スタートライン 27(小説)

 僕の店のスタッフは頼もしい。ノーと言える人間だ。僕は仕事を一人でしている訳ではない。それぞれインストラクター歴も長く、海も任せられるし、100%信用も出来る。多くの仕事を振っているが個として考える力もある為、毎日かなり助けられている。文字通り頼もしい人材。
 自分はアイディアをいっぱい思い付く人間だと思っているが、こんな人間など沢山いるのはわかっている。何も特別ではない。学校の成績が自分より上の人が多くいたように、自分よりも色んなアイディアを思い付く人は多く存在している。いつも僕はいいアイディアが考えても思い浮かばない時、考える、をやめ、他のことをするか、インプットのためにニュース記事やSNSの色んな投稿や本を読むか、スタッフと話す。アイディアが思い浮かばない時、調べるか、人に聞く。すぐに思い浮かばないという自分を認めている。
 アイディアに価値はない。情報が溢れた時代において、アイディアにはもはや価値などない。歴史にすら残らない。エゾソンが歴史に名を残したのは、行動したからだ。
 だから仕事の新しいアイディアを思い付いても、自分以外にも考えた人は確実にいると認めている。その上で、二つの事もすぐに合わせて考えている。それは何かというと、先に思い付いているけど自分がそれを知らないのは、やったけどうまくいかなかった、もしくはやらない理由があった、この二つを続けて考える。どうしてうまくいかなかったのか?どうしてやらなかったのか?必ず理由がある。そこをトコトン突き詰める。とにかく考える。そして聞く。一人で考えるのではなく、聞いて一緒に考えてもらう。異なる視点はアイディアをよりよいものにする。全ての意見を取り入れる訳ではないが、参考にとてもなる。そして自分のアイディアが毎回採用とならないのもおもしろい。
 スタッフに毎日いろんな提案をしている。全て通る訳ではなく、しっかりとみんなNO と言える。ちなみに最近却下された提案は「今書いてる小説、みんなで書こう?映画も音楽も一人では作ってないし、絵本もキングコング西野さんみたいに一人で作らないスタイルになってるし」だ。

 そんな中、採用されたアイディアも多くある。僕は去年の11月にニシノコンサルを見て石川涼さんを知って、FR2の事を知った。憧れて、自分もブランドを作りたくなった。伝えたいメッセージを服にこめたいと思った。服の事全然わからなかったけど、とにかくチャレンジしたくなった。そしたら、ブランドが完成した。「どうせ無理」をやめたら叶った。やはり、やりたいなと思い浮かんだ夢は行動すれば叶う場合が多い。

 服の中でも採用されなかった案もある。どんな服がイイかな?とスタッフと考えている時、「ハッピはどうかな?」とボケて提案してみた事がある。そしたらスタッフのかずが
「作ったあと、売れないのでまさにあとのマツリですよ」とドヤ顔で言ってきた。
 その時の僕とそこにいたスタッフの顔がどうなったか想像してみてほしい。
 とこういう和やかな雰囲気で基本的に仕事をしている。だから出勤するのがいつも楽しい。よく雑談もしている。こういう雰囲気を大切にしたい。理想とする要因の一つだ。起業してすぐにこの雰囲気を作りたかったが、自分の力が不足していた。

 大人もまだまだ成長できるハズ。子供の頃より色々経験があったり知識があるから、伸びやすいハズだ。大人になったら成長出来ないなんて決まっていないハズ。まだまた成長したい。失敗かどうかはすぐに決めなくていいのでは。まだまだ人生は長い。今思う失敗も、次の成功への経験となるし、より人生に厚みをもたらせると思う。幼稚園、小学校の時など僕らは沢山チャレンジと失敗をして、その都度成長してきた。大人からしたら子供の失敗は学びと成長のチャンスだ。今もそうかもしれない。子供の頃は、親や先生が成功か失敗かを教えてくれていた。大人になると、それを自分で判断しないといけないと思うかもしれないが、自己評価は難しい。自己評価しつつ、うまくいってたり夢を叶えた人に聞いてもいかもしれない。そういう人の場合、みんな大なり小なりシンドイ経験をしているだろう。そしてそういう人達はそれを失敗と言わず「良い経験」と言っている。

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