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リノベ前に絶対読んでおきたい一冊

発売前から予約して到着してわずか2日程で読み切ったのが、ちきりんさんの「徹底的に考えてリノべをしたら、みんなに伝えたくなった50のこと」。

普段から次に引っ越すなら…もし家を買うなら…と物件アプリなどで家の間取りやらを眺めるのが好きなのに加えて、ちょうど田舎のお風呂場をリフォームしようかと考えていたところだったので、ちきりんさんが書かれる、リノべに関する本というなら絶対に読まねば!と到着するのを本当に楽しみにしていた。そして期待通りものすごく面白かった。

リノベに対する具体的な気付きやアドバイスが参考になったのはもちろんのこと、それ以外にリノベは等価値交換の取引ではなく、共同プロジェクト型の取引である、という視点は個人的に色々なことを気付かせてくれた。

等価値交換の取引というのは、500円の現金で500円のお弁当を買う、というように、等価値である2つのものを交換して完了する取引。
一方で、英会話学校や医療のように20万円払ったから、英語が話せる、病気が治る、といったことにはならず、売り手と買い手(英会話を教える人と習う人や、お医者さんと患者さん)が協力して価値を生み出す共同プロジェクト型の取引があり、リノベは後者である、というのがちきりんさんの本による説明だった。

私はイベント業を生業にしており、まさに共同プロジェクト型なので、このコンセプトはすぐに理解ができたが、今までの仕事が等価値交換型だとなかなか理解できず「こんなに大金を払っているのだから、完璧なものを!」というお客さんがいるとも書かれており、なるほど、そういう考え方が根底にあるからぶつかることもあるのか、とも気付けた。

私が携わっているチャリティイベントなんて、特に共同プロジェクトの色が強い。
参加者にサンタクロースの衣装を用意して、みんなでサンタの衣装を着て楽しみつつチャリティランをしましょう、というイベントだが、その「楽しむ」というところは、お金を払っていただいたから、必ずしも主催者側が提供できるかというとなかなか難しい。

しかし、参加者のなかには、自分で衣装を用意して、楽しむことに協力してくださる方はもちろん、周りの人たちを楽しませるために楽器を用意して参加してくださったり、子どもたちを楽しませる仕掛けをつくって参加してくださる方などもいる。主催者としては本当に有り難いし、嬉しいし、参加者というよりは一緒に作り上げている!という仲間!という気持ちを感じている。

ちきりんさんの本にはさらに共同プロジェクト型の取引は「問題は起こって当たり前」と書かれているのも、確かになぁと思った。

私の尊敬するイベントプロデューサーは、イベント直前に「さぁ次はどんな問題が起こるか」と笑って言うぐらいだ。
問題は起こるのは当然、しかしそこでイライラして周りに当たり散らすでもなく、楽しむ雰囲気すら出しつつ、それをどうにか対処できる人だからこそ、イベンターとして凄いと思うし、尊敬もしている。
起こった問題を、みんなで一緒にあーでもない、こーでもない、と焦りつつ、でも最終目的のために、最善の手段を考えるところがイベントの面白さの醍醐味でもあるし(その瞬間は大慌てだけれども)終わった後の打ち上げの肴になる。

リノベもイベントと同じだと考えると、問題が起こった時に、一緒にやっているメンバーにすぐに言い出しにくいとか、一緒に相談できない人とやると考えると、それは戦力が0どころかマイナスだ。
後手後手になると、事態を悪化させかねないし、言いたいことが言えないとお互いにストレスもかかるし大変だ。
そういう目線で考えると、リノベの業者選びは大切だ。
安ければいいといったものでもない。

そんな色々面倒なことも多い共同プロジェクトが私は好きなんだ、と気づけたのは、個人的に大きな発見だった。

もともと、単にイベントが好きなのか、と思っていたけれど、それは少し大きな枠組み過ぎて、ぼんやりしていた。
しかしそれをきちんと言語化すると、私はイベントそのもの、というより、イベントを作り上げる過程が好きで、それは共同プロジェクトが好きということなんだとわかった。

例えば仕事以外だと、私にとっては結婚式も共同プロジェクトだった。
予算を決め、自分で会場を選び、プランナーさんと相談しつつ、何にお金をかけて何を省くか、式次第もありきたりのものは嫌で色々こだわったり…という過程が楽しくてしょうがなかった。

結婚式がめんどくさい、とか、彼氏と決められずに喧嘩したりして大変…といった話なんて一切なかった。(もちろん旦那さんが協力的で、好きにやらせてくれた、というのも大きかったと思うが)

むしろ結婚式が終わった後、もう1回できるならやりたいけど、基本的には離婚でもしない限り1回きり、自分が全部決められる(結婚式ぐらいの大掛かりな)イベントは後は自分のお葬式ぐらいだろうか…と思って悲しかった。(自分のお葬式を計画するのは、それはそれで良いのだが、自分の目で当日見届けられないのが難点…と思った)
だから一時は、ウェディングプランナーになろうか、と思ったぐらいだ。

本のなかで、ちきりんさんの知人がアメリカでの駐在期間中に一戸建てを建てたというエピソードを描かれている。
その知人は「アメリカで家を建てるなんてなかなかできない経験だから、長く住めないことはわかっていたがやってみたかった」と言うことらしいが、私もまさにこれだ、と思った。

家をリフォームする、リノべをする、というプロジェクトをやってみたいのだ。経験してみたいこと、としてもリノべに興味があるとわかった。
自分好みの家に住む、と言う憧れはもともとあったが、自分のお葬式の企画より前に、やれる企画なのだ、と思うと更にワクワクしたし、嬉しかった。

結婚式やイベントはどんなに準備をしても、最終的には1日で終わってしまったり、長くても数日や数週間。後には残らない。
でも家のリノベーションはその後何年、といった形でその成果が残る。

結婚式ですら、平均半年、しっかり準備したいなら1年、と言われるぐらいだし、今仕事でやっているイベントだって、1年かけて準備している。
これはそれ以上にしっかり準備して、情報収集も必要だ、と思うと物凄くワクワクする。

それをそんな面倒くさいこと、と思う人もいるだろうし、リノベは向き不向きがあると私も思う。
結婚式で一から色々決めるのが面倒くさい人などは不向きな可能性も高いかもしれない。

しかし結婚式と違って、リノベは必要に迫られて行うこともあるかもしれない。そんな時に、不向きな人におすすめな選択肢についてもこの本では紹介してくれている。

リノベに限らず、共同型プロジェクトに興味がある人、逆にそういったものに加わったことがない人にもぜひおすすめしたい一冊。
そしてイベンターという立場からは、世の中に多々ある、共同型プロジェクトに参加する側になった時などに、協力しよう!一緒に頑張ろう!盛り上げよう!と思う人が増えてくれると嬉しい。

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