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【君はカッコいい!】


雨の降る日の夕方、家にいると遠い昔の事を思い出すことがある。
その日、彼は学校からびしょ濡れになって帰ってきた。
自分の傘を誰かに持っていかれてしまったらしい。

「なんでもいいから、他の傘さして帰ってくるのよ!」
と彼を怒った祖母。

彼の応えは
「でも、そしたら、その傘のお友達はどうするの?」

祖母は、、
「そんな事はそのお友達が考えることよ、あなたが考えることじゃないの。」

確かに、この世の中には
《必要悪》は存在すると思う。

でもそれは大人になって学ぶことで、
〈心を痛めながら〉悪行をしてしまうような良心が芽生えてからでよいと思う。

まだ、心が未発達な
子供に強要するのはあまりにも酷なのでは、、、

孫、可愛いさの祖母の言葉で、、、
びしょ濡れの彼が〈可哀想〉に見えたのだろう。

祖母の言葉は、そんな自分の気持ちを満たすための言葉で、
彼のためにならないのでは、、
本人は少しも自分を
〈可哀想〉などと思ってはいないから、、、

きっと本当は
褒められたかったのかもしれない。
しかし、今の彼には祖母のその言葉に
愛を感じるのはなかなか難しいだろう。

とても、不器用だけど、
突然彼に訪れた不幸を友達に広げることなく、
自分1人が濡れて帰ってきた彼を僕は黙って抱きしめてやった。

祖母も妻も、
びしょ濡れの息子を抱いて一緒に濡れてしまった私を、怒っていたが
私と彼は笑っていた。

(*´꒳`*)ヨキヨキ
息子よ、お前はかっこいいぞ!

きっとお姉ちゃんだったら、
職員室に行って、事情を話して、傘を借りてくるだろう。
これもまた(*´꒳`*)ヨキヨキ。

あれから息子も娘ももういい大人になった。
2人とも、あの頃と変わらず、正しく育ってくれた事に、
これもまた、(*´꒳`*)ヨキヨキと思う今日この頃。


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