上海ディズニーランドの仕組みレポ

【レポ】上海ディズニーの仕組みと裏側を真面目に考えてみた(カリブの海賊編)

前回の記事はこちら

そういうわけで引き続き、上海ディズニーの演出&テクノロジーの裏側を淡々と考えていこうと思います。

今回は上海ディズニーの中でも、おそらく最も人気がある?らしい「カリブの海賊」についてです。


ちなみに、元々はこれ

「上海のカリブの海賊はんぱない!ブログ書こう!」

からスタートしたんですが、気づいたら全然関係ないことまで書きまくってて自分でもびっくりです。乱文大変失礼します。。


というわけで本題であるカリブの海賊なんですが、とりあえず前提として、日本の5倍ぐらいのサイズ感で、まったく違うアトラクションです。

日本やアメリカのカリブの海賊は、映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」公開前に作られたもので、いわば「映画の原作」ですが、

上海のものは映画が世界的な大ヒットを飛ばした後に作られたものなので、どちらかというと「映画が原作」です。

なので、かなり映画のストーリー(特に映画の2と3)に基づいたアトラクションになっているし、大幅にバージョンアップがかけられています。



ちなみにここからは、なにもかもを盛大にネタバレするので、

「ネタバレ厳禁!」

「アトラクションを純粋な気持ちで楽しませてくれ!」

な人はそっと「戻る」を押してくださいませ。

(お付き合いいただける方々はそのままスクロールしていきましょう!!)

とりあえず、百聞は一見にしかずだと思うので、動画がこちらです(10分ぐらい)

簡単に説明すると、全体のストーリーとしては

港を出発(日本と同じ)→呪われた洞窟へ→海中へ潜る→ディビィ・ジョーンズに追いかけられて海上へ→海上での打ち合い→エンディング...

という流れです。


演出的に「すげえ!」ってなったポイントがいくつかあるので、順番に書いていきます。


■骸骨から人に変身するキャプテン・ジャックスパロウ

おそらく、実際にカリブの海賊に行ったことのある方は、このシーンに一番驚いたんじゃないでしょうか。私もです。

ここの仕組みの確認のためだけに2回乗ろうかと思ったぐらいです。時間なくて無理だったけど...

とりあえず、乗ったことがない方のために解説すると、この動画の2:16からが該当の箇所です。

船に乗った骸骨に光が当たると、次第にジャック・スパロウに変わっていき、そのままボートの我々に語りかけてきます。

まるで本物のような骸骨が、一瞬でジャック・スパロウに化けるので「え?!まじで?!」感のある本当に驚くべき演出で、ネットでも「カリブの海賊 仕組み」で検索されまくってるぐらい印象的なシーンなんですけど、

これ、オチから言うとおそらくペッパーズ・ゴーストの技術だと思います!(力説)


「いや、ペッパーズ・ゴーストってなんやねん」って人のためにWikipediaの記事を引用すると

板ガラスと特殊な照明技術により、実像と板ガラスに写った「幽霊」を重ねて見せることで、効果を発揮する。実像と「幽霊」はぶつかることなく交差し、照明の調整により「幽霊」を登場させたり消したりすることができる。

というものです。ナニコレめっちゃ難しそう!


ただこれ小難しく見えるけど、要は「光の反射」を利用した古くからあるトリックです。


といってもアレなので、筋金入りの文系の私でもわかるように説明すると、

鏡の中って普通に見ると、こういう風に見えると思うんですが


これの鏡を少し傾けるとこうなって...

映すのをモノじゃなくてディスプレイにして...

見る場所を変えて...

鏡を限りなく透明にします。


これがペッパーズ・ゴーストの仕組みになります。

すごい!!めっちゃ簡単な原理!!!


こちら、有名どころだとディズニーランドのホーンテッド・マンションや、初音ミクのライブの一部、故マイケル・ジャクソンのライブでも使われている方法らしいです。


で、本題に話を戻すと、カリブの海賊の「骸骨から変身するジャック・スパロウ」はこれに照明の技術を足して応用したものではないかと?


どういうことか、順番に説明をすると

まず、真っ暗な中でペッパーズ・ゴーストの骸骨と稲妻を映します。

さらに骸骨が変身する映像を流しながら、後ろのジャック・スパロウ人形に徐々に光をあてていきます。

完全に映像が終わったところ(=変身終了)でディスプレイのスイッチをオフ!


※ちなみに、動画だと2:19~2:20の一瞬だけ、骸骨が平面的に見えて「もしかしてこれ映像じゃない?」って思えるシーンがあるので、気になる人は拡大して見てみてください。

あと、私が「あ、これペッパーズ・ゴーストじゃね?!」って思った最大のポイントがこれ。

YouTubeのキャプチャで申し訳ないんですが...ポイントはこの「船に斜めにピンと張ってある縄」です。

これおそらく、ペッパーズ・ゴーストに必須である「45°に傾いた鏡」のフチを隠すためのものかと。動画だとわかりにくいですが、乗ってみると位置的にも完璧なとこにある!!


ちなみにこれ、仕組みを書いてると簡単そうな気がしないでもないんですが、「言うは易く行うは難し」の類の演出なのではと思っていて、本当にすごいなと思うのが

「ゲストが乗ったボートがずっと動いている」

状態でこれを成立させていることだと思うんですね。


このペッパーズ・ゴーストの技術って鏡の前にいるときしか見えないから、

ちょろちょろカーブしながら動くボートに見せるためは、角度や時間を秒単位で計算しないと席によっては骸骨が見えなくなると思うんですが、

それを当たり前になんとかしているクオリティが本当すごい。


それから人形にあてている光も、背中→肩→腹の順で徐々に照らしていくことで段々と人形が見えてくるようにしてあるし、

完全に人形が見えた段階で、違う方向からも照明が当てられていて、「あれ、このジャックもしかして映像?」って思われないように立体感を出しているのではと思います(私は照明のことはあまりわからないけどおそらく...)


とにかく、なんかもう一切の妥協を許してない感じがすごい。すごいよ!


そういうわけで、本当はカリブの海賊での人間の表現とか、ボートの仕組みも書こうと思ってたけど、異常に長くなったので今回はここまでにして、

残りは時間があるときにでも書こうかなと思います(て言ったやつだいたい書かないけど...!)。お付き合いいただきありがとうでしたー

読んでいただき、ありがとうございます!