新新新年

年末はずっと錦市場の魚屋さんで働いていた。江戸中期創業らしい。京都は100年単位の話がゴロゴロあってその度に不思議な気持ちになる。1年に1週間しか会わないのに歴史的魚屋ファミリーは温かく迎え入れてくれて心と財布が潤う年の瀬。大晦日は眼鏡が壊れたが魚屋営業終了後の大宴会で食べた鰤と日本酒が美味かった。紅白は星野源の大出世と照れ顔恋ダンスのガッキーが最最最高だった以外はほとんど伝統芸能とピコ太郎。80代の大将曰く、ピコさん背高いなあ。宴会後、魚屋で一緒に働いた後輩に年越しも一緒にしようと話すが彼女とふたりで年越ししたいという趣旨のことをやんわり言われ心底羨ましかった。同級生はみんな帰省してしまっていたので別の後輩に遊んでもらって年越し。後輩の部屋に向かう道中、人気のない京都の学生街が寂しくて自転車のペダルを漕ぐのが速くなった。自分の部屋の5000倍くらい暖かい部屋はいい匂いだった。魚屋さんで頂いた美味しい日本酒がやっぱり美味しくて盛り上がる。やっぱり何でも美味しいものを知らないとな。盛り上がったまま録画の紅白を見返す。ほとんどガッキーの照れ顔が映った10秒間をリピートしていたので正月の脳内音楽は星野源に決定してしまった。朝になる前に北野天満宮に参拝。京都はアホみたいに寒いけど、誰もいない上七軒の石畳を自転車で走るのが何だか気持ちよかった。おみくじは中吉。だいたいどの運勢でも慎ましく生きるのが吉と書いてあるように思うので今年こそは慎ましく生きていきたい。初日の出は鴨川あたりから見る予定だったが、同志社の寧静館の階段から見ることを思いついた。日の出前の大学はもちろん誰もいなくて、普段は人が多くて自転車の走行が禁止されている構内を5人で爆走するのが思いがけず青春ぽかった。雲がかかっていて日の出はよくわからなかったがそれも青春ぽい。警備員に新年の挨拶をしてしまうほど気持ちが清々しかった。実は年末ずっと便秘だったが大晦日にたらふく飲み食いしたのでさすがに腹が痛くなりトイレに駆け込んだら2016年が出て行った。同志社大学で2017年初めてウンコをした学生が自分であることをここに記す。帰って年末に焙煎した高級コーヒー豆ゲイシャを飲んだが焙煎がやや浅く酸味がすごかった。それでも無しではない味なのが高級なのかもしれない。少し寝たあと帰省。帰る度に両親と犬が少しずつ老けていくのが心に痛いが仕方がない。母は年末年始もパートに出ているがそろそろ嫌になってきたらしい。今度は僕が働いて母にそういう思いをさせないのが親孝行なのかもしれず、いつまでも働きたくないと連呼していられない。口に出すのは1日1回くらいにしよう2017。

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