都市型往診バイトの全て〜始め方と体験談、アドバイス〜(6000字)


みなさんこんにちは、バイトしまくってる内科専攻医のわんです。

以前スポットバイトについての記事を書きましたが、中でも私が最もおすすめするのが往診バイトです。中でもアプリと連携している企業が運営する往診サービスはバイト先として圧倒的におすすめです。(沢山ありますが、「〇〇ドクター」などのサービス名で広告を打ってるような所です)

どういった点がメリットなのか、その体験談やアドバイス、バイトに必要なスキルをお伝えして、皆さんのバイト先の選択肢の1つになればと思って以下のような内容で記事を書かせていただきます。

★目次

①往診バイトの流れ(申し込み~勤務まで)
②往診バイトのメリット
1給料が良い
2時間の融通が利く
3やりがいがある
4スキルが低くてもできる
5移動時間を活用できる
③往診バイトのデメリット
1子供の診療が必要
2割と疲れる
3救急搬送になるとそこそこ大変
④往診バイトの予習、アドバイス
⑤まとめ
⑥広告
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①往診バイトの流れ

・初回勤務の応募
これは基本的に他のバイトとそんなに変わりません。
まずは各運営会社のホームページから申し込むか、エ〇スリー等の求人サイトから申し込みます。よく分からなければ求人サイトから申し込んだ方がポイントが貯まるので、私は毎回求人サイト経由で申し込むようにしています。(2回目以降も求人サイトから申し込めるかどうかは会社によります)
ですが、初回勤務に関してはタイミングにもよりますが、紹介で勤務するとけっこう大きめのボーナスが貰える(1万~3万円程度)こともあるので、周りでやってる人に聞いた方がよいです。
私が勤務しているファストドクターも紹介で登録すると初回勤務で2万円もらえるので、ご希望の方は私のメールアドレス(55wankosoba55@gmail.com)かX(旧twitter @wanwaninugasuki)のDMにお名前とメールアドレスを送ってください。

勤務時間に関してはかなり融通の利く所が多く、4時間程度の短時間の枠の募集も多いです。まずは短時間の枠でやってみるのが良いと思います。
曜日等はいつでも良いですが、土曜日の夜は翌日の日曜日はほとんどのクリニックがお休みなので、「症状が続けば明日近所のクリニックに行ってくださいね」といった翌日再診の指示を出しにくく、初めての人は土曜日は避けて日曜~金曜でやってみるのがおすすめです。

・実際の勤務日
実際クリニックに行って説明を受けてから始まる所もあれば、往診車にピックアップしてもらっていきなり往診が始まる所もあります。
多くの所は最初はスタッフの方が説明のために同行してくれたりしますが、そのへんのサポートが手薄なこともあります。必ず必要な道具がどこにあるか、どんな検査ができるか等必ず確認しておきましょう。患者を診察してから、どの検査ができるかできないか確認したりしてモタモタしていると患者さんから見て不安になります。

一通り説明を受けたら、カルテやアプリでこれから往診に行く患者さんの情報を確認します。多くのクリニックではこれから往診する3件〜7件くらいの患者さんの事前情報(主訴、体温、既往歴など)が確認できるので、必ず早急にこれを確認しましょう。
それらの情報は医療従事者ではない事務スタッフが聴取していることが多く、稀に明らかにやばい状態(発症からあまり時間が経ってないSpO2低下、呼吸困難など)の患者さんの診察が2時間後等にセットされていることもあります。そういった場合は危険な状態にある患者さんを先にしてもらうか、すぐに行けないなら往診を待たずに救急車を呼ぶように指示する等の対応をした方が良いと思います。訴訟にもなりかねないので。

また、明らかに検査が必要そうな時、専門外の疾患、主訴など(特に小児など)で自分で診きれない時は(その後救急病院や小児科の受診を指示することになりそう等)「往診で診ても、血液検査等はできないので、その後に救急病院の受診を指示する可能性が高いが大丈夫か?」といった患者さんへの確認をとってもらうように事務スタッフに依頼しましょう。そうでないと患者さんから「往診がくるまで3時間も待たされたのに、こっから病院に行けと言うのか!」といったクレームに繋がることがあります。

そういった注意点を押さえながら患者さん情報を把握して診察に行きます。

慣れないうちは少し教科書やマニュアル本で少し知識を確認して臨みましょう。おすすめの教科書等は後述します。

そして患者さんを診察&検査→説明→処方といった流れになります。

診察や説明については普段通りやっていけば良いと思いますが、往診の場合、再診指示については「〇〇の症状が出現すれば往診or病院受診、〇〇の症状が出た場合は往診では対応できないので病院受診や救急車を利用してください」といった、再診が往診でも良いのか、病院での検査や治療が必要なのか具体的に指示してあげる必要があります。そうでないと、患者さんが病院受診が必要な状況になったのに往診を待って時間をロスすることになり、患者さんの混乱やクレームにも繋がります。

また、薬については5〜8歳くらいの飲み薬が必要か粉薬が必要か微妙な年齢の子でも、必ずしも両方持っていく必要はなく、移動中に患者さん宅に電話してどんな薬を希望されているか聴取すると、重たい薬バッグを全て持って行かなくて済むのでおすすめです🙆

カルテ記載については各社のカルテやアプリに従って記載すれば良いでしょう。ポイントとしては同じような主訴の人を何人も診ることになるので、A/Pの欄や再診指示の欄などはコピーしてカルテ端末のメモアプリに保存、二人目以降はそれを貼り付けて患者さん毎に細かい部分を書き換える形にするとカルテ記載の時間節約になります。

そうして診察とカルテ記載を繰り返していきます。多くのクリニックや運営会社ではインセンティブ制になっており、たくさん診れば診るほど収入になるので、どんどん手際良くこなしましょう。

②往診バイトのメリット

1給料が良い
正直ここが一番かと思います。インセンティブ制の所が多いですが、慣れれば時給1〜1.2万程度は可能です。特殊なスキルが必要なく、都市部でいつでも募集してるバイトとしては破格の水準です。

今は国の方針として、救急車や入院を減らして長期的な医療費を削減すべく、訪問診療・往診を推進したいので診療報酬が異常に高く設定されています。色んなクリニックが在宅医療に乗り出しているのはこのためです。

https://clinicalsup.jp/jpoc/shinryou.aspx?file=ika_2_2_1/c000.html
こちらに具体的な点数が載ってますが、往診料720点(7200円)に、緊急往診加算、夜間・休日往診加算、深夜往診加算と夜や休日だとさらに加算がつくのでかなりの高報酬な医療になっています。

もちろん、この高い水準がずっと続く訳ではないと思います。厚労省は今後推進したい医療の点数を高く設定して、世に広まってきたら点数を下げる、という厚労省お得意のやり口でやってるだけなので、その波に乗れるうちに乗った方が良いと思います。もちろんその波に乗る人が多くてより一層速く往診が社会に広まれば、まさに厚労省の狙い通りなので社会貢献にもなると思います。

2時間の融通が利く
こちらも拘束時間の多い専攻医や急性期病院のスタッフには大きいポイントです。
例えば19時〜24時などの仕事が終わってからも間に合い、かつ朝まで働かなくても良いスケジュールで募集していることも多く、常勤先の勤務にあまり支障をきたすことなく働けます。
募集も多く、前日でもバイトを募集していることも多く、予定が空いたら気軽に応募できるのもかなりメリットです。
また、勤務先にもよりますが、往診は病院のように必ず一定の人数の医師を宿直させるような形態ではないので、常勤先で担当患者の急変などあった場合には多少の遅刻は許してくれるクリニックも多いです。病院の当直バイトは遅刻したらその分、日勤の先生が帰れなくなってしまうので遅刻は許されません。その柔軟さは常勤先が忙しい医師にとっては何よりもメリットだと思います。

3やりがいがある

やったことが無い人にはイメージが湧きにくいかもしれませんが、都市型の往診サービスはめちゃくちゃ感謝されて、非常にやりがいのある仕事です。

確かに患者さんの多くはそれ程重篤な状態ではありません、致死的な状態ではない発熱等に対する一般的な検査・加療等が多いです。
しかし、自分が経験した往診ではこんな方もいました。発熱したシングルマザーで小さい子供が4人いて病院に行きたくても全員連れていくことも困難で受診できていなかった方障害があって待合室で大人しく待つことができず暴れてしまう子供の診察
そういった方々は確かに病態的にはそれほど重篤ではありませんが、普通にクリニックの発熱外来に行くことが極めて困難です。そういった人たちに検査、診察、薬の処方を行う往診サービスは本当に感謝されますし、社会にとって必要なサービスじゃないかと思います。

4スキルが低くてもできる
この点も大きいです。例えば病院の当直であれば、CTやMRIの読影スキル、心電図の判読やフォローの判断、エコー、CV穿刺など求められるスキルは多いです。しかし、往診ではこれらのスキルは全く求められず、基本的な身体診察と薬の処方ができれば大丈夫です。なので、専攻医1年目やブランクのある方でも簡単にできます🙆
ただし、勤務前にルート穿刺ができるか、気管カニューレや胃瘻の交換ができるか、簡単な縫合や肘内障の整復ができるか、といった自分のスキルは必ず報告しておきましょう。どれもできなくてもバイト先は見つかるので大丈夫です。伝えないと自分に無理なスキルを求められる往診先に行かされてトラブルになることもあります💦

5移動時間を活用できる
これが往診の最大の特徴だと思います。患者さんの家から家へと移動しなければいけないので、例えば、20分移動→15分診察→30分移動→20分診察、といった形で診察時間よりも移動時間の方が長いことも普通にあります。移動時間に勉強したり、メールの返信をしたりと、有意義に隙間時間を使えばかなりメリットのある勤務スタイルだと思います。
車酔いしやすい人は酔い止め必須ですね笑

③往診バイトのデメリット

1子供の診療が必要
ここは企業にもよりますが、都市型の往診サービスは2割〜8割程度の患者さんは子供になります。普段高齢者しか見てないと子供の診察は考える疾患や勝手も全然違うのである程度の予習はした方が良いかと思います。詳しくは後述のアドバイスの欄をご覧ください。
具体的なサービス名を出すとコールドクターは割と子供の診察が多いので、小児診療が苦手な人には合わない恐れがあるかもしれません。

2割と疲れる
往診バイトは割と疲れます。というのも、重たい往診バッグと薬を持って都会のでかいタワマン等を走り回るので、特に夏場や真冬は気候も相待ってかなりしんどい時もあります。体を動かすのが嫌な人にはデメリットかもしれません。

3救急搬送になるとそこそこ大変
往診で診察して採血やレントゲン、CTなどの必要があれば近医の受診を指示することになりますが、基本的に受診先は自分で探す必要があります。
すんなり見つかれば大丈夫ですが、なかなか受け入れてくれないとかなり時間のロスになり、インセンティブも稼ぎにくくなります。また、診療情報提供書を書いたり等の業務も発生するので、そのへんの心の準備は必要かと思います。

4患者さんの家に行くこと
これは人によっては大きなデメリットかもしれません。まず患者さんの家が綺麗とも限らず、概して独身男性の家(筆者の家を含む)の衛生環境は酷いものです。そこに入るのは人によってはデメリットかと思います。

また、2022年1月には埼玉県ふじみ野市で訪問診療医が殺害される痛ましい事件が起きました。
https://president.jp/articles/-/54281?page=1
さすがに殺されることはほとんど無いですがですが、患者さんの家で他の医療スタッフがいない中で勤務することはリスクになり得ることだとは思います。特にセクハラ等の問題も起きえるので、若い女性の先生は気をつけて欲しいです…その点に関しては小児往診では基本的に子供とその親しかいないので、小児中心のコールドクター等のサービスは安全性が高いかもしれません。

④往診バイトの予習、アドバイス

ここまで往診バイトの概要を話してきましたが、やはり一般的な病棟診療とは違うのである程度の参考書、マニュアル本での予習はした方が良いと思います。
特に小児は普段診ない先生にはハードルが高い分野だと思うので、小児科ファーストタッチ等の小児診療の本で関連する主訴のページを診察直前に少し読んで臨むと安心です。小児科ファーストタッチは具体的な処方例、患者さんの親への説明の仕方まで載っているので筆者は常にこの本を武器に往診に臨んでいます。

また、有名ですが、岸田直樹先生の誰も教えてくれなかった「風邪」の診かたも本当におすすめの書籍です。風邪の内容に留まらず、感染症診療の基本的な知識が身に付く良書なので、せっかく往診で風邪をたくさん診るのであればこの本と合わせて学んで内科のスキルを向上させるのも手かと思います。


また、細かい点ですが、いくつか往診バイトも回していく上でアドバイスや注意するべき点があります。

・必要な道具、薬以外は置いていく
恐らくクリニックの用意する往診バッグには全ての診察道具や薬が詰め込まれており、非常に重いです。最初は私は全て持って行ってました。しかし大人の診察にRSウイルスの検査キットや耳鏡はほとんど必要ないですし、0歳児の診察に錠剤の薬は必要ないでしょう。また、検査キットも20回分等と大量に入っていますが、持ち歩くのはせいぜい2回分程度で良いでしょう。不要な道具は往診車に置いて荷物を軽くして、腰痛等の健康被害を予防しましょう!

・検査を最初にやる
コロナやインフルの検査をやる機会は多く、必ず10分程度の検査結果が出るまでの待ち時間が発生します。なので、通常の外来のように「話を聞いて→診察して→検査が必要なら検査」という流れでは、その後10分間患者さんの家に待機しなければいけません。そのため、検査が必要そうな所見、患者さんの検査希望があるかは最初に確認して一番最初に検査をしましょう。

・接遇に気を付ける
都市型の往診サービスでは患者さんからのアンケートを集めてドクターを評価している会社も多いです。アンケート結果がインセンティブに反映される会社もありますし、そうでなくても入りたい日にシフトに入れてもらえる頻度には影響します。そのため普段より一層接遇に気をつけましょう。
これは特に特別なことではなく、「最初に名札を見せて、靴を綺麗に揃えて家に入る」「最後に質問や心配なことがないか確認する」「子供には『検査頑張ったね!えらいね!』といった声かけをする」といった基本的なことを頑張れば大丈夫ですが、そのように患者さんに評価される立場であることは意識しましょう。

⑤まとめ

いかがでしたでしょうか、本当は往診バイトをしていて感じること等もっとたくさんあるのですがさすがに記事が長くなりすぎたのでここまでにします笑
何か筆者に質問などあれば是非コメントしてください!
個人的には往診はお金、やりがい、楽さ、全て揃った最高のバイトだと思います。是非やってみてください!

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