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嘘日記#1「中華電球」

今朝、いつものように歯磨きをしていたら、洗面の電球がチカチカしていました。 そして、歯磨きが終わるころには完全に消えてしまいました。

「もう切れたのかな?」と思って取り換えようと電球を外して手にとって電を振ってみると、中から「カラン、カラン」という音がしたんです。うちはLED電球ではないので、その音がしたら電球は寿命です。なので、新しい電球と交換するため、その切れた電球をゴミ箱に捨てました。するとさっき聞いた音とは違う「カラン、カラン」という音がしました。

今まで耳にしていた電球が切れた時のカラン、カランという音ではなく、金属と金属がぶつかるような音がしたんです。耳の近くに電球を持ってきて振ってみると、やはり、まだ金属音のような「カラン、カラン」と音がします。 

電球の中に何か入ってるかなと思い、電球を割ろうとも思ったのですが、破片を片付けるは面倒だし、でも電球のなかの金属音は気になるし、と悩んだ結果、シンプルに電球の金属部分だけを外して、中を覗いてみました。 

すると、あろうことか、電球の中では、見た感じ70歳はいってるあろう腰の少し曲がったチャイナ服姿の老婆が、自分自身よりもはるかに大きい何倍もの中華鍋でチンジャオロースを炒めていたんです。その老婆は中華鍋を見ることもなく、感覚のみでチンジャオロースを炒めていました。

細切りの肉がフィラメント(電球の中の線)になっているのかな、と思いましたが、それは違いました。すさまじい火力と煙に一心不乱に立ち向かい、鉄の塊と化した中華鍋を振り回し特製のチンジャオロースを作っていたのです。僕は当分の間、感動で動けませんでした。 

「電球、割らんでよかった」

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