見出し画像

第461話 「母の葬儀に参加しなかった姉」「『30万円貸して』と言う姉」を語った友人は、僕とは真逆の世界観だった


数年前の、思い出を綴ります。

◆田舎にいる姉が、金の無心

友人が、

「田舎の姉が『お金を貸して欲しい』と、電話してきたんだ…」

と、語り出しました。

僕は、
(おそらくこの話は、僕への【相談】なのだろう)と、そう思いました。


◆パートナーに難あり

「姉の旦那は商売をやっていて、少し怠け者なんだよねぇ」
「商売が上手くいってないようなんだよ~」

「ほ~」

「姉は、お金にはキッチリしていて、無駄遣いなんかするタイプじゃないんだ」
「ただ、旦那には甘いみたいなんだよなぁ」

「そのお姉さんが『お金を貸して欲しい』って言ってきたの?」

「そうなんだよぉ~」
「しっかり者の姉が、そんなことを言ってくるなんて、ビックリしたんだ」

「で、 いくら貸して欲しいって言われたの?」

「30万円」

僕は、「どう思う?」と続くであろう、友人の言葉を待ちました。


◆友人の結論

友人は、

「だから、30万円を貸して、あと20万円を足して送金して、『ある時払いでいいからね。20万円は返済しなくていいからね』って電話して、そう伝えたんだよ~」

「え? 合計50万円、送金したってこと?」

「うん」

友人の話は、相談ではありませんでした。


◆姉弟愛

びっくりしました。
僕の想像と、真逆だったのです。

「姉が『お金がない』って相談するなんて、よっぽどのことなんだよ」

「お、おお…、『旦那さんが怠け者』ってところが、僕は少し心配だなぁ」

「うん」

「良く、貸すって決めたねぇ」

「ん? あ~、だって姉が困っているんだから…」
「助けてあげたいじゃん」


◆恥ずかしい僕の思考

金の無心をされて困ったという、愚痴を聞いてほしいのか、
はたまた「断った方がイイのかなぁ」という相談か、僕は、そのどちらかだとばかり思っていたのです。

そんな思考しかできないのは、
僕は、そういう世界観で生きてきたからです。

僕が、そういう世界観で生きているからです。

こんなにも仲の良い姉弟がいると知って、僕は恥ずかしくなりました。


◆デジャヴ

恥ずかしさを感じ、と同時に、

(あれ、似たようなことがあったぞ)

と、僕はデジャヴを感じました。

そしてすぐに、その原因が分かりました。
その友人には、少し前に聞いたエピソードにも、同じように驚かされたのです。


そのお姉さんの話でした。

お姉さんの信仰する宗教では、他の宗教行事への参加を固く禁じています。
その結果、
「母が亡くなったときに、姉は葬儀に参加しなかった」
と、友人は僕に語ったのです。

姉を【非難】していると、僕は思い込みます。
「許せない」とか「信じられない」などと言葉が続くと思いました。

しかし友人は、

「姉が親戚から責められたので、父と兄と僕とで、姉を庇ったんだよ」

と、言ったのです。

同じです。
まったく同じパターンの勘違いを、僕はしていたのです。

これがデジャヴの正体でした。


◆降参

僕は、デジャブの正体に気づいて、すっかり参ってしまいました。

そして、なぜそうしたのかは分からないのですが、僕は、僕の家族(姉弟)の恥ずかしさを打ち明けました。

「実は、葬式の話のときも同じように感じたんだけど」
「僕の姉弟なら、絶対に非難ごうごうなんだよ」
「親戚以上に、親や兄弟が『姉』を非難するし」
「きっと、僕も『姉』を非難する」
「口に出さなかったとしても、非難を思ってしまう」
「今回のお金のことも『貸さない方がイイんじゃない』と思いながら、話しを聞いていたんだ」
「僕は恥ずかしい」
「姉弟が仲良くて、羨ましいよ」
「20万円をポンと追加するなんて、凄いなぁ」
「そんな兄弟愛が、現実にあると知って、ビックリだよ」
「僕の姉弟は、君たちの姉弟とは、完全に真逆なんだ」
「僕は自分が恥ずかしいよ」

おそらく、友人は困っていました。

友人は明らかに、「姉弟は助け合うもの」「姉を助けるのは当たり前」という世界観の中で生きていました。

友人は、僕の話す言葉の意味を正確には理解できない、そんな様子でした。


◆結論

この記事には、実は、結論がありません。
思い出し、忘れたくなかったから、こうして記事にしたのです。

あえて言うならば、

「もう遅いかもしれないけれども」
「もう54歳だけれども」
「今からでも友人を見習って」
「姉を愛そう」
「兄弟姉妹、仲良くしよう」
「そう、心に誓おう」

と、このように考えました。

実行できるか自信がないので、本当の誓いとは言えないような気がしますが・・・。


◆〆

勝ち負けの世界観。
上下の世界観。
優劣の世界観。

このような世界観の中で生きていると、たとえ姉弟であっても、親の寵愛を競い合うようになってしまうものなのでしょうか。

ゆかりちゃんにも、ぜひ、意見を聞きたいと思います。

僕は、ゆかりちゃんが大好きなのです。




コメントしていただけると、めっちゃ嬉しいです!😆 サポートしていただけると、凄く励みになります!😆