「掃除牛丼」

僕の日課は毎日、部屋の掃除をすることです。綺麗好きというわけではないのですが、気持ちが落ち着くので掃除をしています。

先日も1人で部屋の掃除をしていたのですが、その日はいつも気にかけていないベッド脇の溝のところを掃除することにしました。

ベッドに膝をついて、ふわふわしたやつが付いた棒を手に持って、その溝を覗き込んでみると思ったよりもすごい埃が溜まっていて、「こんなに埃って溜まるんだな」と思っていると、僕の不注意で肘がベットマットの縁から滑ってしまい溝に手を突っ込んでしまいました。

痛くはなかったのですが、一向に手が抜けません。「抜かないと」と焦れば焦るほど抜けずに、その溝にドンドン引き込まれていきました。そして、なんと手首、肘、肩、胸...どんどん吸い込まれていきました。

そして、気がついた時には、意識は朦朧としており、恐る恐る目を開けると、なんと、僕の目の前には、身長190センチはあるであろう和服姿に、眼鏡をかけた男性が、ものすごい形相で僕を睨みつけていました。そして、「すき家」の大盛りの牛丼を3杯も綺麗にたいらげていました。凄まじいスピードで牛肉、玉ねぎ、卵、白ごはんをドンドン胃袋に流し込んでいたのです。

睨まれてはいるものの、こんなにカッコいい男性を見たのは初めてでした。僕は無意識に泣いていました。

そして、その形相のまま「丼もお部屋も綺麗にね」、彼はそう言い残して、薄く薄く半透明に徐々にモザイクがかかるように消えていきました。

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