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【小説】ホテルNOBLESSE #8

この記事は小説の下書きです。
思いつくままに書き残すメモです。
ちゃんと作品とする際には、当然書き直しますし、順番も組み替えることでしょう。
つまり、この記事を読んでくださる方への配慮に欠けます。
僕が僕のために書き残すだけなのです。
小説ですので、固有名詞や人物名は全て架空です。フィクションです。



志村常務が、堅めの挨拶を行なった。

「この度はお忙しいところ、このようにたくさんのスタッフにお集まりいただき恐縮です」

その後、同じような調子で、
・弊社ブラッシュは、客室清掃業務をプラムさんに業務委託する
・2月21日から皆さんは、株式会社プラムのパート従業員となる
・有給休暇は、現在の条件をそのまま継続する
という内容を語った。

プラムの来島社長が挨拶した。
見た目は30代に見える。30代後半かもしれないが40代には見えない。いや、社長という肩書がなかったなら30代前半に見えてしまう。メイドさんたちは「若いお兄さんが迷い込んでいる」などと言っていた。

その挨拶は、ありきたりの、要約すれば「よろしくお願いします」という味も香りも色彩も無い内容だった。

取締役員の南さんも挨拶した。確実に40代の風貌だった。眼が細く狡猾さを想像してしまう眼つきに、どうしても僕には見える。
顔で第一印象を悪くしてしまっているのか、言動の歴史が顔に出ているのか、そのどちらかは判断できない。悪い先入観を抱くのは、相手に大変失礼だし心が狭すぎると思う。

でも、そういう印象が無いと言ったらウソになる。

実はこの南さんは、僕に、ルール違反の提案をしたことがある。

それは2週間前だった。
仕事中に、志村常務に「B1の食堂に来て欲しい」と呼ばれ、行ってみると、プラム社長の来島さんと、南さんとを紹介された。

単なる顔合わせだったから、ものの5分で用は済んだ。
別れ際で、僕の携帯の番号を南さんの聞かれて、僕は教えた。

その翌日。南さんから電話があった。
「本多さんの直接雇用を考えていまして」と言われた。

「それは、コミットの森社長にお話していますか?」と僕は聞いた。
「いいえ」と南さんは言った。

「これって、マナー違反。いや、ルール違反ではないですか?」と僕は聞いてみた。
南さんは、何かよく分からない説明を語り出した。アタフタし、誤魔化したいようだが、事がシンプル過ぎて誤魔化しようもない。

「森社長を加えて、お話しましょう。そういう内容だと思います」
僕はそう言って会話を終わらせた。

そんなこともあって、僕は、南さんの表情は【言動の歴史が顔に出ている】と思っている。ただ、決めつけないようにしよう。
僕は、自分にそう言い聞かせた。

その南さんも「よろしくお願いします」という形式的な挨拶をした。

村山さんも、名乗って「よろしくお願いします」と続いた。
23歳の村山さんが、一番大人に感じる。
若く優秀な彼が、なぜ、このプラムさんにいるのか疑問だ。

そもそも、プラムさんがブラッシュさんの業務委託を受けることが疑問だった。
おそらくブラッシュさんの、この客室清掃業務は赤字だっただろう。下畑さんのこれまでの発言から、それは間違いないと思う。

不自然な駆け引きか、不自然な謀略か、低レベルな陰謀か、何かしらがありそうな気がする。

挨拶が終わるとその会場には、教会だからという意味ではなく、リズムやテンポといった音楽的な意味においての【変な間】が発生した。科学的に言うと【変な空気】が会場に充満し始めた、とも言える。

ブラッシュの志村常務も、プラムの3名も、誰もこの場を仕切ろうとしない。
仕方なさそうに、プラムの来島社長が発言し出した。

「え~。ブラッシュさんから私たちが引き継ぎまして、え~、2月21日からは、どうか、よろしくお願いいたします。え~っと・・・」

志村常務が「質問がある方は、何でも聞いてください」と、スタッフに向けて声を掛けた。
進行がドタバタしているからか、誰も手を上げない。そもそも「手を上げてください」とも言われていない。

「では、質問が無いようですので、説明会を終わります」と志村常務が言い出すという、そんなコントを脳内で再生した。その場合、僕は、全力でコケなければならない。

それは、面白い想像だったが、(妄想で笑っている場合ではないな)と、僕は思い直した。


#9に続く







※この記事は、エッセイ『妻に捧げる3650話』の第1414話です
※これも「エッセイの1話」と言い切ります
※僕は、妻のゆかりちゃんが大好きです


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人生100年時代。
40代、50代、60代、70代でも、恋は必要です。(僕の主観です)
そばにいるパートナーは必要です。(僕の感想です)


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