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『芸術』と『デザイン』の定義

以前『アイドルとアーティストの違い』について記事にしましたが、
芸術とデザインもよく混同されているので、違いを明確にします。

芸術に理由や説明は必要ありません
デザインには理由と説明が必要です

・理由と説明が必要な芸術には価値がありません
・理由と説明が出来ないデザインには価値がありません

芸術(アート)とは

芸術の価値は《主観》に求められます。

芸術は利益を目的としたものではありません。
むしろ『目的も目標もないもの』という方が正確です。

元から意味もなく、価値もない。
(作者にとっても、作者以外にとっても)

『何らかの感情や感覚を喚起(想起)させるかもしれない可能性』
それだけの存在です。

綺麗、汚い、落ち着く、沸き立つ、安らぐ、腹が立つ
目を離せない、2度と視界に入れたくない

どんな感情でも、どんな感覚でも構いません。
『感動』とは、快感だけでなく不快感も含まれているもの。

美醜どちらでも『何かを感じたら』そこには芸術性があるのです。

設計(デザイン)とは

見出しの通りですが『デザイン』を日本語にすると『設計』です。
(これだけでも随分と解りやすくなりますね)

デザインの価値は《客観》に求められます。

デザインは利益を目的としたものです。

利便性の向上、不便の解消、伝達力の向上、認知度の向上...etc
物理的な頑丈さ、体感的な使いやすさ、直感的な解りやすさ

物質・非物質を問わず『組み合わせて利益になるもの』は何でも含まれます。

元から明確や意味、意図、目的、目標、価値がある。
(作者にとっても、作者以外にとっても)

『要望を叶える為の具体的な提案・解決手段の提供』
それがデザインです。

終わりに

芸術:個人的。感覚的。自分の為にやる事
設計:社会的。論理的。顧客の為にやる事

芸術家気質の人にデザインをさせると、機能性無視の酷い設計になりがち。
デザイナーに芸術作品を作らせると、退屈な記号の集合体になりがち。

この2つは対象的ではありますが、相反する関係ではありません。

芸術で広げ、デザインで洗練させる。
魅力的な物作りには、この両立が不可欠です。

生粋の芸術にデザインは不要ですが、現代社会にソレは求められていません。『利益が目的ではない物事』が殆どないからです(哀しいことですが)。

芸術活動は、個人的な感覚を追求する遊び。
遊びに価値を見出せるのは、生活が豊かで余裕のある人々だけ。

『芸術と金持ち』が切り離せないのは、それだけ一般大衆に遊び(余裕)がない現実の裏返しでもあります。

身分関係なく、分け隔てなく、
芸術が身近に開かれている世界こそ、真に豊かな世界なのでしょう。


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