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スカーレット 火と土のエレメント

ある生物や人間が生きていくのに必要不可欠な活動領域のことをエレメントといいます。なかでも火、水、土、風(空気)は四大と呼ばれます。

それを文芸批評理論に適用したのが、ガストン・バシュラールというフランスの哲学者で、彼は古来から作家の想像力が四大エレメントによってどのように刺激されてきたかという研究を行いました。

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画像は『火の精神分析』(せりか書房)、他にも『水と夢』(国文社)、『大地と休息の夢想』(思潮社)など。

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「小説家になる!―天才教師 中条省平の新人賞を獲るための12講」 (CWSレクチャーブックス)

このことは「第八講 物語をどう展開させ構築するか」(P176)に詳しく書かれています。

中条先生によると、何のエレメントによって想像力を刺激されるか、作家によって傾向がはっきりと出るのだそうです。

たとえば三島由紀夫なら水と火、宮崎駿は風(空気)といった具合に。確かに、宮崎駿先生の作品には空を飛ぶシーンが多く出てきます。

それでいくと、『スカーレット』は、間違いなく火と土ですよね。
画面に繰り返し登場する火と土が陶芸につながるからというだけではなく、戸田恵梨香さんの瞳の輝きが、きらめく炎のようだからです。

新しいブラウスとスカートをプレゼントされた時、進学の話が出た時、デザイン会社の仕事に就けると期待した時、きらきらっと瞳の奥が輝くのだけれど、その炎はたちどころに消えてしまうー。

涙が降れば きっと消えてしまう
揺らぐ残り火 どうかここにいて

主題歌『フレア』の歌詞と重なるように演技されている戸田恵梨香さんはすごい女優さんだなあ、と感激しております。

作者の水橋文美江さんとプロデューサーさんは、きっとエレメントを意識して作品づくりをしていると、私は思っています。

#スカーレット #朝ドラ #戸田恵梨香 #中条省平 #ガストン・バシュラール #三島由紀夫 #宮崎駿





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