたった一晩でどこで練習してきたんだろう、路上ライブの電源はどうしたんだろう。あんなに人を集めて普通に警察来るだろ。演奏後に銀行強盗しに行ったけど楽器どうした?などと野暮なことは一切言うまい。これはファンタジーなのだから。アメリカのおバカ映画ならもっとあり得ない事になってるはずだから、邦画はむしろ奥ゆかしいね。


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