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第425話 『鼻ぽん』は鼻血だけでなく夫婦喧嘩も止める(書き直し集-その8)


さて、今日は、第23話 鼻ぽん を書き直す。

数日後この記事を、マガジン『書き直し集』に加えるときには、
◆〆 の文章を削除する。


◆『鼻ぽん』は鼻血だけでなく夫婦喧嘩も止める


とある日。

鼻血が出たので、僕は、鼻にティッシュを詰めた。

いたって真っ当な行動だ。
涙が出て、鼻にティッシュを詰めたのではない。耳が痒くて、鼻にティッシュを詰めたのでもない。

つまり、この日の僕は、ごく普通に真っ当だった。

僕は、どうやら鼻の粘膜が弱いらしく、ちょくちょく鼻血が出る。
「出る」とはいっても、そんなに大量ではないので、ティッシュを5分も詰めておけば、たいていは止まる。

そんな僕の状態に、ゆかりちゃんが気づいて、

「どうしたの? 鼻ぽんなんかして?」

って言った。

「・・・はなポン?」

僕の頭の中では、ゆかりちゃんの造語説が有力だ。
もしくは、この地方の方言かもしれない。

即、スマホで『鼻ぽん』を検索してみた。

そうしたならなんと、『鼻ぽん』は、商品名だったのだ。


*** *** ***


『鼻ぽん』という商品は、「鼻に詰めやすい形をした短い棒状の綿」だ。

白いチョークを想像して欲しい。
それを、長さ2.5センチか3センチくらいに切って欲しい。想像の中でかまわない。
そのチョークを、その形を保ったまま、素材をやわらかい綿(わた)に、変えて欲しい。想像の中だけでかまわない。

これが、鼻ぽん だ。

僕は、この『鼻ぽん』が欲しいと切に思った。

鼻血のとき以上に、花粉症の時期に欲しい。
花粉症の鼻水というものは、粘り気がなく「ツーーー」と、流れ出る。
ティッシュを詰めて止めると、詰めたティッシュの奥の部分が濡れてしまい、鼻の穴に収まっていない部分のティッシュの重量を、支えることがおぼつかなくなる。

簡単に言うと、落ちそうになるのだ。

なので、一旦ティッシュ抜いて、濡れていない部分を鼻に詰め直す。
このとき、濡れた部分に指がちょっと触れるのが、少し嫌だったりする。

そして、この工程を3回も繰り返すと、別なティッシュを詰めなければならない。

凄く、面倒なのだ。

この『鼻ぽん』という商品は、大変素晴らしいと、僕はそう思った。


*** *** ***


こんな素晴らしい商品を、50年以上も知らずに僕は、ノホホ~ンと生きてきたのだろうか。

そこまで情報感度が鈍いだろうか。

東海地方では、ラジオCMがされていたようだ。
北名古屋市の、「有限会社ヨコイ」という会社が作っているようだ。
でも、楽天市場などでは「有限会社ヨコイ」ではなかったりする。

でも、商品名はみんな『鼻ぽん』だ。

商標登録とかは、していないの?
作っている会社は同じで、販売元が違うとかかな?

インターネット検索を、まあまあしつこく行なったが、
①全国に、それなりに『鼻ぽん』は知られている(つまり僕が無知だった)
②特に、東海地方に売れる商品で、それ以外の地域での認知度は低い

これが、はたしてどちらなのかが、結局はわからなかった。


*** *** ***


ゆかりちゃんの発言は、正確ではなかった。

僕は、『鼻ぽん』は詰めていない。
詰めたのはティッシュだ。

その行為は、確かに『鼻ぽん』を詰めるときと同じ目的だし、ほぼ同じ手法だから、
「鼻ぽんする」
という、動詞に変換したのだろう。

仮に、この地方では、この行為を「鼻ぽんする」と、多くの人が言っているのであれば、ゆかりちゃんは何ら間違った発言をしたのではない。

でも、そうでないのなら、
「どうしたの? 鼻ぽんみたいなことをして?」
というのが、正しい表現になる。

で、
きっとここまで読んで、ゆかりちゃんは怒っていると思う。

「まぁ~た、細かいこと言っちゃって~~」と。

そうじゃないのだ。

仮に、この地域でも、まだ「鼻ぽんする」という動詞としての表現が定着していないのならば、

「鼻ぽんする」という表現の、言い出しっぺは、
なんと、ゆかりちゃんになるのだ。


*** *** ***


「目が点になる」という表現は、シンガーソングライターのさだまさしさんが初めて言った。

「空気読め」は、お笑い芸人のダウンタウンさん。

「鼻ぽんする」は、ゆかりちゃん。


こういうことが言いたかった。

ゆかりちゃんは、もの凄いことをやってのけたのかもしれないのだ。


*** *** ***


その日の夕方。
ゆかりちゃんは、マンション管理組合の役員から、逃げたがる人に対して怒っている。
ゆかりちゃんは、なぜか鼻ぽん(ティッシュバージョン)をしている。

おそらく僕が、さっき鼻ぽん(ティッシュバージョン)をしていたから、なんとなくつられただけだろう。
鼻血が出たとも思えないし、僕の鼻ぽん(ティッシュバージョン)姿に、「カッコイイ~」と魅了されたとも思えない。

もし、カッコ良く見えたのなら大変だ。そのまま外出しかねない。

ゆかりちゃんは、

「忙しい、忙しいって、わが家も、2人とも働いてるし」
「わたしだってフルタイムだし」
「忙しいの、アンタだけじゃない」
「PTAとかでも、とにかく逃げたがる人っているのよ」
「無責任なだけやん」

と、マンション管理組合の何人かに、おかんむりだ。
(鼻ぽんティッシュバージョンのおかげで、面白いおかんむりだ)

「まぁ、逃げたい気持ちもわかるし~」と、僕は、ゆかりちゃんをなだめた。

しかし僕の、この不用意な一言のせいで、ゆかりちゃんと軽い口論となった。

ゆかりちゃんは、
わたしの気持ちに共感して欲しい

僕は、
他者を責めるのは良くない


おわかりだろうか。

僕は、完全に矛盾している。
「他者を責めるな」という、その口で、ゆかりちゃんを責めているのだ。

だが、このとき僕は、まだ【傲慢村】の住人だった。

僕は、ゆかりちゃんを論破し、・・・というか、
ゆかりちゃんは、『わたしは貝になる』という作戦を行使した。

この作戦を決行されると、僕もお手上げ。

声を荒げた僕は、ホンの少し反省した。

ゆかりちゃんが、傷つき、怯えているかもしれない。

チラと、ゆかりちゃんを見た。

ゆかりちゃんは、詰めていた鼻ぽん(ティッシュバージョン)を抜いて、
その鼻ぽん(ティッシュバージョン)を、わざわざ開いて、

マジマジと見つめていた。

・・・。

鼻ぽん(ティッシュバージョン)をしてもイイ。
その、オモシロイ顔で口論するのは反則とも思ったが、それもまあイイ。
許容する。

でも、わざわざ開いて見るなよ~。

これじゃあ、僕の完敗だ。


「なんで見るの?」と訊いたら、ゆかりちゃんは、

「わたし、鼻かんだティッシュも見る派やし。気にならん?」

とのこと。

・・・。

『見る派』?
そんな派閥、あるのか?


僕は、そんなゆかりちゃんが大好きなのだ。


◆元の記事

こちらだ。


◆〆

昨夜は、音声の収録前と、投稿後と、2回もケンカしてしまった。

2回目は、ゆかりちゃんが

「(なに忘れてんの⁉ サッサと)お風呂掃除してきて」
(厳しい顔をしての命令口調)

と、命令したのだ。


お風呂掃除は、僕がすることになっている。
そして、忘れてた。
僕が100%悪い。

僕は、お風呂に行った。
お風呂掃除をしようと思った。

でも、このままじゃあ、僕が可哀そうすぎると思った。

なので、「すねた。だからお風呂は掃除しない」と言って、ノートパソコンで作業した。

大きな声など出さないし、ゆかりちゃんを言葉で責めもしない。
ただ、お風呂掃除は拒否すると伝えた。

ゆかりちゃんは、3言くらいブツブツ言って、自分でお風呂を洗った。

この場合の僕も、まあまあ可哀そうだ。

お風呂掃除が嫌だったんじゃない。命令口調が嫌だったのだ。
でも、僕が悪者にしか思えない。

「洗ってちょうだい」と、お願い口調で言って欲しかっただけなんだ。

今、わかったことがある。
でも、長くなるから、ここでは書けない。

僕は、まだまだだ。

僕は、ゆかりちゃんが大好きなのだ。




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