モテ、の正体

これまでの人生で出会った中で、
一番モテるひとは
けっこうなろくでなしだった。

語学に堪能で
楽器もできて(これ重要)
男女問わず友達が世界各地にたくさんいて
今となっては趣味の延長を仕事にし
一年の大半は海外を拠点にして
活躍している。

そしてすこぶるフレンドリー。
石でも友達にできるくらいフレンドリーで
ホスピタリティーにあふれ

どんな不美人でも
愛想なしでもネクラでも
女性とみれば
プリンセスみたいに扱った。

男には「おれたち悪友な」と肩を抱き、
いきのいい仲間も
ぽつんと一人でいる
おとなしい男子も
無二の親友のように思わせていた。
実際、どんなひとであっても
いいところを見つけるのが
天才的にうまかった。

わたしは彼と
つるんでいる友達のひとりだった。
ただ、仲間うちでは
女癖の悪さは有名だった。
隠すどころか
むしろ露悪的に語られていたし

彼女とは別の女の子を
彼女不在の集まりに
「おもしろい子がいるんだ」と連れてくる。
相手の女の子が
彼にメロメロなのですぐに
ナンバー2や3や4や5なのだとわかった。

つまり、優しい彼が
菩薩のようなひとではなく
そのクズっぷりというか
ろくでなしであることは
親しい友人の間には知れ渡っていた。

(当然、どの女性も結局は彼を独り占めしたがったから、よくモメた)

なのにちっとも悪びれないところが
またも彼の世の中戦闘力の高さ
であったと、今となってはよく思う。

ちなみにその彼、背は高いが
いわゆるイケメンではない。
そんなものは
モテとはあまり関係がない。

男女を問わずなのだけれど
モテるひとは、
相手を受け入れるスペースを
自分の中にたくさん空けている。

相手に「自分の居場所が
この人のなかにはある」
と、思わせる「すき間」があるのだ。

なにもそれはいきなり
彼氏彼女という
ポジションでなくても
「このひとは自分の良さを
わかってくれている」。
一瞬でも相手に
思わせたらそれでよし。

女性もそう。
モテる可愛い女子、美人さんは
高嶺の花に見えて話してみると
とても気さくだったり、
意外に鷹揚であったりするものだ。

「自分の居場所がある」と
思わせられたら
人は寄ってくる。
そして実際に住まわせたなら
恋愛は始まってしまう。

顔も身なりもきれいなのに
ちっともモテない女の子、
相当、キメているのに
恋が寄ってこない男性というのが
ありますね。

それは
すでにパートナーがいて
満たされているか
そうでなければ
自分以外を許容するスペースのなさが
だだ漏れしているか
ではないだろうか。

ただし、たくさんの人に
モテ続けることは決して
幸せなことではないと
私は思っている。

モテる人の中にはたくさんの
空き部屋がある。
つまりそこに何人も
女性や男性が住める
「すき間」がある。
ということは
たとえ最愛の人が一人いても、
すかすかした部屋を
抱えて生きていかなくてはならないよ。

「空き部屋」に入居する人がいて、
彼女もしくは彼らが
「ここはシェアハウス」
とわかっていたとしても、
それぞれに満足してもらうための労力は
相当なものであるし。

モテたい人は本当にモテたいのか
単に大切なひとりが欲しいのか
よく見極めた方がよい。

そして、最愛の人
(本命や妻や夫ですね)がいても
たくさんの人を同時に
自分の中の部屋に住まわせる、
いわゆるモテるひとが
パートナーだと大変だ。

たとえ「結婚」という制度で
相手を捕まえたとしても空しい。
浮気をしないよう取り締まることに
成功したとしても寂しい。

だって、自分が住んでいるのに
相手の中には
たくさんの空き部屋があるのだ。
それは、ぞっとするような風景ではないかな。

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maihal

メディアで働く記者です。海とワインと本が好き。母さん業も。
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