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#本

持続可能な魂の利用

持続可能な魂の利用

著者の松田青子さんに『赤白つるばみ・裏 / 火星は錆でできていて赤いのだ』の帯に文章をお願いしたのには、いくつか理由がある。『ワイルドフラワーの見えない一年』(河出書房新社)を読んで、特にオフィーリアが実にさりげなく流れて行くところ(最高なのでぜひご自身で確認してほしい)に感服し、それからたまたまいくつか彼女の帯文を見る機会があり、松田青子さんの書く帯文は、いずれも彼女の作品と同じクオリティだとい

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ニュルンベルク合流 「ジェノサイド」と「人道に対する罪」の起源

ニュルンベルク合流 「ジェノサイド」と「人道に対する罪」の起源

 去年、訳者の園部さんから直々に頂いた550ページ以上ある大作です。(厚さがわかるよう、隣に『犠牲のシステム 福島・沖縄』を並べてみました。)

 頂いたにも関わらず、そのあまりの厚さと主題に臆して、なかなか取りかかれずにいましたが、Holocaust Memorial Day ということで、読み始めるのには最適な日ではないか、と、読み始めたことをここにこう書き記しておけば、後に引けないんじゃない

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『犠牲のシステム〜』読了。哲学者高橋哲哉氏による2011年の著作。犠牲にする者、されるものという視点から、今現在の日本の状況を順序立てて考える手助けになる。自己責任などという意地の悪い、軽い、何も意味しない(または本来の意味を秘匿する)言葉とは違う、責任の所在を真摯に考える。