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落合陽一のSXSW日本展示とはなんだったのか? 〜seek∞レポート:後編〜

先月アメリカで世界最大規模のエンタメ系カンファレンス、SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)が開催されました。4月3日に開催されたFNN.jp プライムオンライン1周年記念イベント『seek∞にて、落合陽一氏 (メディアアーティスト)、宇留賀敬一氏(経産省)によるSXSW報告会が行われたので、当日の様子を本イベントのプログラムレポーターとしてゆるーくレポートします。

※前回の記事はこちら → SXSWに日本企業が出展する意味はあるのか? 〜seek∞レポート:前編〜


■The New Japan Islandsとは?

今回のseek∞では、経済産業省が主催したSXSW日本館「The New Japan Islands」についての解説・レポートがありました。

The New Japan Islandsは、メディアアーティストの落合陽一氏がディレクションをしていたこと、SXSWのベスト・イマーシブ・エクスペリエンス賞を取ったことで日本でも話題になっていたので、知っている方も多いのでないかと思います。



ただこちら、私のようにSXSW現地に行ってない一般人からすると「何がなんだかわからない」「コンセプトは?」「目的は?」「というかこれダサくない?!(そう思うの私だけ?!)」という率直な疑問が100個ぐらいは湧いてくる展示だったのでないかと思います(たぶん)。

そのため、今回のseek∞も「結局The New Japan Islandsってなんだったんだ?」という疑問を解消したいのもあり、参加させてもらいました(もちろんSXSWのトレンドも知りたかったですが!w)



ではまず、経済産業省の宇留賀敬一氏によると、今回のThe New Japan Islandsは

・(日本の評価に比べ)現地の評価が高かった

・当初は不安だったものの、「カラオケ二次会」のような日本の飲み会を体験してもらうブースの評判が良かった

とのこと。ベスト・イマーシブ・エクスペリエンス賞(=ベスト没入体験賞)を取っているだけあって、体験した方からの評判がかなり良い展示になっていたようです。


また、そもそも日本館を作る上で根底にあったのは「手工業→製造業→データ業とだんだん主要な産業が変わってきているが、これは本当に幸せなのか?」という問いだったとのこと。


そのうえで、90年代初頭によく見かけた、リンク切れのあるような作り込みきれていないサイトから、現在のような整然として少し機械的なサイトを経て、近いうちに人間中心のアプリに移り変わっていくのではないか?という感覚があり、「人間臭さを出すインターネット」というテーマが立ち上げ当初からあったそうです。


※合っているかは全くわかりませんが、個人的には ニコニコ超会議の近未来版 みたいな構想だったのかなーと理解しています



※ちなみに余談ですが、このコンセプトをわかりやすく反映したThe New Japan Islandsのプログラムサイトが懐かしいw




その上で、落合さんが語っていたのが「日本人は、欧州風のデザインの好みにならされている」ということ。

これを突破するということもあり「ダサいを突き詰めてかっこよくする」「めちゃくちゃダサい、カッコいい」というものを作っていったとのことです。



また、たびたび カオス と紹介されていたように、SXSW日本館にはかなりいろんなものがランダムに詰め込まれていたようですが、意図としては

日本はゾーニング(エリア分け)されていない都市になっているから、日本館の空間もゾーニングしていないブースにした

とのことで「ここが公共の場」「ここがプライベート」という風にきっちりわけられていない日本の都市を、そのまま再現したブースになっていたそうです(そう言われると納得がいく気がする...!)



また、セッションのテーマとしてずっと話されていたのが デジタル発酵する風景 という言葉。

落合さんのトークイベントはこれまで2回ほど行ったことがあるのですが、毎回「何を言ってるんだろう...?」からスタートし、終わる頃には「たぶんわかった!」という気持ちになるので、今回も最初は「またしても全然わからない話が始まってしまった...」と思っていたのですが、最終的にはたぶんわかった気がするので、この気持ちに共感してもらうためここからは「私なりにデジタル発酵を紹介する」というかなりリスキーな記事をお届けします(普通に違ってたらすいません)。


1. 日本ではいろんな古い産業が死につつある
2. 例えて言うと、大きな樹(日本)に生えた枝(産業)がどんどん切り落とされている状態
3. そして枝(産業)を切り落とした結果、樹(日本)自体が育たなくなっている
4. しかし、日本には要らなくなった古いものに価値を見出すわびさびという発想がある
5. つまり切り落として要らなくなった古い枝(産業)に価値をつける という発想ができるのではないか
6. たとえば、切り落とした枝も発酵させればキノコという新しい価値を生むことが出来る
7. 同じように、古い産業でも発酵させれば新しい価値を生み出せるのではないか?
8. 「枝の発酵」は菌がつくことだが、「産業の発酵」とは何か? 
9. それはデジタル
10. 例えば、ただの水でもSNSで「面白い水だ」といろんな人が言えば、それは「面白い水」になる。つまりデジタルを通じて、当初はなかった価値をつけること(=発酵)ができる
11. そしてそれは皆がデジタル空間に接続しているから出来ることだ
12. 皆がデジタルに接続しながら、好きなことをして古いものに新しい価値をつけている(=発酵)のが近未来の日本の風景だ





_人人人人人人人人_
> デジタル発酵 <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄



みたいな話だと理解しました。ところどころの理論のジャンプは私自身も追いきれていないのでわかりません(特に3→4のジャンプと8→9のジャンプ...)


ちなみに、この話とあわせて「風の谷のブレードランナー」というパワーワードに満ちた話もあり、簡単に言うと

『風の谷のナウシカ』のようにAI(蟲)と闘うのではなく『ブレードランナー』のようにAIと闘う世界でAIと手を取り合うべきだ

という話だったのですが、私が映画ライターにも関わらずブレードランナーを観ていないせいで話が全然わかりませんでした(ゆえにこの部分は深い反省とともにカットします)



また少し話はそれますが、質疑応答の際に落合さんから出ていたのが「日本人じゃないとできないモノでないと、世界で勝てないのでは?」という視点。

「グローバルでも戦えるようなコンテンツのうち、日本で熟成されたものが一番息が長い」という話があり、確かにアニメやゲームなどいずれにも当てはまることで面白い視点だなと思いました(そしてわかりやすい)



まとめると日本館は経産省と落合陽一による「近未来の(こうなって欲しいという)日本の風景を再現した場」だったのかなと思います。

ただ、SXSWの他のブースと合わせて「どういう場所でどういうことをやっているのか」を体験して初めて価値のわかるものだと思うので、いくら話を聞いても行って体験しない限りわからなかったな〜というのが私の率直な感想でした。

というわけで、来年はぜひLet's noteのスポンサー支援で行けたらいいなと思っています。読了いただきありがとうございました!


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