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四国歩き遍路日記 10日目

3月2日

7時過ぎ出発。今日は35キロ歩かねばならない。
昨日は気づかなかったが、宿の前の池にウミガメがいた。


昨日訪れた薬王寺の方へふたたび行き国道に入る。ここから高知市までは基本、この55号をひたすら歩くみたいだ。残念ながら海から外れ、また山中の道になってしまった。

道もトンネルも、歩道がないところが結構あり車がぶっとばしてくるので怖い。世界遺産を目指すなら、こういうところを整備すべきだと思う。


1時間に1回くらい休憩していく。足は大して疲れないのだが、肩の方がきつい。左肩だけ痛くなってくる。たぶん骨格がゆがんでるのだろう。
ただ、昨日重いものを送り返したからだいぶ軽くなった気がする。肩をゆるめてなかば腰だけで背負う形にすると楽になる。


ずーーーと歩いて牟岐の街に入り、ようやくコンビニを発見。
飯を調達して、どっか座れるところはないかと歩いていくと、休憩所があった。ちょうど土日だけおばちゃんたちがお接待をしてくれてるらしく、コーヒーやお菓子をいただいた。
今日の行程の半分の位置らしく、宍喰まであと17キロあると聞いてうへーとなる。


途中、鯖大師を通りすぎる。ここの宿坊は人気だそうで(護摩祈祷が凄いらしい)俺も泊まってみたかったが、距離的に合わなかったので見送った。


ひたすら歩いて歩いて、ようやく宍喰に到着。
今日も素泊まりなので、手前のコンビニで食料を調達して出ると「お遍路さん?」とおっちゃんに声をかけられ、コーヒーをおごってもらう。おっちゃんはすでに何回もまわったことがあるらしい。
「今日は35キロ歩いてもう限界ですよ」と言ったら「いやいや、まだまだいけるよ。40キロ以上歩いて明日きついなーと思ってもなんとかなるもんだから」と言われた。


宿は全体的に真新しかった。まあ、俺はある程度下調べして宿をとるので、そうそうひどいところには当たらないと思うが。

若かりしころ秩父を遍路したときは、ザックと寝袋だけ持って全部野宿しながらまわったのに、今ではスマホで調べまくってウォシュレットがある宿だけ選んでるのだから軟弱になったものである。


今日はひたすら国道だったので、ずっとウォークマンをつけていた。
「夢を信じて」とか聞きながら歩いてると、なんとも言えない感傷的な気持ちになる。

子どものころ、この曲が流れるドラクエのアニメのEDを見て感じていた旅の世界へのロマンと、逆に今の自分が子ども時代に対して感じているノスタルジーと、時間のベクトルが反対の(そして種類も違う)憧憬同士がぶつかり混じったとでもいうような不思議な感覚だ。

”心のままに生きていけばゆけばいいさと 君は笑っただろう”
この年になってこの歌詞を聞くと、いい年こいてふらふらと歩き遍路なんてしてる自分の身に染みるとともに、冴えない人生の現実にやるせなさも感じる。

20時30分 泊:民宿えびす(素泊4000円)

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