インパクト投資とは?社会性と経済性を実現する新たな投資スタイル

IVS KYOTO 2023に参加して初めて知った概念、「インパクト投資」。
資本主義に対抗する手段として可能性を感じ、調べたことをまとめます。

インパクト投資とは?

インパクト投資とは、金銭的なリターンだけでなく、社会的・環境的な影響も目的とする投資の一形態です。この種の投資は、企業やプロジェクトが持続可能な方法で運営されるように、資金を提供します。

Social Impact Investment Foundation(SIIF)

SIIFは、インパクト投資を促進するための基金です。この基金は、社会的な課題を解決するためのプロジェクトや企業に資金を提供し、その影響を測定しています。

SIIFは、インパクト投資の要素として4つあげています。
1. Intentionality (社会・環境課題の解決に貢献する意図があること)
2. Financial Returns (財務的リターンも追及すること)
3. Range of asset classes (多様なアセット・クラスでの実施が可能であること)
4. Impact Measurement (社会的インパクト評価を行うこと)

インパクト投資は、本来お金になるところにお金が集まるという資本主義の特性とは異なり、社会的なインパクトのある事業やサービス、企業に対してお金が回るようになるという意味で画期的な概念なのです!

インパクト投資のトレンド

インパクト投資の規模は急激に拡大しています。
グローバルでのインパクト投資は2017年から2022年の間に市場規模が約10倍になっています。国 内のインパクト投資規模もインパクト投資残高は1兆円を超えており、今後さらに拡大されていくことが予想されています。

ESG投資とインパクト投資の違い

近年流行っているESG投資と似たような概念に思われますが、明確な違いがあります。ESG投資が長期的なリスクの削減と収益の最大化を目指す(二次元)一方で、 インパクト投資は特定の社会課題解決を目的とするという明確な意図を持ちます(三次元)。
簡潔に言えば、社会への影響に対するスタンスが、ESG投資はやや消極的(財務リターンとサステナビリティとのバランスを考慮するにとどまる)でインパクト投資は積極的(財務リターンと並ぶ1つの評価指標として社会的インパクトがある)イメージです。

インパクトの測定と管理

財務的リターンは定量化できても、社会的インパクトは定量化できないのでは?と思う方もいるかもしれません。しかし、定量化された指標がなければ、インパクトが表面的にしか考慮されていない状態(インパクト・ウォッシュ)に陥るでしょう。そのため、インパクト測定・マネジメント(=IMM)の重要性が国際的にも高まっています。
IMMとは、インパクト投資において単にインパクトを「測定」するだけでなく、それを「管理」するプロセスのことです。
GIINによれば、IMMは

「ビジネス上の活動が人や地球に与えるポジティブとネガティブの両方の影響を特定し検討することを含み、その上で自身の目的と整合させつつネガティブな影響を低減し、ポジティブな影響を最大化する方法を見出し、実践する、反復的なプロセス」

GIIN

と定義されています。

今後の期待

社会的インパクトの測定方法は各ファンドや団体で検討されている段階です。今後よりインパクト投資の概念が日本で広がれば、ソーシャルビジネスの活性化、さらには社会的包摂につながるのではないかと期待しています。

参考資料はこちら


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