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vol.2 チャイとREBT

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vol.2 チャイとREBT

「あーもうダメダメダメダメだー」ひどく打ちひしがれている。どれくらいかというと、短時間では立ち直れそうもないくらい。そんな時、またあの鳥がやってきた。「どうかしたの?」「いや、もう本当にダメなんだよー」「...答えになってないよ。。」鳥はそう言って、チャイを差し出してくれた。気がきく鳥なんだけど、今の自分には「気がきくね」なんて言葉をかける余裕は全くなかった。鳥は「とりあえず、飲んで落ち着いて。」と言って、まともな会話ができる状態になるのを待ってくれた。

少し飲むと、落ち着いてきた。しかも色々話したくなってきた。「実は、醤油をこぼしちゃってね。」「はぁ?!」今まで聞いた鳥の声の中で一番大きかった。何か言いたげな鳥を無視して、話を続けた。「冷蔵庫を開けたときに、ものすごい勢いで上から落ちてきたんだ。しかも一度、床で跳ね返ってね、顔から足までかかったよ。これから出かけるというのに、服は上下洗濯して着替えないといけなくなったし。そもそも、しまい方が悪かったんだ。しかも、しまうとき慌てて蓋もきちんと閉めていなかった。扱いが雑な自分に嫌気がさしてね。そう、いつもバタバタしていて、心に余裕がないんだ。これは、その現れだと思う。本来なら、子どもが醤油をこぼしたらしかる立場の人間がだよ、逆に助けを求めたんだ。情けなすぎだよ。こんな雑で余裕なくて情けない人間、何をやってもダメだと思う。将来が不安だよ。色々考えていくとね、自分消えたいとか、空気吸ったら微生物が死ぬから悪いとか、訳分からない方に気持ちが行っちゃってね...おかしいよね、自分でもおかしいと思っているけど、この落ち込みから抜けられないんだ。」鳥はこんな話でも、真剣な顔をして、うなずいて聞いてくれた。

鳥は言った。「古代ギリシアの哲学者エピクテトスはね、

私たちは、できごとにではなく、できごとに対する自分自身の見方に悩まされる

と言ってるんだ。これを基礎として、アルバート・エリスはREBTというのを考案したんだよ。」

REBT = Rational Emotive Behavior Therapy = 論理情動行動療法

鳥が何を言いだしたのか、分かったような分からないような。鳥は続けた。

「REBTはね、やばい思考パターンをあきらかにして、それにどのように立ち向かえばいいかを示すっていう感じのものなんだ。できごとに対する、考え方、受け取り方を変えたら楽になれることもあるよ。そうだ、また、一緒に遊ぼうよ。いいものがあるんだ。」やっぱり、分かったような分からないような。そう思っていると鳥は、紙を持ってきて何やら作り始めた。

「できた!これは僕が考えたオリジナルカードなんだ。全部で6枚。一枚一枚にメッセージが書いてある。これを順番にめくると不思議と前向きになれる遊びなんだ。ルールは簡単。一枚めくるたびに、そのメッセージに忠実に答えること。最後の2枚は決してめくってはいけないよ。ただし、どうしても前向きになれなかったときは一枚ずつめくること。」

まずは一枚めくって、ボードに貼ってみた。

えっと、それは、『醤油をこぼした』でいいかな。。てか、鳥ってこんな字書くのか。

いやもう、本当に大変だったよ。

雑で余裕なくて情けない人間に嫌気がさして、将来も不安になったよ。

松岡修造?!まぁ、確かに、極論過ぎたかな。今度からこぼさないように気をつければいいか。あ、そろそろ夕食の支度の時間だ。あれ、前向きになってないか自分?

あれ?鳥がいない。そういえば、最後の2枚は?めくってみよう。

いいこと書いてるじゃないか。あ、やばい。4枚目で前向きになれたのに、めくってしまった!これは、やばいんじゃないか?!鳥から怒られるかもしれん。。

次回どうなる?!・・・つづく。


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