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京都ホームズ⑳巻発売記念!副館長と対談✨


※クロスワードプレゼントは2023年12月15日で締め切りました。
ありがとうございました。

◾️インタビュー

このたびは、京都ホームズ20巻『葵インターン編』の監修&アドバイザーをつとめてくだった元京都国立博物館副館長(現・国立科学博物館副館長)栗原祐司さんにお話を伺うことができました!

■ご挨拶

望月「あらためて、今巻ではお世話になりました。今回のお話は、栗原さんに『葵ちゃん、インターンにいきませんか?』とお声がけいただきまして実現できたのですが、実はそれは二年前なんですよね」
栗原「そうですね。当時は葵ちゃんはまだ大学一回生でしたので、インターンには少し早かったんですよね」
望月「そうなんです。それまで、0巻の京博さんのページや若冲展のシーンなどを監修していただいてまして、ようやく、インターンに行ける年齢になりました。ずっとお聞きしたかったのですが、栗原さんが京都ホームズを知ったきっかけってなんだったのでしょう?」
栗原「最初は京都新聞の広告を見て知り、その後書店で平積みになっていたのを手に取ったのがはじまりです。実は、最初に読んだ望月麻衣先生の作品は、『太秦荘ダイアリー』でした。なんとなく京都市交通局のキャラクターに惹かれて衝動買いしただけなのですが、しっかり全巻揃えてしまって笑」

■作品について

望月「シリーズの感想、お気に入りのエピソードなどあればお聞きしてみたいな、なんて」
栗原「非常に読みやすく、毎回楽しみながら愛読しています。私も6年間京都に住んでいて、市内の博物館や名所旧跡をひととおり訪問しましたが、自分が知っている隠れた名所が登場すると嬉しくなりますね。吉田山荘のカフェ真古館とか、伊藤若冲ゆかりの宝蔵寺、石峰寺など……」
望月「ありがとうございます。ちなみに若冲ゆかりの地は、栗原さんに教えていただいたところだったり笑」
栗原「そうでしたね笑」
望月「18巻で京博さんから内覧会の招待が届くという展開で、私が『ハガキが届いた』と書いたところ、栗原さんに『違います、内覧会のお知らせはハガキではなく封書ですよ』と教えていただいたことが印象深いです」
栗原「そんなこともありましたね笑」

■出会いのきっかけ

望月「話を戻しまして、京都ホームズを読んで著者である私に声をかけようと思ったのはどうしてでしょうか?」
栗原「京都の名所旧跡などが作品の舞台になるのであれば、京博だって舞台になってもいいじゃないか、と思ったのがきっかけですね。幸い、骨董品店であれば博物館と無縁ではないので、葵ちゃんが大学生になったら、学芸員養成課程を取るという設定も自然の流れではないかと思いました。博物館の広報の観点から、これまで久世番子先生やグレゴリ青山先生と組んでマンガを描いていただいていたので、小説にもトライしてみようかと。自分で書くわけではないのですが」
望月「久世先生、グレゴリ青山先生と京博さんのコラボ、拝見していました。とっても楽しいです」
栗原「ありがとうございます。いきなりご本人に連絡したにも関わらずご対応いただき、改めて感謝申し上げます!」
望月「こちらこそです。京博さんからご連絡いただけるなんてと、びっくりして二度見しました笑」

■20巻の話

望月「作中で栗原さんは、『栗城祐希』という女性キャラクターになりましたが、ご自身のキャラについて感想をお聞かせください」
栗原「そのまま男性キャラクターだと、ホームズさんのライバルになってストーリーが変わってしまったかもしれないので、よかったです笑」
望月「たしかに、『栗城さん』が男性だったら、清貴が勝手にバチバチする展開になってそうですよね」
栗原「清貴さんは敵に回したくないので良かったです笑。京博は女性スタッフが多いので特に違和感もありませんし、葵さんの憧れというか、目標になれれば、栗城さんは冥利につきますね」
望月「今回、栗原さんインターンプログラムや採用されるために清貴が練りそうな戦略などを考えてくださいましたが、大変だった点など」
栗原「プログラムに関しては、当初は学芸員養成課程の博物館実習にしようかとも思ったのですが、京博で現状では受け入れていないので、試験的なインターンのような形態がよいのではないかと思いました。とはいえ、まったく現実味のない内容では、作品のクオリティも京博の品格も下がるので、いかにも本当にありそうな内容で、こういうプログラムがあったらいいなという夢を書きました。結構楽しみながら作ったので、あまり大変ではなかったですね」
望月「そう言っていただけて良かったです!」

■ミュージアム職員あるある!?

望月「今回の作品には登場しなかった、博物館独特の面白い仕事などございましたら」
栗原「京博の仕事そのものではないのですが、京博には文化財保存修理所があります。20巻では、『文化財保存修理所を見学させていただいた日もあった』のひと言で終わってしまいましたが、実は、極めて重要な仕事です。修理所では、民間の工房が文化財の保存修理を行っており、あいにく施設が狭いため、なかなか一般の方にはご見学いただけないのですが、『装潢(そうこう)修理技術』は、国の選定保存技術及びびユネスコ無形文化遺産として登録されています。将来的には一般の見学通路を設けてみていただきたいと思っています。もう一つ、これも外部の業者ですが、毎年東京国立博物館で、日本博物館協会が『美術品梱包輸送技能取得士資格』の認定試験を行っており、運送会社の方々の美術品の輸送・梱包の実技を審査します。彼らのワザによって、世界各地で様々な展覧会が開催できると思うと、ありがたい限りです」

https://bunka.go.jp/prmagazine/rensai/naname/naname_067.html

望月「展開の関係上、掘り下げられず、すみません!!!(平謝り、笑)」
栗原「いえいえ笑」
望月「そうそう、お聞きしたかったのですが、ついやってしまう、博物館職員あるあるなどございましたら」
栗原「そうですね。文化財でなくても、何かをじっくり見ようとすると、ついハンカチを口に当ててしまったり、手に取る際には腕時計を外したり、ということはよくあります。おみやげをいただくと必ず産地や製造場所を確認してしまう……のは単なる性格かもしれません。あとは、収蔵庫や寺社などで文化財に触れてしまってはいけないので、後ろに下がるときは必ず目視確認を怠らないとか」
望月「おお、興味深いです。私もこれからはお品を拝見する際には、時計や指輪を外していたのですが、今後は口にハンカチを当てようと思います」
栗原「ぜひ。そして背後の確認も」
望月「はい!」

■最後に

望月「読者さんに向けて京博のオススメポイントなどお願いします」
栗原「残念ながら明治古都館の再開はもう少し時間がかかりそうですが、平成知新館は非常に快適な鑑賞空間だと思います。特に、平常展は(残念ながら)来館者もそれほど多くないため、静寂でゆったりした環境で鑑賞できます。展示替えも多く、平常展料金で入れる企画展も行っていますので、ぜひ何度でも京博に足を運んでいただきたいと思います。
望月「栗原さんが思う京都の魅力、オススメなどございましたら」
栗原「月並みですが、日本の古都であり、いたるところに歴史があるということ。私は東京で生まれ育ちましたが、授業で日本史を習っても、どこか遠くの話のように聞いていましたが、京都には身近な所にその歴史が潜んでいます。大坂冬の陣のきっかけになった方広寺の鐘銘は、京博から歩いて3分です。私が住んでいた藤森周辺を歩いていたら、新撰組の近藤勇が狙撃された『近藤勇遭難の地』という碑があって驚きました。まさに歴史の現場です。観光ガイドブックには掲載されていない見どころがたくさんありますので、ぜひ博物館で情報を集めて、京都をご堪能ください」
望月「読者さんに向けて20巻の読みどころなど、お願いいたします」
栗原「何と言っても、葵さんが京都国立博物館でインターン!学芸員を目指している方も大いに参考になると思います。栗城副館長の活躍もお見逃しなく!そして、今回のコラボを記念して、京博のミュージアムショップで京都ホームズを販売いたします」
望月「そうなんです。なんと京博のショップでも京都ホームズを置いていただけることになりました。詳細は私のブログ等でお知らせしていきますので、よろしくお願いいたします。
ではでは、栗原さん、本当にありがとうございました」
栗原「ありがとうございました」
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