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じいちゃんの遺したレンズを使う

じいちゃんは5年前に90目前の89歳でわりとあっけなく死んだ。

男子校の数学教師ひとすじの人生、子も男一人という男子ばかり育てた経験が完全に裏目に出たのか、ようするに女の子の育て方がわからなかったじいちゃんは、一人しかいない女の子の孫(それがわたしである)に爆速で嫌われた。
顔を合わせれば数学の点数ばっかり聞いてくるし、あたらしく買ったかわいい洋服を着ても気づきやせず、意味のわからんことをああだこうだと偉そうに話すばかりでちっとも話を聞きやしない。しかも声がでかくて動作が粗雑だった。今思い返しても自分が好きになれそうな要素がひとつもなくて笑う。

じいちゃんはひ孫の誕生どころか孫の結婚も見届けずに死んだが、たぶんひ孫の誕生まで生きていたとしたら、自分の部屋の防湿庫からちょっとホコリくさいカメラを取り出してシャッターを切っていたことだろう。
死人がシャッターを切ることはできないので、せめて遺品でひ孫でも撮ってやるかと思ってレンズだけ家から回収したのであった。
(ちなみにじいちゃんの部屋は現在遺影が端っこに寄せられて部屋自体が完全に物置になっていた。さすがに扱いがひどすぎである)

で、遺品のレンズとはどんなものかというと。

tokina AF 28-80mm F3.5


マウントのせいもあるが、本体より余裕ででかいし重い

おそらく2000年前後あたりに、nikonのカメラとのレンズキットで買ったのではないかと思う。じいちゃんは山登りが好きだったので、主な用途はもっぱら風景か植物のどちらかだったはず。家の防湿庫にはカメラについた状態で保管されていたようだったので、カメラ自体が一軍であったのであれば、そこそこの頻度で使われていた可能性が高い。

が、このレンズ、当時にしては微妙では?

ものは試しということで早速撮りに出てみたが、事前にネットで調べた情報の通り、
・球面収差がでかい。
・逆光に弱すぎ。
・望遠80mm時で開放で撮るとほぼソフトレンズのようなボンヤリ感。
これを持ってフィルムで風景を撮ったら微妙~~だったのではないか?という写り。

テレ端開放。このテイストは悪くないけど、これで風景写真は厳しい、よなー
にゃんこもこのポヤポヤ感
花祭りだったので甘茶かけを撮影。

今でこそ「オールドレンズ」「オールドコンデジ」→エモい!みたいな流れがあるので、まあスナップならそこそこにアリかなと思うが、Instagramもなければそもそもデジタルデータのないフィルム写真の時代にこのレンズを風景に使っていたと思うとなんというか相当アレである。

まあ、しょうがないので、しばらく使いますよ。

この他にTAMRONレンズもあるので、そちらもそのうち使います。

とりあえず、よく寝るひ孫を撮りました

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